確かに、オバマ大統領は野田首相を笑顔で迎えてくれた。同盟国だからアメリカは悪いようにはしないと、自ら納得した人が多かったと思う。しかし、あらゆる角度から眺めて、アメリカは、少なくとも指導層は、日本、とりわけ日本政府に対して良い感情を持っていないことは確かだ。
何故なら共産党一党独裁の中国に対する関心や新密度は極めて高く、隣国の韓国に対しては、オバマが李大統領に対して高い新密度を見せ、協力関係もうまくいっている。一方で、オバマほか、アメリカ側の日本首脳に対する接し方は儀礼的だ。内心、どうしようもないなと思っているに違いない。
どう客観的に見ても、現在も、将来もアメリカにとって日本の存在は極めて重要であるが、そのような対応も、姿勢も見られない。つまり、前から言っているように、アメリカは日本を一種の植民地として利用しているのであり、同じ、人間同士としては付き合わないし、評価もしていない。
例えば、日本は為替に関してものすごく鈍感で、量的緩和も、為替介入も消極的なため、経済的に追い込まれているアメリカにとって、日本の為替は助け舟(負債受け皿)になっている。(同時に日本は世界中の救済機関になっている) ドルが円に対して下がれば下がるほど、アメリカ国債の価値は下がり(借金棒引き)、競争力は高まる。
それでは、アメリカは日本に感謝するかというと、「とろい」日本に対して為替戦略を仕掛け勝利しているのはアメリカの力量であり何ら日本に感謝する筋合いではない。おまけにアメリカは日本のすべての電話を盗聴し、政府の隅々まで諜報機関が入り込み、自国の有利に導いている。これも、アメリカにとっては自らの実力を発揮しているに過ぎない。
然しながら、アメリカは植民地日本から搾り取るものはあらかた得たので(日本のビジネスをアメリカや旧英連邦にシフトさせた。情報を元に何度も日経平均の高値で空売りを仕掛け、ごっそり日本の金を持って行き、流石に日本人も気が付いて株をやらなくなり、今や東京株式市場の70%近くが米欧プレイヤーとみられる)、戦場は中国に移っている。
中国では日本を最大限利用して果実を生み(日本の大半の製造業が、資金とノウハウを提供し、技術者を教育し中国の製造量を世界レベルに引き上げた)、ある程度の利益を得たが、逆に将来、アメリカの首を絞めることになることはまず確実であろう。
別の角度から見ると、確証はないのだが、アメリカは日本と日本の隣国との間にトラブルをもたらせているようだ。本来、アメリカは北方領土、竹島、尖閣諸島などの問題に対して積極的に解決を図っても良いのだが、むしろ裏で領土問題を悪化させているようだ。日本が韓国、ロシア、中国と緊密な協力関係になって、アメリカにとって良いことは何もない。
アメリカは日本の重要情報を日本の首相以上に知っているし、官僚や日銀などの組織には必要最低限度の諜報組織が定着しコントロールできている。だから、アメリカは日本に関してより基本的なことに関しては何でもできるのだ。スパイ防止法律が無く、諜報機関の活動に気づかず何の抵抗もなく受け入れ、コントロールされている国は少なくとも先進国では、日本以外にはない。
これらの理由について、一つは、第二次世界大戦で日本が戦争布告せずに真珠湾を攻めたこと、次に、高度経済成長時代に経済活動を「経済戦争」としてアメリカを攻め現実にアメリカを買い漁ったことがあげられる。
9.11の現場で、アメリカ人は世界貿易センタービルの惨状に接して「パールハーバー」だと叫んだ。いまでも、日本に対する潜在的な憎しみは消えていない。消える前に、経済戦争を仕掛けられ、退治していたソビエトより日本の方が脅威になっていたのだ。