夢見るババアの雑談室

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ほぼ身辺雑記です

吉田修一著「怒り」上下(中公文庫)

2016-10-19 00:57:34 | 本と雑誌
怒り(上) (中公文庫)
吉田 修一
中央公論新社



怒り(下) (中公文庫)
吉田 修一
中央公論新社



その家の住人を殺し逃亡した山神一也 その行方は知れず それでも刑事たちは捜査を続けていた


母親の事情で沖縄に移り住んだ少女・泉は島の少年・辰哉に案内された星島で田中と名乗る男と知り合う

優馬は知り合った直人を信じきれず 彼がいなくなってから行方を捜した


洋平は娘の愛子が一緒に暮らすようになった男・田代の前歴が気になる


山神を追う刑事の北見には気になる女性がいたがー


泉の身の上に起きた悲劇 
田中の裏切りと嘘を知った辰哉の行動

直人が優馬に言わなかった事


逃げるしかなかった田代は 洋平の知人たちや愛子によって生きる道を見つける



人を信じることのむずかしさ

殺人現場に残された赤い怒りの文字

山神の書いた赤い怒の文字は醜い

ただのカッコつけ 
殺してみた 逃げてみた 不自由な生活 全部自分が招いた不幸だ

捕まるのが嫌で逃げた

卑劣な男


この山神かもしれないー自分の愛する者が人殺しかもしれないと疑う者達は辛い 悲しい

山神一也などは どうでもいい人間だがー

殺されようが野垂れ死のうが

山神かもしれないー疑心暗鬼に囚われ信じきれないー
もしも あの人が 彼が人殺しだったらと

疑う人間は自分をも信じ切れていない 自分に自信が無いからなのか


傷ついて 取返しのつかないことをしたと思い


薄氷の上にある幸せ

勇気を出して一歩踏み出して


勇気を出す者にも出さない者にも 明日は公平にやってくる