原題 アナスタシア
1917年 ロシア革命 ロマノフ王朝は倒される
生き延びているとの噂は大きくなり
それが皇帝の末娘アナスタシア皇女だと
現在(いま)も生きていれば
この物語の真実を知るのは 彼女だけである
そんな説明テロップの後に
パリ1928年と
ロシア正教の復活祭の夜
ニコライ2世御用達の店の前を通る女性がいる 少し咳をしている
顔はまだ見えない
一人の男がその姿に目を止め 車に乗り込む
ロシアの音楽流れロシア料理やショーを楽しめる店がある
その店を仕切るのはセルゲイ・ボーニン(ユル・ブリナー)
件の男はボーニンに会いに来たのだ
人探しを頼まれていた
病院から姿を消したアンナ・コレフ
男の報告を受け ボーニンも女の居る場所へ出向く
ボーニン「似ているか」
男「まだわからん」
ボーニンに声をかけられ逃げ出した女(イングリッド・バーグマン)
街を彷徨う 通りから通りへ いつしか橋の上
川を見下ろし・・・・・飛び込もうとする
止めたのは ずっと後をつけてきていたボーニン
ボーニンが留守の場所で二人の男
1000万ドルの遺産について話している
7日と期限を切られた
その間に皇女を見つけられなければー刑務所行き
元銀行家と元神学生のペトロビン
元銀行家のチェルノフは小太り
元助祭の息子のペトロピンは痩身
ボーニンが帰ってくる
余裕ある表情
彼は女を連れていた
女は「壁 石の壁」と呟く
彼女はアナスタシアの等身大の絵姿に一致する背格好だった
王冠の位置も合うぞとペトロピン
アンナと名乗ることもある女は記憶喪失
ここは地下室で自分は殺されると怯える
ボーニンはアンナの頭と掌の傷 (銃創)を示す
10年あれば人は変わる
だから誰も彼女が偽物だと証明できないーとボーニンは言う
「お金のためにウソをつくの」と言うアンナ
これまで随分ひどい思いをしてきた
誰も彼女の言葉を信じてくれない
自分が誰か思い出せない
自分の両親のことも
ボーニンは言う
「自分が誰か知りたいんだろ
家族を捜したいんだろ
その為には わたしが必要だ
よく聞け チャンスは今だけだ」
セルゲイ・ボーニン将軍 ロシア皇帝ニコライ2世の元侍従武官だった
当然 彼はアナスタシアに会ったことがあっただろう
だからアンナと名乗る女性にアナスタシアの面影を見た
見つけたと思った
ー夜中に地下室に移され兵士が来て撃った
白い服を着ていた
藁の荷車に隠れて ブラウスに隠した宝石で兵士を買収
ルーマニアからブカレストへー
入院生活 病院暮らし
それからー
「もう できない 自分が誰だか分からない
本当の自分になりたい
私が誰だか教えて」
本当にアナスタシアだと証明できるのは アナスタシアの祖母マリア皇太后だけ
皇太后はコペンハーゲンで暮らしている
ボーニンらと共にアンナはアンダーソン夫人の名前で入国
向かう列車の中で
アンダーソン夫人の名前の持ち主とボーニンとのことを軽く探ろうとするアンナ
皇太后付きの女性が 皇太后に近づける最後の望み
その女性によって皇太后がオペラやバレエを観にいくことを知る
かつてのアナスタシアの婚約者で 美人に目が無いというポール
彼の気を惹き付けることには成功
ボーニンと皇太后には過去の軋轢もあったよう
彼は皇太后に言う
「わたしは陛下を欺くような愚か者ではありません」
かたくなにアンナに会おうとしない皇太后だったけれど
「残っているのは想い出だけ」
ついにアンナに会いにホテルへ皇太后が来る
アナスタシアと信じたいけれど 完全には信じきれない皇太后はアンナと会話を続け
こわくなると咳が出るの
その言葉に アナスタシアもそうだったと
アンナをアナスタシアと認める
マレンカイアと呼んだ
アナスタシアはコペンハーゲンに残り ボーニンらはパリへ帰る
アナスタシアとしてパリでのお披露目の日が近付く
ポールとアナスタシアの婚約の噂も流れている
アナスタシアの記者会見で「同じ病院にいたアンナだ」という男
記者会見のあとでアナスタシアがポールを愛しているのか
そう気にするボーニン
パーティには出ないと皇太后に言うボーニン
「(ポールとの婚約が)アナスタシアの望みなら良いのです
でも わたしには 喜べない」
ボーニンの言葉に彼がアナスタシアを愛していると知る皇太后
「人には簡単なことが わたしには往々にして難しいのです」
願いは孫娘の幸福 祖母にとっては
皇太后「悪党というより むしろ愚か者ね」
緑の間にボーニンを待たせる皇太后
皇太后「ボーニン ここで待ってて これは命令です
いいわね」
ボーニン「分かりました」
人払いをしてアナスタシアと二人きりになって皇太后
皇太后「わたしは亡霊と生きていくわ
でも あなたは女の幸せを求めなさい
私は過去よ 過去は甘くて懐かしい
現在には馴染めない
あなたは違う」
アナスタシアは祖母の言葉に力を得て 緑の間へ
ボーニンとアナスタシアは姿を消した
これからの応対を気にするポールに皇太后は言った
「そうね こう言うわ
芝居は終わったーと」
The End
良質な映画とはこういうものかーと思わせてくれる作品です
アナスタシアとしてのレッスンが始まり どんどん美しくなり輝く瞳の色も取り戻していく
真情は見せないボーニン
それも大人の男とはこういうものかと
遺産目当てか自称アナスタシアが多く出現した時代
現在はアナスタシアもやはり殺されていたとなり
事実が分かってしまった現代では これはもう夢物語にすぎません
だけどこの映画からアニメ作品が生まれ ミュージカルの舞台もつくられ
宝塚歌劇でも宙組が演じて
映画の中くらい 実はアナスタシアは生きていて・・・・・
それでね・・・・・
そうした夢物語があってもいいかもしれません
現実は余りに過酷でしたから
蛇足 オマケ
ボーニンはアナスタシアの遺産目当てかと そんな山師と見せかけて
アンナにダンスを教える場面でくたくたのアンナに「君の好きなワルツだ」と教えます
アナスタシアが初めて踊ったワルツの相手は 元婚約者のポールではなかった
けれどそれを知っていたボーニンこそが アナスタシアの初恋の相手でもあったのではないかと
アナスタシアが死んだと聞き また生きている噂を聞き
探しだしたい!と真剣に気にかけてもいた
自分に恋していたお姫様
もしかしたら そのお姫様の為に爵位(貴族の地位)が欲しいと願い叶えられなかったのかもしれない
これは映画の中での設定としてですが
ボーニンの皇太后への言葉
ー自分のような身分の者にはー
ボーニンへの爵位を認めなかったという皇太后
変化する歴史の中で 身分を超えた価値を皇太后はボーニンに見出し 認め
愛する孫娘を託した