錦帯橋を渡る、お祭りのクライマックス 「大名行列」
4月29日は毎年、岩国市恒例の錦帯橋祭りが予定されている。
人によっては超大型とも称される今年のGW。その連休初日、「昭和の日」が、錦帯橋周辺に4万人とも言われる人出で賑わうお祭り広場となる。
地元に伝わる伝統の踊りや、参勤交代の行列を再現する「奴道中」や「大名行列」などなど。一見の余地ある一大絵巻物ではある。
程よいお天気に恵まれて、さぞかしあふれる人だろうと予想して、錦帯橋周辺には近寄らず、高みの見物と洒落こんでお城山に登った。
手には、「 広角28mm~超望遠504mmの高精細フジノン光学式18倍ズームレンズ搭載世界最小ボディ!」という触れ込みの富士フイルムファインピックスの小型カメラを引っ提げて。
お城のそばでゆっくりおにぎりを頬張って意気を整え、いざカメラを構えようか・・・、というところへ一人の見知らぬおじさんが。
超小柄ではあるが割としっかりした感じでまさに「よそのおじさん」という雰囲気であった。
手に持っているカメラは、ファインピックスなどとは問題にならない高級カメラ。望遠レンズも装備してある。
「どこからですか」「わしゃ目の前の山の向こう側、錦見〇丁目」「おいくつですか、カメラの趣味は長いんでしょうね」「昭和4年生まれ、カメラ歴はかれこれ60年になる」。先ずここで、ナヌッ!御年86歳?それいてその元気さ。もっともっと話を聞いてみたくなる。
岩国の大手企業で46年務めた、高校へは自らの選択で行かなかった。当時の高校生は学徒動員であちこちに行かされるのを知っていたから。とのこと。
カメラはニコン製の高級品と見た。「ニコンですか」「わしゃどういうわけかニコンが好きで、それの取り換えレンズも14本ばかり、それが全部ニコンじゃから、いまさら他には変えられんのよ」「ここで写真をよく撮られるんですか」「錦帯橋祭りは毎年ここから撮っている」
そんな話からやがて闘病生活の話に。そして「お城山に歩いて上がりたいのに、かあちゃんがうるさいので今日はロープウエーで、年寄は半額のパスを使いましたいの」。
屈託のないおしゃべりで、こちらも撮りたい写真を取り損ねるほどの盛り上がり。「ここはアングルがええでしょ」と、先客の私の眼力を褒めてもらった。
なんや、自分が持って行った小型カメラをひけらかすのが恥ずかしくなって、小1時間ばかりお付き合いして、ロープウエー広場へ移動した。
そこで撮ったのがこの写真。腕はともかく、望遠がよく効いて、200mは離れているであろうこの位置から撮ってこの鮮明さならまあよかろう。
器械に詳しい友が最近手にした、「月の表面が鮮明に撮れるコンパクトデジカメ」には追いつかないかもしれないが、まずまずだ。
錦帯橋祭り高見の見物と撮影のつもりが、思わぬ巡り合いで思わぬ方向に流れたが、一生懸命生きること、穏やかに生きること、趣味を追いかけること、などが健康長寿の長さに関わる大切な要素であることの体験話が参考になった。これも一つの人生祭りか。