まず認識してもらわなければならないのは、山本がハワイを攻撃しなかったら、アメリカと戦争にはならず、日本は多くの国土や国民や財産を失っておらず、原爆を投下されることも無かった。ハワイ攻撃は山本の個人的な選択だった。
元々、山本はアメリカと戦争してくれるとの薩長閥の期待で、連合艦隊司令長官に選ばれたようだ。山本がハワイを攻撃したい、ハワイを攻撃したい、ハワイを攻撃したいと言うもので、近衛文麿も辞められたら困ると考え、許可したらしい。
次に、ハワイ攻撃は事前に駐米大使館員がアメリカ政府に宣戦布告書を渡したのを無線で確認すべきだったし(攻撃後に宣戦布告したため今でもアメリカから騙し討ちと言われるのは当然)、キリスト教の安息日である日曜日(朝)は外すべきだった。
山本はくれぐれも宣戦布告は攻撃前にアメリカに渡すようにと何度か申し伝えた事が記録に残っている。しかし、様々な角度から見て、宣戦布告を攻撃後にする阿吽の呼吸作戦だった。言うこととやることが異なるのは日本では常套手段だったし、現在もそうではありませんか?
しかも戦前の計画はハワイやミッドウェイを攻撃するのは絶対に避け、アジアのイギリスなどの石油資源や貯蔵タンクを奪い、次にインドの独立を支援するものだったので、楽々勝利する戦略だった。このプランを実行しておれば日本が勝利していたとアメリカの専門家も判断している(林千勝)。
僕は山本が強大だったアメリカと戦争を始めたことは、正気の沙汰ではないと思う。万が一ハワイを攻撃するなら、陸軍と協力してハワイを支配下に置き、日本軍の基地とし(莫大な石油を蓄え、軍事設備が有った)、アメリカ人を大切なお客様として保護した上でアメリカ本土を攻撃すべきだった。
そして適切な時期に、アメリカからの石油の購入再開を条件にハワイ返還を交渉すればよかった。アメリカは許諾せざるを得なかっただろう。
アメリカと戦争になれば、負けることは昭和天皇をはじめ、軍部でも共通認識だったらしい。午前会議において昭和天皇はアメリカ攻撃をしない事で了解していたから、騙されたわけだ。それにもかかわらず、昭和天皇は玉音放送で終戦に導き、自らの命は投げ出す覚悟だったというから、日本国民全員が感謝しなければならない。
僕の考えでは山本はアメリカの工作員に洗脳されている。山本は2回訪米し、各地を回っている。ところが、どこに行ったか誰に会ったかなどの詳しい状況が分かっていない。多分、工作員からハワイを軽く攻撃し脅せば、アメリカ人は恐怖で日本との交渉に応じるなどと吹き込まれた。実際、アメリカ人の多くは日本がロシアに勝って以来、恐怖を感じていた。
その根拠として、日本軍はハワイの軍事基地に大打撃を与えていない。巨大な石油基地(アメリカ海軍の1年間分程度を蓄えた)は無傷だったし、沈めたのはポンコツ船だった(空母や新鋭艦は事前に回避していた)のに山本が気にしていない。山本は、攻撃中に広島の柱島にヤマトを配置し将棋だかやっていて、南雲(ハワイ攻撃の総指揮官)はすぐに引き上げてくるよと語っている。
最も、考慮すべきは山本の奇襲作戦がアメリカ政府にとって、望んでも実現が難しかった出来すぎの結果になった事だ。
①アメリカ国民は戦争したくなかった、
②日本軍が騙し討ちをしたとセンセーショナルに報道させ、一気に戦争モードに引き上げた
③原爆を日本に投下させる強い理由が出来た(ドイツか日本に投下する予定ではあったが)
④山本のおかげでアメリカ国民が戦争を支持し対ドイツ戦に加わることになった
⑤日本軍がアジアのイギリスなどを攻めていれば、日本は石油を入手し大勝利に終わっていたストーリーを壊せた