京都大学再生医科学研究所の山中伸弥教授は昨年もマウスで万能細胞の開発に成功している。その時、人間は永遠の命を得たかもしれないと書いた。(そのブログはOCNのミスで消されてしまった) 今回、成人の皮膚での成功はまさに神の領域に到達する偉業であり、ノーベル賞10個分に相当すると思う。
私は大学にいた関係でES細胞のことは知っていた。ES細胞は当時から再生医療に役立つことが期待されていた。ただし、拒絶反応や倫理上の問題もあった。もし、自分の皮膚から作り出すことができれば、これらの問題は一挙に解決する。4つの遺伝子を同時に、投入するというのはなかなか思いつかないアイデアだと思う。山中教授は大学の研究者として優秀なだけでなく、現場的に優れた知恵と発想力を持った人だろう。
今後の課題は任意の臓器をどう作り出すか、ガンの発生をいかに抑制するからしい。実は「いもり」だったか、もっと原始的な動物では、受精卵にホルモン(アクチビン?)の濃度を変えて加えることにより臓器の作り分け(心臓、血管など)ができる事が古い雑誌で報告されていた。臓器の作り分けの問題、ガン関連の遺伝子を使わない方法などは早晩解決するものと予想される。
まさか、こんなに早く万能細胞の開発ができるとは思っていなかった。しかも、かなり分裂の進んだ大人の細胞である。永遠の命を得る事が良いことか、どうかは分らない。ただし、様々な夢と期待を創造したことだけは確かである。
私は、かつて1990年代の初めのことであるが、神がいるとしたら間違いなく、「私からあなた方・人間に贈った最大のプレゼントはあなた方自身ですよ」と語るに違いないと確信した。人間の体は現在の科学をもってしても、到底到達できないレベルの優れた機能・能力をもち、ほとんどがまだ解明できない。遺伝子解読などは全体像から言えば、ほんの入口の端に過ぎない。