人間の先祖は恐竜の足元を逃げ回っていたネズミだったと聞いてもピンと来ないが、我々が感じる恐怖、怖い夢はご先祖様の記憶や感覚が継承され影響してきた可能性は高まっている。ネズミが受けた恐怖は代々受け継がれることが分かった。これは進化を考える一つのヒント(情報の継承)なんです。
最近、進化関連で面白かった本は、①アダム・ラザフォードの「生命創造」、②長谷部光泰の「進化の謎をゲノムで解く」などかな。生命創造は頁の半分から印刷方向が逆になるという変わった本で分かり易く面白いのでお勧め。これらの書籍はいずれもダーウィン説を支持している。
②で出て来る擬態は大きな進化の謎だ。シロオビアゲハ(上の写真)はベニモンアゲハを真似するのだが、同じ紅でも色素が異なっているのが興味深い。アリグモ(下の写真)は蟻にそっくりで、動きも真似をする。最後4枚は変装が見破れるだろうか。
今年の日本進化学会のポスターには教科書に出て来るお馴染みのダーウィンの顔スケッチが全体を覆うもので、世界的に進化論がダーウィン一色であることが分かる。ダーウィンで決まり!と言う感じ。僕はへそ曲がりなので、ますます、疑いを深くしてきた。
来年の電気学会に発表する戦略的進化説の原稿をまとめていて、「ダーウィン進化説は単なる自然現象じゃないかな」が率直に湧いてきた印象だ。ダーウィン説はいわば性善説に立っている。
突然変異が都合良く環境に適合した生体システムに変化するという願望だ。しかし、そうはならない。中立説によると「遺伝子の変化は良くも悪くもならない、中立である」というもので、遺伝子がランダムに変化する事を示唆している。(先頃、「分子進化のほぼ中立説:大田朋子」が認められたようだ)
遺伝子のミクロな変化では影響が無いが、大きなところでランダムに遺伝子が変化すると、遺伝子の正常なシステム構成が壊れてしまう。突然変異が連続すると次第に遺伝子が壊れて行き、遺伝子はノイズに収束する可能性が高い。
例えば、「遺伝子の変化は良くも悪くもならない、中立である」の文章をランダムに変化させた場合、「、」を「。」に替えても意味は変わらない。しかし、「変化」と「中立」を入れ替えると、「遺伝子の中立は良くも悪くもならない、変化である」となって何だかわからない。
例えがおかしいとお叱りを受けるかもしれない。僕が言いたいのは完成している組み合わせをランダムに変化させる時、別の完成した組み合わせに出来るのは宝くじに当たるようなもので、生物がそのようなリスクが高すぎる方法は採用できない。
ましてや変化が都合良く、更に高度な生体システムが実現するはディズニーの魔法の世界。海水が川をさかのぼりダムに逆流するようなものだ。自然の摂理に逆らっている(エントロピーの第二法則)。逆流にはポンプのような仕掛け(逆流メカニズム)が必要だ。
進化論でも、共生説、ウィルス説、中立説はいずれも進化のメカニズムを明確にし、或いは説明している。ただし、これらは部分的な進化の説明に留まる。進化全般を説明できる有力説が無いので、ダーウィン説が残っているのではないかな。しかし、ダーウィン説は逆流メカニズムを明確にしていない。
僕の戦略的進化説(名前は2014年から)は2003年から電気学会全国大会で発表し初め、残念ながら誰も支持していないが、僕の頭の中では次第にメカニズムが明確になりつつあり、特に今年10月18日、論理的にはこれだという閃きが生まれた。
この進化説は元々生化学的なソフトウェア(評価システム)を進化の駆動力とするもので、何者がどこでソフトウェアをどのように動かすかが長い間の課題だった。次回電気学会ではここを明らかにする(英文)。生体での確認や実験は世界にお任せする。
世界の天才達も、進化にはソフトウェアが必要な事は認めざるを得ない。これは確信できるよ。僕が保証するのだから間違いない。最初のネズミの話:ダーウィンは獲得形質の遺伝を否定しているが、実は情報継承が進化では重要な役割を果たす事をまた改めて書きましょう。
おまけ:写真で紹介した擬態の事も、免疫(遺伝子再構築が興味味深い)の事もそれを作ることが可能なメカニズムを説明できる。