Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

カフカの城

2008-09-21 | 外国映画(か行)
★★★★ 1997年/オーストリア 監督/ミヒャエル・ハネケ
「私にはコメディでした」




私の感性が変なのでしょうか。可笑しくて可笑しくてしょうがありませんでした。笑いのツボとなったのは、「ふたりの助手」であります。まず、その登場シーン。「君たちはそっくりだね」って、画面が切り替わると全く似ていないふたり。女と寝て、ふと見やると一部始終を見ていたであろうニヤつくふたり。帰れと言われても、どんどんとドアを叩き続けるふたり。どこにでも現れる神出鬼没ぶりが可笑しくてたまりません。

書類を探すシーン。戸棚には書類の山。探せば探すほど山が崩れてきて、挙げ句の果てには、戸棚から書類がドサーンと落ちる。ほら、これじゃ見つからないよねって、どこかで見たことあるようなベタなギャグシーン。一時が万事、K氏が猛吹雪の中を歩くシーンから始まるショートコントの連作のようなのです。

私にとって不条理とは、解決不能な苦悩ではなく、笑い飛ばしてやるシロモノと言うことでしょうか。なんて、自己分析。

「城」が何を意味するのかと言うことに明確な答などなく、もがいても辿り着けない物としての対象物は、観賞する人によっていろいろ想像できるのではないでしょうか。ゆえに、「城」を何と捉えるかは、観賞者の現在の心境を如実に反映する物語のような気がします。私の場合、「城」など実在しておらず、よそ者を困らせてやりたい村人たちの意地悪、なんてことも考えたりするわけです。何せ、わたくし都会からのIターン人間ですから。あの助手ふたりは、精神的に追い込まれたK氏が生み出した想像の産物かな、と思ったりもします。怒りの矛先を自分に向けると心が参ってしまうので、その対象物を架空の人物として創り上げたのでは、なんてね。

エンディングがどのようなものかは、何となく知っていたので、ハネケ作品でも後回しにして見てしまいました。さて、みなさんは「城」は何だとお感じになったのでしょうか。