先日、少し場違いなところで、思いがけない出会いがあり、思わずお互いが手を握り合った。
近くにある介護施設で、毎年の恒例行事となっている夏祭りが行われた。
主催者から、是非顔を出してと誘われ、断るすべもなくお義理の見物とあいなった。
場所が場所だけに高齢者が主役。それに付き添いの保護者がたくさん。その中には同級生や後輩もいて、母親が世話になっているとか、親父がね・・・と、少し声をひそめて話す。
そんな中のお一人 が、かつてPTA活動華やかりしころの小学校の校長先生である。
「学校とPTA、また校長と会長はクルマの両輪」と、なかばおだてられながら、華々しいお付き合いとご指導を仰いだ方である。
もともと頭髪は白が基調でオールバック。かっこいいんだこれが。今も若さにあふれている。先ずは固い握手。
そんなお方がなんで介護施設の夏祭りに??と。ここからが長い立話になる。
「自分はまだまだこの通り元気なのだが、家内の状態が思わしくなくて施設に入れてもらうことになった。今日はその付き添い。」ということだった。かくしゃくたる姿勢も笑顔も、勢いも、やんちゃだったあのころと大きく変わらないのに驚く。
御年は確かひと回りくらい先輩だったと分かってはいたが、改めておそるおそる訊いてみた。
間もなく84歳になるとのこと。市内の某製作所で専務取締役という現役バリバリだとおっしゃる。
確かな教育論をお持ちの校長先生で、生半可な保護者では太刀打ちできない情熱家であった。
小生も若い時にこういった方と巡り合えたことを幸運に思っていた。
「昔の仲間が集まっていつか思い出話をしましょう」ということでその場は終わったが、ひょっとしたら20数年ぶりのPTA同窓会が持ち上がるかもしれない。
いくら頑張っても13年先に、元校長先生ほどの元気は維持できないだろうと思うが、これもやってみなきゃ分からない。
おふくろは100歳を超えた。叔母は目下100歳で足こそ弱っているものの、文庫本の愛読者である。
何かを胸に秘めて、何か続けてやれることを持っていれば、案外不可能ではないかも・・・などと思い始めている。
歳をとる・・・ 当たり前のことだが、自らの気持ちの中では年寄りにならない心構えで過ごしたいと思う夏の終わりである。