すこし小振りな一升餅
地中で冬を越した虫たちが目を覚まし、地上に出てみようかなとうごめきはめる二十四節季の一つ、啓蟄を迎えた。風の便りも日一日と春めいてきているのを感じる。
あさから止み間のない雨の啓蟄となった今日、予定通り二人で餅つきをした。この頃は何をするにもご近所様に迷惑を掛けない、音も出さない、火を燃やすわけでもない、そっと静かに何でもできる。
それにしてもなんでこの時季に小餅つきなの? 実はこれは我が家の主の朝ご飯の大切なひと品なんよ。
結婚して以来、朝飯はおかゆに梅干しとみそ汁と牛乳200ccが定番となった。おかゆはのど越しがいい。さらさらと食べられる、と言いつつ、お米からおかゆを炊く作業は大変なことは判っていても、いつしかこれだけは完全定着し今も続いている。貧乏な食卓の代表がおかゆさんであった時代もあった。しかし今では朝ご飯におかゆなんて贅沢の一種になってきたんじゃないかな。
さらにおいしく、腹持ちするように格上げするために、今年正月の鏡開きをした神様のお下がり餅を入れたおかゆを炊いてもらったところ、この旨さと力強さに惚れ込んだ。何度か既製品の餅も食べて来たが、やはり手作り餅がいい。この手でアツアツ餅を揉んで丸めたのがいい。そんな我が侭で今日の啓蟄餅つきとなった。
食わず嫌いを自慢せずにアンタも一度召し上がってみなはれ。美味しいけー。ただね、朝ご飯の絶対量が増えるので、昼飯を少し安上がりにしてバランスを取る必要あり。まあ、お腹が出っ張って足下が見えにくくなるほど放縦ではいけないけどね。しばらくは、なくなったらまた小餅を搗いて「ちからおかゆ」を楽しみたい。