バンビの名誉のために(犬の不思議な能力)
バンビという犬のことについて、自分の思い出として一方的な解釈で書いてしまった。
その後、実際に家族として付き合った従姉から詳しい話を聞き、倍加した驚きに包まれることになった。
バンビは東京生まれの「ワイヤテリア」または「ワイヤ・フォックス・テリア」という名前の洋犬系の雑種だった。
その頃田舎では犬は放し飼いが多く、そして柴犬系、秋田犬系と言った和犬系の雑種がその大多数を占めていた。
その中で洋犬系のワイヤテリアの血を引くバンビは一際目立ち、「エノケン」に似ているとか、
犬ではなくてヤギみたいだとか言われたという。
可愛がりすぎたのか、生来の性格なのか長ずるにしたがって傍若無人な行動が多くなり、
やむなく紐につなぐとそれを嫌って解くまで吠え続けた。紐から解放されると近所を悪戯して回り、
何度となく怒って怒鳴り込んできた人さえいたらしい。
可愛かったバンビに手こずらされて居るうちに、そのバンビを貰いたいというおじやの住人が現れ、
バンビは自動車のトランクに放り込まれるようにして新しい飼い主のもとへと移り、家族は安堵したのだった。
(続く)