Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

パプリカ

2008-03-26 | 日本映画(は行)
★★★★☆ 2006年/日本 監督/今敏
「これでアニメ嫌い、返上かも!?」


すごく、面白かった!筒井康隆の原作も大好きで、当時めったに買わない分厚いハードカバーを購入。手当たり次第、友人に「面白いから読んで~」と渡しているうちに、どっかへ行ったっきりなの。しゃーない、もう一回買うか。

私はアニメが好きではなく、いや、もう堂々と言うか。私はアニメが嫌いなんだけども、「アニメでないと表現できない世界があるでしょ?」と言われることにひどく嫌悪感を覚える。そうかあ~?と思う。だって、映像のイマジネーションというのは、実に豊かで無限のものだと思っているから。実写じゃ表現できないからアニメという手っ取り早い手法に逃げてるんじゃないの?と思ったりする。だって、アニメなら何でもできるもん。他にも嫌いな理由はある。その一つは「時をかける少女」で書きました。

そんなアニメ嫌いの私がおそるおそる手にとってみたわけですが、ガツンとやられました。単純に面白かったです。そして、大人をターゲットとして作られているのが気持ちよかった。まあ、そもそも精神世界ものが好きって言うのもあるんだけど。

狂喜乱舞のパレードが圧巻。こればかりは「アニメでないと表現できない世界」と言われても素直に納得。日本人形と西洋人形など、西洋と東洋の文化や宗教を夢の中でぐっちゃぐっちゃにして見せる。誇大妄想患者の夢=万能感ですから、世界の神様、または聖なる物のシンボルがたくさん出てきましたね。大黒様に仏陀にマリア…。これらの神的シンボルに狂って行進させるセンスと度胸が私は大好き。

そして、90分という短さなのに、非常に「間」が多い。それは、会話のシーンにほとんど限られているのだけど、例えばパプリカが粉川刑事に話しかける。そして、粉川刑事の顔が全く動かず、2秒ほどあって、話し始める。そういうシーンがあちこちで見られます。この「間」によって、作品に落ち着きが出ている。パプリカのコスプレばりの冒険の賑やかさと実にいい対比を作っています。

また、物語をかなり削ぎ落として見せている。セラピーマシーンのこととか、夢分析にまつわる専門的なことを説明するようなシーンは一切ない。いきなり本題に入っている。説明過多にせずばさっと切り捨てて、サッサと物語を進めているのがとても小気味いいです。そして、何より説教くさくないのがいい!

まさか、アニメ作品で「間」を語れるなんて思わなかったなあ。今敏監督の他の作品も観てみようと思います。アニメの扉がちょっと開いたかな?