Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

さよなら、みどりちゃん

2007-12-27 | 日本映画(さ行)
★★★★ 2005年/日本 監督/古厩智之

「がんばれ、ゆうこ!」



この際、正直にいいます。女はね、ダメな男に弱いの。ゆうこみたいな全くどうしようもない男が好きな女たちの群れは、確実にいるの。だから、この映画の人物は誰も悪くない。ゆうこと言う女の子がほんの少し、背伸びをする、ただそれだけの話。

ちっぽけな人間が小さな輪の中でいじいじいじいじ…。そういう物語が苦手な人にはオススメしません。私は、好きなんです。そういう、いじいじ、してるのが(笑)。だから、ゆうこができたほんの少しの背伸びにも「よくやった!」とポンポンと肩を叩いてやりたい。もちろん、この後ゆうこが変われたかどうかは、わかんないけど。

スナックでのゆうことヤンキーの会話など、とりとめのないシーンが実にリアル。「そうなんだ」「ふうん」みたいな何でもない会話と間延びした空気感。邦画の小さい映画にはよく見られる演出で、ものによっては嫌みを感じることがあるけど、この作品は大丈夫。この間延びした空気がユタカやゆうこのキャラにピッタリ合っている。

優柔不断な女の子「ゆうこ」を星野真里が好演。ぼんやりしたしゃべり方、あどけない仕草、頼りなげで男の言うままに動く都合のいい女。正直この手のキャラには、女の目は厳しいですよぉ。でも。星野真里は、不快感がない。等身大という言葉がまさにふさわしい。そして、西島クン…。もう反則でしょう。ここまでのダメ男をこんなにステキに演じちゃ、日本中ダメ男だらけになっちまうよぉーってくらい、いい味出してます。

最後の最後になって、ゆうこが意を決して行う愛の告白。それに対するユタカの反応が一番の見どころ。すさまじい「間」があります。この「間」を堪能してください。わたしゃ、ソファからずり落ちました。ゆうこには悪いけど爆笑。西島秀俊という俳優に興味のある女性なら、このシーンを見るだけでも見る価値アリ、です。

ラストシーン、ゆうこが歌うユーミンの「14番目の月」に何だか切なくなる。漫画にもこの歌が、挿入されているのかな?これ映画のオリジナルだとしたら、この選曲にはすごいセンスを感じる。見終わってからも、ずっと口ずさんじゃった。ダメ男に振り回されてる女の子は必見。