Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

サウスバウンド

2008-09-09 | 日本映画(さ行)
★★★★ 2007年/日本 監督/森田芳光
「子供は大変だろうけど、面白いオヤジ」



あまり期待していなかったからでしょうか。とても面白かったです。

森田監督は好きな監督です。私の映画友が「出来不出来の差が激しい」と嘆いていましたが、そうかも知れません。ただ、私はとても安心して見ていられます。阪本順治監督の作品を見るときの安心感と近いです。校庭の外を捉えた映像が何秒かして、すーっと教室に移動していく。そんな安定していて、ゆったりしたカメラの動きが好きなのかも知れません。子役たちへの演出もガチャガチャしていないとでも言いましょうか、のんびりゆっくりやらせている感じが良いです。子役って、どうしても突っ走ってしまいますからね。妹の女の子の飄々とした感じがすごく好ましかったです。

さて、本題。ファン目線をさっ引いても、上原一郎を演じる豊川悦司が良かった。正直、この役どころを聞いた時に、私は怖くて映画館に足を運べませんでした。かなりイタい役どころなんじゃないかと思ってましたから。ところが、どっこい。バッチリじゃないですか。きょとんとした奇妙な間を作ったり、ニコニコしながら全共闘時代を思い出させる演説をぶったり。おかしなお父さんぶりが板についています。

「学校指定の体操服がこんなに高いのは、業者と学校が癒着しているからだ!」と常日頃言っている私としましては(笑)、上原一郎のやること、なすこと、共感してしまいました。彼らが西表島に移住して問題に巻き込まれた時に、妻が「どこに言っても同じなのね」とつぶやくセリフも同感。西表の問題なのに東京の有名キャスターだか、NPOだかが首を突っ込んでいる辺りを皮肉たっぷりに描いているのも、共感。このあたりの物語のディテールの面白さは原作の力なんでしょうね。

そして、沖縄キャストにいかにも素人くさい人たちにお願いしているのが、味があっていいのです。校長先生は「恋しくて」にも主演されていた女優さんだと思いますが、やはり沖縄の話には沖縄の人に出てもらわないと。そんな中、駐在さん役の松山ケンイチが光っています。彼はバイプレーヤーの方が存在感を出すと思うのは私だけでしょうか(Lは除く)。