平良祐介(たいら ゆうすけ) 母の手術をしてくれた赤石教授のような心臓外科医になりたいと その為の経験を積める富士第一病院への出向を願っている
あらたな研修医3名のうち2名でも心臓外科の医局へ希望すればーと持ち掛けられる
不器用なー余り損得を考えない患者第一の平良は ハードな心臓外科をどうすれば志望してもらえるか思案するもー
逆に誤解され反発もされる
郷野司(ごうの つかさ)は空手の試合でいためた古傷からたまに指が震える平良が 下手だからツカエナイから手術を任せてもらえないーと思い込む
牧宗太(まき そうた)は医局長肥後の言葉に言い返さない平良を患者のことを考えていないかもーと
常に快活な宇佐美麗子(うさみ れいこ)にも医師を目指した理由にはある心の傷が
まあ確かに手術経験を積んだ心臓外科医になりたい だから富士第一病院への出向をとばかり思い逡巡する平良の姿は格好良いとは言えない
けれどそこでなければ 沖縄の病院へ出向となるとなればー
准教授の柳沢も他の医者も 平良の普段の姿を研修医に見せればいいーと言う
患者に誠実に これまでの経験から治療する知識も深く広く
患者の生命を救うためには大胆な処置も取れる
どこの科に行っても勤まるだけのー
平良の尊敬する赤石教授への怪文がばらまかれ それは雑誌でも扱われる
赤石教授から犯人捜しを頼まれた平良
いつしか医師としての平良を慕うようになってきた3名の研修医たちも この犯人捜しに乗り出してくれた
平良の目の前で倒れた赤石教授
赤石教授の指名した医師達により手術は成功したが 再び赤石教授に異変が
姿を見せない肥後
頼りにならない針谷
平良は3名の研修医を呼び寄せ 彼らの助けも借りて赤石教授への手術を
回復した赤石教授から 平良を沖縄の病院へと決めた理由を教えられる
それは平良の資質を見込んでこそのことだった
ー作中よりー
「けれど勘違いしないでくれ 君を選んだのは あの病院にふさわしいと思ったからだ
過疎が進む地方の医療を何とかして立て直そうとうちの医局のOBが作った病院だ
それほど大きくはないが 地域の患者に奉仕するという理念の下に質の高い医療を提供している
だからこそ 私は医局員を派遣すると決めた
そこで必要とされているのは心臓外科の専門技術ではなく 様々な疾患に対応できる応用力と広い知識
そして患者に対して真摯に向き合う姿勢だ
分かるな?
君は確かにマイクロ手術の腕は針谷に劣るが 一般外科医 そして救急医としての腕は医局で一番だと私は思っている
それに君がいつも患者のために全力を傾けているのを見てきた
君こそ その病院が必要としている人材だと思ったんだ」
沖縄へー迷う平良の後押しをしてくれたのは妻
妻は平良の母との同居すら申し出る
平良は怪文書を出した犯人にも気づき
赤石教授の次に教授となる人間の抱える問題も引き受ける
ー作中よりー
「なんで 君はここまでするの?」
脳裏に三人の研修医たちの笑顔がよぎる
「これから心臓外科医として夢を追っていく 大切な後輩のため
そして俺自身が前に進むためです
患者の命を紡ぐことのできる医師を目指して」
平良が指導医となった3名の研修医は 3名とも心臓外科の医局へ
研修医たちの心からのはなむけの言葉
患者のことを考えず 医師達へのパワハラがひどかった医局長肥後のことも片付け
ー作中よりー
拍手の雨を背中に浴びながら 祐介は一歩を踏み出した
新しい人生を紡いでいくための一歩を
誠実な医師
周囲はちゃんと見てくれていた
読後 うん良かったねーと思える物語です
(コメント欄は閉じております ごめんなさい)