OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

石黒ケイには港が似合う

2020-06-26 19:34:25 | Singer Song Writer

港のマリア c/w 雨 / 石黒ケイ (ビクター)

本日掲載のシングル盤の主役たる石黒ケイも、昭和の芸能界では、ある意味じゃ~罪作りなシンガーソングライターで、まずは昭和52(1977)年のレコードデビューからして、そのシングル曲「恋人時間」が筒美京平直々のプロデュースでありながら、リアルタイムでは決してヒットしたとは言い難い状況であるがゆえに後年、オリジナル盤がコレクターズアイテム化している事から始まり、さらに昭和55(1980)年に発売されたジャズテイストに彩られたLP「アドリブ」には、なんとっ!

モダンジャズの天才にして人気アルトサックス奏者のアート・ペッパーが参加しているという、これまた世界中のマニアが血眼になって欲したアルバムなんですから、たまりませんっ!

もちろん、サイケおやじにしても、特に後者は海外のジャズ愛好家に頼まれて新品や中古をゲットしては現地へ送った事が数度あるほどです。

しかし、石黒ケイの魅力は、そんな話題性だけではなく、自作曲を演じられるという強みを活かした、なかなか魅力のある歌手であり、その雰囲気の醸し出し方には確かに好き嫌いがあるかもしれませんが、サイケおやじには、趣味性を超越したナチュラルな魅力を感じる存在です。

で、掲載のシングル盤は昭和57(1982)年に発売された1枚なんですが、特筆すべきは本人が作詞作曲のA面曲「港のマリア」が、同時期に製作されたアルバム「Yokohama Ragtime」に収録されたテイクとは異なる、つまりはシングルバージョンですから、要注意!

その違いは、まずアルバムバージョンは様々な港のざわめきを入れたSEが使われ、武藤祐二のアレンジによる、所謂アンプラグドなムードであるのに対し、こちらのシングルバージョンは大野克夫が編曲したホーンセクション入りのソウルジャズ風味に仕上がっておりまして、楽曲そのもののアンニュイな情景描写を別角度から表現していく石黒ケイのボーカリストとしての実力は、それぞれの魅力に満ちているんじゃ~ないでしょうか。

ただし、サイケおやじとしては、吉川忠英のアコースティックギターによる素晴らしい伴奏が寄り添うアルバムバージョンが、どちらかと言えば好きですねぇ~~♪

それでも、このシングル盤の価値が聊かも損なわれないのは、B面に収録された作詞:田口美由紀&作編曲:武藤祐二が提供の歌謡ソウル「雨」の素晴らしさがあるからでして、実は楽曲そのものは前述のアルバム「Yokohama Ragtime」にも収録され、テイクも同一のはずなんですが、やはりアナログのシングル盤特融の「45回転」の魔法という事なんでしょうか、その音圧の強さゆえに歌も演奏もグッと前に出ている感じで、なんとなくミックス違いにも思えるんですが、いかがなものでしょう。

また、このスリーブデザインは所謂エロジャケという分類にも当てはまる、これはこれで好事家の興味を集めるんじゃ~ないでしょうか。

しかし、それでも石黒ケイのボーカリストとしての魅力だって不滅!

現在では活動も縮小されてはおりますが、残された音源の主なところはCD化されているはずですので、機会がございましたら、お楽しみくださいませ。

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