■瞬間少女 c/w GRADUATION / AMY (London)
熟れなかったが故に幻化する歌手やレコードは数多ある中、それが伝説として扱われるのであれば、本日ご紹介のシングル盤をデビュー作とした AMY (エイミー) も、幸せな存在かもしれません。
これが発売された昭和57(1983)年3月、音楽マスコミでは局地的にイチオシする動きもあったそうで、サイケおやじも、このシングル盤は「見本盤」として業界の知り合いから頂戴したものでした。
なにしろ、その話題性は当時、売れっ子のセッションギタリストとして大活躍していた松原正樹が相当に力を入れてプロデュースしていたという状況からして、プロっぽい実力派という先入観年もあったんですが、実際にレコードに針を落として流れて来た歌声は、なかなかの初々しさが滲んだアイドル歌謡ポップス?
そ~したイメージが第一印象でありました。
実は彼女は所謂シンガーソングライターという括りでも売り出せた才能があったそうですが、しかし、現実的なデビュー作「瞬間少女」は作詞:西尾尚子&作曲:黒住憲五、そして編曲とプロデュースが松原正樹というクレジットが確認出来る様に、所謂職業的な作風が優先された感が強く、既に述べたとおり、アイドル歌謡を強く意識した仕上がりは、彼女の瑞々しい声質を活かした企画だったのでしょう。
しかし、それゆえに、どこかしらリアルタイムでアイドルシンガーのトップを競っていた松田聖子と河合奈保子のイイトコドリの様にも思えたのは、例によってサイケおやじの天邪鬼でしょうか……。
ところが、B面「GRADUATION」は、微妙な泣き節が冴える名曲にして名唱♪♪~♪
そこで、ソングクレジットを確認してみれば、作詞と編曲はA面と同じく、西尾尚子と松原正樹なんですが、作曲は AMY 本人だったのですから、正に自らの個性が活かせたように思いますねぇ~~♪
ただし、それゆえに地味な印象も免れず、このシングル盤はヒットしたとは言い難い状況でしたから、同時期に制作発売された、おそらくは唯一のアルバムも今では幻化している現実が……。
いゃ~~、それは実に勿体ないですよっ!
なにしろプロデュースとアレンジ、そしてバックの演奏にしても、松原正樹が完全に現場を掌握した完成度があるんですからねぇ~~!?
このシングル盤に顕著なアイドル志向よりは、ソフト&メロウ、あるいはAOR的なサウンドに彩られた彼女の歌声に癒される事は必定と思いますねぇ~~。
そのあたりについては、追々に件のLPもご紹介しようと目論んではおりますが、CD化された事って。あるんでしょうか?
既に述べたとおり、レコードそのものが売れていなかった現実がありますから、あえて「幻化」と書いたんですが、ある意味では典型的な昭和AORの名盤でもあり、アイドル歌謡ポップスのステレオタイプが楽しめる1枚でもありますから、CDは絶対に必要と断じてしまいます。
ということで、肝心の AMY 本人については、今も知るところが全くありません。
だからこそ、余計に「幻」というレトリックを弄したくなるのは、サイケおやじの思い込みの強さとご理解いただければ、幸いでございます。