Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

フレンチなしあわせのみつけ方

2007-12-16 | 外国映画(は行)
★★★★ 2004年/フランス 監督/イヴァン・アタル

「キミたちは一生愛について語ってなさいっ!」



「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール」に引き続き、シャルロットの夫であるイヴァン・アタルがシャルロットの夫役及び監督も務める作品。

まず邦題がセンスがないばかりか、作品の趣旨ともあまり合っているとも思えない。なので、邦題で感じるお気楽コメディとは全然違う。スペシャル・ゲスト、ジョニー・デップは予想以上に重要な役どころで、嬉しいサプライズ。

さて、全くフランス人という国民は、こんなに朝から晩まで「愛」について語っているのでしょうか。彼らの永遠のテーマ、それは「愛」と「人生」。この2つのテーマさえあれば、何時間でもおしゃべりできる、それがフランス人。既婚者はなぜ他の人を愛してはいけないの?どうして一生妻に寄り添わなければならないの?と次から次へと繰り出される男たちのナゼナニ攻撃。これが聞いていて実に楽しい。

もちろん、この手のフランス映画はごまんとあります。それでもなおこの作品が楽しいのは、やはり「結婚」を語る言葉の豊潤さでしょうか。何かに例えたり、皮肉ってみたり。日本人としては、その巧みな言葉遊びに「ほほー」と感心してしまうことばかり。しかも、いい年をした中年男が職場やカフェで来る日も来る日もその話ばっかり(笑)!日本じゃ考えられません。でも、「結婚って何だ!」と常に考え悩んでいるその姿勢は、私は好きだなあ。無視されるより全然いい。

夫の浮気に苦悩する妻ガブリエルをシャルロット・ゲンズブールが好演。ヴァンサンとガブリエルの夫婦喧嘩のシーンは、いろんな意味を含んでます。互いに言葉に出せない物をストレス発散させていると言えるし、じゃれあってるようにも見えるし、憎み合ってるようにも見える。しかも、この夫婦は実生活でも夫婦でもあるため、観客は本物の夫婦ゲンカを見ているよう。

夫の浮気に気づいていながらも問い詰めないガブリエル。そこには「個人の意思」を尊重するフランス人の美意識があるんだろうか。「今私が浮気しても夫へのあてつけになるだけ」そう言うガブリエルは大人のオンナ。自己抑制ができるオンナ。だからこそ、ラストはドキドキしてしまう。それは火遊びなの?それとも本気なの?(実生活の)夫が撮る妻は格段と美しい。またまた夫婦コンビで続編作ってもオッケイよ、とも思えるステキなラストシーンでした。