夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

コリン・デクスター著「キドリントンから消えた娘」ハヤカワ文庫

2008-05-20 21:57:18 | 本と雑誌

コリン・デクスター著「キドリントンから消えた娘」ハヤカワ文庫
コリン・デクスター著「キドリントンから消えた娘」ハヤカワ文庫
生きているのか死んでいるのか行方不明の娘を捜していた主任警部が事故で死んだ

後を受けたモース警部の推理は二転三転どころか七転も八転もする

捜査を続けるうち また一人殺された

消えた娘は何処に行ったのか

真相に到達するまでに疲れ果てる

名探偵より迷探偵かもしれません


朝は大抵有り合わせ

2008-05-20 13:39:13 | 子供のこと身辺雑記

朝は大抵有り合わせ
朝は大抵有り合わせ
朝は大抵有り合わせ
それを言うなら夜もですが(笑)
ハム入り炒り卵
薄揚げとじゃがいもの味噌汁
ちりめんじゃこ

お弁当のおかずは鰆の味噌漬けを焼いたの
卵焼き

炒めたピーマンにウインナー

今からは夕飯おかずの段取りだけしておきます
食べる時に温めるだけ―状態にと


「この夜を越えて」-5-

2008-05-20 03:40:18 | 自作の小説

若お館の藤三(とうざ)は頭を下げた「自由にやってくれ たのむ」
細かな指示は無かった

家来達に向けて「藤太を助けてくれた客人が 今度は我らを又助けてくれる
恥ずかしい戦い方はするまい
良いか 勇に走って命を落とすな
我々は勝つ
その為に戦うのだ」

選ばれた足の早い若者の一人 駒弥(こまや)は弥十の孫になると言う

義仁と一緒なのが嬉しいそうだった

「佐波の雷伍様と原森の六次様はご兄弟なのです
子供の頃から 六次様は雷伍様が持つ物を欲しがり

佐波の雷伍様は領地さえ六次様へ半分わけたのに

ただ阿矢女様の事だけは 譲られなかった 」

六次は執念深く粗暴かつ短慮

欲しい物が手に入らないと暴れ狂い 

それを焚き付ける家臣がいるのだとか

「阿矢女様はそりゃあ お美しくて 溌剌としていて 姿は違うが若お館様とおんなじ強さを持っておられる
女神様みたいだ」

義仁も野性の女神のような女を知っていた
―白雪―
何かの拍子にその唇の感触が甦り 全身が熱くなる

世の中には確かに男を狂わせる女が存在する
「誰が男を狂わせる女だと?」

片方の眉を吊り上げ その当人が立っていた
「おい いつの間に?」

「忘れん坊の薄情者だから気付けないだけだ
見える物も見えない」
駒弥は 惚けたように白雪にみとれている

「女が何処に捕らえられているか探るなら 女の方が良かろう
合図を待っておれ」

「合図」
少し険しい目になる男に 白雪は艶やかな微笑を見せた

「これほどの美女が行くのだ
騒ぎにならないはずがあるまい」
そう言えば白雪は いつになく華やかな衣装を着ていた

「馬鹿な男の一人や二人誑かしてきてやろう」

ますます険悪な表情になる男の耳元で囁く

「会いたがっているから姿を見せたに 難しい男だの」

笑い声と共に離れていく

「あの方は」駒弥の問いに 「ただのおせっかいな女だ」と男は吐き捨てるように答えた

白い裸身が ぱあっと男の脳裏に浮かぶ
閃く

雪より白い・・・

現れるたびに男を悩ませる女 
全く忌々しいと男は思う

義仁と駒弥達が様子を見ていると 間も無く わっと歓声が上がった

近くへ行くと 白雪が歌いながら 鈴を鳴らして踊っていた

騒ぎに奥から人相の悪い男が出てくる

頬にひっかき傷があった 

白雪に目を止め 声をかける

白雪は笑い声をあげる
男のまだ血が出ているひっかき傷に触れ「何処でおいたされました
可愛いお方が部屋で お待ちではありませぬか」

女に触れられた所が燃え上がるようで 男 六次は ムキになる

―全く何と見れば見るほど美(い)い女であろうか
短刀構えての可愛げない阿矢女とは比べ物にならぬわ―

白雪は楽しげに笑った

ああ その声 男心を蕩かせる

「ではその方に 我が男との楽しみ方 見せつけて教えてさしあげましょう
いかが?」

「お・・・おう」

「では部屋まで案内を」

六次は魅入られたようにふらふら歩く

義仁は早く六次を叩き斬りたくて仕方なかった

―野郎 その女に触れてみろ 何かしてみろ―

六次が白雪を案内した部屋には 見張りつきで阿矢女がいた

誰も近寄れないように短刀を構えている

使えそうな構え方だった

白雪は邪魔になるきらびやかだが重い衣装を脱いだ

六次は白雪の意図が判らず 鼻の下を伸ばす

白雪は嬌声をあげながら 阿矢女に近付き 六次に問いかける

「男と女の事に別な男が必要かえ?」
そう言って見張りを見る

「我とこの女と―欲しければ お捕まえ遊ばせ」

その蠱惑的な動きの合間に 阿矢女に目で合図する

阿矢女はこの正体不明の女の意図を正しく理解した

ふわり 白雪が六次の背後に回る

後ろから抱きつく形で 六次の動きを封じる
そこに短刀構えた阿矢女が飛び込んだ

「うおおおう!う・・・」
断末魔の声が上がる

その首を白雪は斬り落とし布に包み下げる

「外に助けが来ています
参りますよ」
落ち着いた優しい声で白雪が言う

阿矢女は頷いた

部屋に飛び込んできて事情を察した義仁は二人を守り
立ち塞がる敵は構わずなぎ倒しながら走る

追いついた藤三の構える陣まで

阿矢女を取り戻し 心配が無くなった藤三の陣は総攻撃をかける

六次を討たれた原森は攻撃ある前から崩れていた

戦いには勝ったが義仁はすっきりしない

いい所は全て白雪に持っていかれているのだ

イライラしただけに終わっている

見事に夫の敵を討った阿矢女の話では 佐波の雷伍は毒矢で殺されたらしい

白雪は元気で強く生きるように阿矢女を励まし別れを告げる

姿を消す前 義仁の傍へすり寄ると 「妬いていたであろう」くすりと笑った

「白雪」

「我が寂しくないと思うか?
我も苦しいのじゃぞ」
焦がれるような切ないようなまなざしを義仁に向け 
どうやったか姿は かき消えた

旅を続けやすい品を藤三は感謝の言葉と共に 義仁へ贈った

「おじさん」藤太が叫ぶ 「また会いに来ておくれよ
待ってるよ
有難う

おじさぁぁぁん」

―おじさんは有難くないがな―
義仁は別れの挨拶に片手を上げる

最後に見せた白雪のまなざし
思わず抱き締めそうになった義仁

男は思う
いつか何もかも思い出せる日が来るのだろうかと

自分自身を取り戻せる日が