Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ハンコック

2008-09-08 | 外国映画(は行)
★★★★ 2008年/アメリカ 監督/ピーター・バーグ
「鮮やかな転調」


今流行りの悩めるヒーローものから、どれほど個性的なものに仕上がっているのかをポイントに観賞。何の予備知識もなく見た方が面白いという周囲の声に従いましたが、これネタバレしたら、面白いこと何にもなくなりますやん!と、いうわけでとっても感想の書きづらい作品です。

まさしく、ネタバレできない後半への物語の転調ぶりが実に鮮やかです。これが、この作品の一番いいところですね。ええっ?と思っている間にあれよあれよと、全く違う物語が始まる。強大なパワーゆえに嫌われ者になっているハンコックですが、彼の投げやりな言動は、記憶喪失の天涯孤独な身の上から来ています。その彼の孤独感が、この転調を境に浮き彫りになっていきます。

それでもかなり荒唐無稽で、説明不足な感もあるのは事実。そこは敢えて語らず90何分にまとめあげることを優先したのかなという気がします。コンパクトに仕上げることを、優先した、というのは、それはそれでアリな感じもします。説明不足によるモヤモヤ感もハンコック演じるウィル・スミスの孤独感がきちんと伝えられていたので、あまり気にはなりませんでしたね。むしろ、彼の取った選択にちょっと胸を締め付けられたりして、うるっときそうになりました。

ただ、カメラがぐらぐらと揺れるのが終始気になりました。冒頭のベンチのシーンは、ハンコックがアル中だから、彼の目線を描写しているんだろうと理解できます。それでも、大きなスクリーンに映るアップの顔がぐらぐらと揺れているというのは、気分的に耐え難いのです。映像関係のお仕事の方にお尋ねしたところ、これはステディカムではないかとのこと。やはり、アクションシーンでなく、人を映す時はカメラは固定して欲しいと思う、旧型人間なのであります。

さてさて、明かされた秘密の件ですが、これは突っ込めば突っ込むほど、宗教的な世界観が絡んできそうです。本作では、突っ込めるほど明らかになっていないので、何とも言いようがありませんが、この隠し具合はどうやら「ハンコック2」を作ろうという製作者側の意図が見えます。そうなった時に、しっかりと世界観が構築できるのかというのがポイントになると思います。私は、アダムとイブの物語なのかな、と思っているのですが。あっ、ネタバレ?