夢見るババアの雑談室

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中山七里著「毒島刑事最後の事件」 (幻冬舎文庫)

2022-11-24 19:27:27 | 本と雑誌

 

 

 

 

 

 

見かけは善良そうな男ーだが騙されてはいけない

ひとたび口を開けば舌先三寸の毒舌で相手を自殺に追い込むこともできる

事件の読みも鋭いし優秀な刑事でもあった毒島

しかし・・・性格には大いに難があった

この玉に瑕の 瑕が強すぎて

他の作品では主役も張る犬養隼人もこの毒島の薫陶を受けている

 

「不倶戴天」ーこの世に共存できない どうしても許せないと思うほど深く恨むこと

「伏流鳳雛」ーまだ世に知られていない大人物と有能な若者のたとえ

「優勝劣敗」ーすぐれたものが勝ち 劣ったものが負けること

「奸佞邪智」ー心がねじ曲がっていて よこしまなさま

「自業自得」ー自分の行いの結果を 自分が受けること

最初の事件は 被害者に共通点が見つからないー容疑者が見つけられない拳銃による殺し

鮮やかに殺人犯を確保した毒島はー背後で糸引く人間がいるーと見抜く

その人間は「教授」

 

第二の事件は 出版社で起きた 誰が爆弾を仕掛けたのか

実力が伴わない人間のエゴ 認められない人間の怨み

ここでも犯人の口から出た名前は「教授」

 

第三の事件は 婚活に励む女性が顔に危害を加えられるというもの

毒島はこの事件にも犯人を操る人間の匂いをー

やはり 犯人が信じていたのは 「教授」

 

第四の事件は 注射利用の毒殺

犯人は自分の息子を殺した相手への復讐だと 思い込まされていた

そうした小細工ができるのは 犯人の近くにいる人物

しかし その人物もまた 別な人間により操られていた

 

第五の事件は これは毒島の罪といえるかもしれない

彼は意図を持って相手を死へ追い込んだ

ゆえに刑事では居られなくなる

 

そして作家になるーという

 

小説家の芦沢央さんの解説が 中山七里氏にも触れられていて愉しい

読者が読むのに追いつけない多作な作家

同じ作家の芦沢さんは解説をこう結ぶ

「やはり、中山七里は怖い」