Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

耄碌ジャズ・恍惚ジャズ

2014-02-03 08:27:09 | ジャズ


先日,「酩酊ジャズ」というブログを書いたのだが,酔っぱらい演奏の特徴 - くどい,間違える,リズムが不安定,独りよがり,etc - は,だいたい老人の演奏にも当てはまる.歳をとると言うことは,慢性アルコール中毒のようなものなんだろうか.

しかし酩酊ジャズと異なり,老人のジャズに特有の現象もいくつかある.
いつだったか,京都のライブハウスに入ったら,お年寄り主体のバンドで.悠揚迫らぬ,いい雰囲気であった.しかし,しだいにテンポが遅くなる.学生バンドと全く反対の現象! そのうち,フロントの ts 爺さんは,背中が痛いとか言って帰ってしまった.

もちろん,歳をとってもちゃんと演奏し,聴衆に感銘を与える方もたくさんおられる.しかし,出来不出来のムラは激しいようだ.
老大家のバンドによるライブでは異常に休憩時間が長かったりする.
某老大家は,まことに調子良く演っておられたが,後テーマに戻るときになって,サイドマンに「この曲なんだっけ,え? え?」と聞いていた.
これとは別に,曲が分かっていて,演奏もできるけれど,タイトルが分からないということはもっと多い.これはヒトの名前が出て来ないのと同じことだろう.

落語とジャズは似ている.数年前,テレビで自分より2歳上の柳家小三治が,出来る噺がいくつもなくなったと言って嘆いていた.ジャズの場合も,歳を取ると古い曲は忘れ,新しい曲は覚えられなくなる.老眼で楽譜なんかわからない...とか言っちゃって,若いときも楽譜は読めなかったんだけど,でも見えた.

ファンの立場になると,名人が目の前で何か演ってくれるだけでありがたいと感じることもある.
古今亭志ん生は高座でいねむりをしたそうだが,ジャズは集団演奏なので,こういう場面は共演者がカバーしてしまうかも.

タイトル曲は「夢見る頃を過ぎても」.歳取ってからのことを思いやる内容だが,やたらキスを連発するあたりはやはり若い人たち (正確には,今は亡き方々の若かりし日の) の演奏だ.字幕と異なり.Tempo Jazz Men (1946), Dizzy Gillespie (trumpet, vocals) Lucky Thompson (tenor saxophone, vocals) Milt Jackson (vibraphone, vocals) Al Haig (piano) Ray Brown (bass) Stan Levey (drums) の演奏と思う.


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