“ 念力がゆるめば死ぬる暑さかな ”
暑いね~!! 言っても仕方ないことは百も承知だが、やっぱり愚痴の二つもこぼしたくなる暑さではある。
この暑さの中、よくもまあ元気に真っ赤な花びらを開かせるものだなー、と思わせるのが「サルスベリ、百日紅」である。
いくら暑いからと言って、季節を捉えてきれいに咲いたサルスベリに、いちゃもん付けてもせんなきこと、と分かっちゃいるが、このサルスベリの満開はなんともいえぬ暑さと気だるさを誘う。
一方で我が家の小さな畑に目をやると、手塩にかけた作物でさえこれほどは茂らないなーと思うほど、雑草が山の如く生い茂っている。
さあどうする。このままでは秋から冬にかけての野菜栽培など考えられない。そうだ、思い出した!!
何事にも真摯に取り組む後輩から教わったことがある。「畑を黒のビニールシートで覆い、密封しておくと、草も害虫も死んでしまう」と。
早速ホームセンターに走り、幅90cm×50mの黒シートをゲット。「なえっとうの日の暮れ仕事」で、畑を黒く包んだ。
ここでいう「なえっとう」とは、やる気も根気も薄いいい加減な男という意味。「日の暮れ仕事」とは、昼間はなんだかんだ理屈をこねて仕事をさぼり、夕方になって慌てて作業に取り掛かるグータラを言っている。
そんなことはともかく、言われた通りにやってみた。初めての挑戦だから効果のほどが楽しみであり気がかりでもある。
ビニールシート代という投資とそれを使いこなす労力、これをもったいないと思うか、害虫退治に色んな薬品を買って撒くのがよいか、天秤にかけてみる。答えは明白。兎に角やってみた。暑かった。汗がしたたるなどという生易しいものではないほどの汗を流してやってみた。
台風などの大風でシートが煽られて隣の家に飛んで行ったらどうしよう……などという不安もあるが、まあ一度はやってみようということ。
こんな努力の向こうには、実りを歓ぶ孫の笑顔や歓声があるのだから。
夫婦二人っきりなら、買って食べる方が安上がりだろうし、苦労もないだろうに、などと楽な方に気持ちが動く真夏の宵である。