隣に死体が寝ている
黒い長い髪・・・女性だろうか
首から下は焼け焦げている
アバラ骨も見える
どう見たって生きているようには見えない
私はどうして死体と並んで寝ているのか
同じベッドで
腕が死体に触れている
自分に何が起きたのか思い出そうとしていた
動けるのだろうか 私は
ここは何処なのだろう
ーと隣の死体が口をきいた
「ずうっと一緒だよ 何処かに行っては駄目だよ」
声は男のものだった
では これは男性なのか
いや死体が口をきいた
怖ろしさに何とかして逃げなくてはーと思った
ここを出て これから逃げ出そう
「トイレに行きたいの」
そう言って私は それから離れ 部屋を出て走った
病室かと思っていたが 階段を下りれば そこは酒場
西部劇によく出てくるような
私はカウンターの中に隠れた
あれが追ってくるような気がしたのだ
「どうした」カウンターの中の髭面男が声をかけてきた
「なんでも」と私は答える
「ふうん 逃げちゃいけないな」
驚いて見上げれば髭面男は 部屋に置いてきたはずの死体男の顔になっていた
ばかりか 他の客たちも皆 あの死体男と同じ顔
もう悲鳴をあげる元気もない