アスパラガス(その1)
六日町に通勤していた昭和40年代の半ばのことだから随分昔の話になってしまった。職場の窓から六日町高校のグランドが見えた時代ですから、今の町並みから見たら考えられないほど今昔の感がある。
六日町高校と職場の間には広々とした水田が広がっていたが、何か所かの転作田というか畑も見えた。そこで、何だか不思議な作物が見える。ある時好奇心から近づいてみると、初めてみる作物、アスパラガスだった。
その頃の我が家は今と同じに山の上の畑三反歩を父母が苦労して耕していた。親が苦労しているのに平気で遊びまわるほどの神経も持ち合わせなかった優しく、哀れな長男は、このアスパラガスだったら、毎年種蒔きをする、そして植える必要も無く労力が省けると考えたのだ。実際は手伝いの時間を釣りなどの遊びの時間に割きたかっただけだったのだが。
(続く)