Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

タロットカード殺人事件

2008-09-03 | 外国映画(た行)
★★★★☆ 2006年/アメリカ 監督/ウディ・アレン

「ウディ、ますます絶好調」




なんとまあ、肩の力の抜けた軽やかな作品でしょう。これは、まるで老練なJAZZミュージシャンのアドリブ演奏のよう。これまで、何度も何度も演奏してきたからこそ出せる味わい、隙のなさ。ウディ監督、ロンドンに拠点を変えてから、ますますノリにのっていませんか。実に楽しい95分でした。

前作はセクシー路線だったスカーレット・ヨハンソンが本作ではキュート娘に変身。スカーレットのプロモーション・ビデオだと感じる方がいたら、それこそこの映画のすばらしさの一つかも知れません。といいますのも、このサンドラは記者志望の割にはおマヌケですし、すぐにオトコに引っかかるし、本当はどうしようもないキャラ。でも、非常に魅力的に見えるのは、ひとえに彼女の演技力とウディの演出のおかげでしょう。ビン底丸めがねをかけ、口を開けて歯科矯正の器具をパカパカと動かす彼女のかわいさと言ったら!こんな仕草が愛らしいなんて、ちょっと他の女優では考えられません。次作では、どんな女性を演じるのか、今から楽しみ。(って、次も出るって勝手に決めつけていますが)

背景は殺人事件ですけど、んなこと何の関係もないですね。まあ、本当にどーってことないお話で、素人探偵のドタバタ喜劇です。だって、現場になんでタロットカードが置いてあるかなんて、真相はちっとも明らかにされませんもの。でも、テンポが良くて、ユーモラスで、みんなおしゃべりで、何もかもがいつものウディ流。このワンパターンノリは、まるで吉本新喜劇のようです。ラストのドッチラケなんて、吉本ばりに椅子から転げ落ちそうになりました。それでも、こんなに小粋なムードが出せるんですもんね、流石です。どこまでも我が道を行くウディ・アレンに感服致しました。ああ、楽しかった。