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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

安倍首相首相の目指す方向性と課題 既得権維持しか頭にない官僚

2007年07月08日 16時52分39秒 | 国際・政治

 安倍首相はホワイトハウスよろしく側近の補佐官グループを置いた。おやおや国家戦略に基づく強力な官邸指導がきるかと期待させたが、形だけ似ていて機能していない。各大臣は必ずしも意図どおりに動かず勝手な発言を繰り返し、毎度、安倍首相がかばうものだから、ガタガタになってきている。この原因は、補佐官と大臣の関係があいまいなためである。日本では官僚や官僚組織の力が突出しており、名目に近いとは言え、官僚組織が担ぐ大臣の力が大きくなる。補佐官には組織も予算も実施部隊も無い。この点は、アメリカの大統領が有力ブレーンを引き連れ、各省庁のトップと入れ替えてしまうやり方とは異なる。挙句の果てに、強行採決を連発することとなった。

 安倍首相は若いのに、古い体質の政治家で、人気を取るために、前小泉首相の改革路線を無理に引き継いでいる。しばしば衣の端から、戦前の青年将校のような気質が見え隠れする。米下院の慰安婦問題の対応は、いかに彼が事実を把握できていないか、また古い概念を妄信して判断を誤っているかが分かる。(彼の発言は時代錯誤だ。事実がどうこうより、一度でも韓国に出向き、迷惑をかけましたと謝罪すれば、どれだけ日韓関係が好転することだろうか)そのために、ドタバタというか、大きなブレがしばしば見られる。頭が固くて、若い割にはセンスがない。恵まれた環境に育ち、お金の面で無理する必要のないのと、身長が高く、ハンサムで女性受けするところが長所だ。

 私だったら、上席大臣という、大臣の上の指導大臣を置き、首相のブレーンにするだけでなく、大臣の人事権を与える。官邸では首相と上席大臣の指導の下、官邸スタッフが情報収集、分析、国レベルのシミュレーション(少なくとも1テーマで3モデル)を実施し、国家ビジョンを作り内外に認知させるとともに、国家戦略を立てる。上席大臣は国家戦略を実行するよう、省庁ごとにブレークダウンし大臣をきめ細かく指導し、出来の悪い大臣は首相の承認を得てどんどん首にする。当然、首相の位置に沿って動かない事務次官も遠慮なく首にする。(首にした事務次官は特務員として、官僚組織から独立させ、実績評価で官僚機構改革、政府の無駄遣い摘発、資源調査と確保などを担当させればよい。自分のことしか考えていない事務次官は多いから、特務員は大量にできることになる)日本の組織は上下関係を作らないと動かない。

 アメリカ大統領は直轄の組織であるCIAを持ち、寝る前に例えば日本の問題についてどうすべきかCIAに宿題を与えておけば、CIAは日本だけでなく世界中のその問題に関する情報を収集し、分析し、朝大統領が起きた時には回答が出されている。安倍首相は自国の日本に関してブッシュ大統領より100倍は知っているだろう。ところが、日本に関する戦略的なテーマについて、ブッシュ大統領は安倍首相の10倍もの情報を集める事が出来る。当然、首相、または官邸は独自の調査機関を持たなければならない。

 ところで、政府官僚組織などは世界的に優秀なシンクタンクと公言していたはずだが、1バブル崩壊後このシンクタンクはどう機能したのであろうか。また、日本には1000を超えるシンクタンクが有るが、経済対策に対して何を提言し、具体的にどのような効果を上げたのだろうか?結果を見れば明らかだろう。失われた10年などと人ごとのようなことを言って責任を逃れているが、日本のシンクタンクは、バブル崩壊後の経済浮揚に関して全く役に立たなかった。むしろ責任を回避することに四苦八苦した。厳しく言えば、冷戦構造崩壊後の新しい世界秩序の中では、既得権構造の官僚組織が日本発展の最大のがんである。民間のシンクタンクは政府のひも付きであり、本当のことを言えない。

 官僚は素晴らしく頭の良いスーパー知識エリートであり、誰もがその能力を認めざるを得ない。ところが、力を発揮するのは、教科書や実績のある範囲である。作文を作らせると120点ぐらいの作品を作る。ところが、あくまで作文の範囲を出ず、予算をとることが目的であって、その結果については責任を問われることが無い。従って、いかに騙すか、あるいは政治力を発揮して分捕るかが勝負になる。日本が発展途上時代は欧米から情報をキャッチアップするという方法で、知的エリートが力を発揮できた。ところが、日本が経済大国になり技術などで先頭に立つと、欧米は情報を絞った上に、キャッチアップできる情報が無くなった。しかも、最も肝心なトップや指導層のあり方であるリーダーシップとか戦略的手法については、最初からキャッチアップできていない。

 官僚組織は新しい課題、難しい課題に遭遇すると、先送り、棚上げ、封印すると自ら認めている。冷戦終了後は成功方程式がひっくり返り、どんどん新しい困難な状況が生まれることになった。これに対して、官僚組織は全く対応できなくなった。例えば、アメリカが公共事業費の支出を求めたことに悪乗りし、バブル崩壊後はただ税金をばらまき続けて、経済は何ら浮上せず、1100兆円という膨大な借金を作ることになった。現在の経済復興はイラクに自衛隊を派遣しブッシュ政権の協力を得たことや、民間企業が政府に頼らず自力で実績を伸ばしたことが主因となっている。

 事務官僚など知識エリートは知識・実績など極めて薄っぺらく狭い範囲しか扱わず、そのミクロ領域では凄い能力を発揮する。彼らは従って、全ての問題を自分の得意なミクロの領域に持ってくる。ところが、蟻のように身の回りのミクロの範囲しか見えないために、全体を見失い、とてつもないミスを犯す。言ってみればミリ単位のことには強いが、キロメーターになると歯が立たないようなものだ。ミリ単位で正確でもキロメーター単位でミスすれば全く意味がない。それが現状だ。私はお役所より管理統制的な電力会社にいたからそのことがよく分かる。

 戦後、日本にアメリカスタイルやデモクラシーが導入されたが、日本組織の本質は戦前と変わっていない。「失敗の本質」では教科書エリートの軍部指導者にとって、授業で習ったような状況は一度もなく、対応できず、決定的な作戦ミス、手痛いタイムリーミスを繰り返したと報告している。会田雄次は日本軍が一度夜襲をかけて成功すると、2回目からアメリカ軍が待ち構えているにも拘らず、何度失敗しても夜襲を繰り返したと書いている。

 社会保険庁に代表されるように、官僚組織は既得権維持管理組織の最たるもので、国民のことなど何も考えてない無茶苦茶な存在であり、性善説に立って改善されることを求めるのはどだい無理というものである。自民党であれ、民主党であれ、どちらでも良い。官僚機構を真に日本の発展に貢献できるよう、大改革を進めることができる政党が政権を取るべきだ。ただ、現状では自民党独裁が長すぎ、腐敗しきっているので、どの角度から見ても政権交代すべきだろう。

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