
和田誠「装丁物語」白水社(1997/12),白水 u ブックス(2006/12)
菊地信義「装幀思案」角川学芸出版(2009/03)
司修「本の魔法」朝日文庫(2014/01)
和田本は著者が装幀した本について話したことをそのまま活字にした感じ.谷川俊太郎,丸谷才一,村上春樹など,装丁に和田さんを指名する文筆家は多いが,そのいきさつも興味深い.装丁に関係するヒトには How-to-Soutei 的に役立つ部分も多いだろう,
菊池本は主として他人の装幀を装幀家の目で楽しむ本.原則として1冊につき写真が1ページ,文章が2ページ.その文章は文学的.写真で見るようにこの本自体は無愛想な表紙だが,ここで紙質やフォントにいかに神経が使われたかが,この本を手に取って中を読めば類推することができる.図書館で借用.
司本は装幀した本(純文学がほとんど)の内容と,その本の著者との交流に,司さんの人生を重ねたエッセイあるいは連作私小説みたい.一冊に関する記述が 10-30 ページ.力が入ったのも抜けたのもあって,緩急自在.対象とする本の表紙の写真は文庫本では切手くらいの大きさしかない.これ文庫版のカバー絵でピエロが読んでいるのは同じ内容の単行本らしい.解説 堀江敏幸.

話は違うが,16 とん著「音律と音階の科学」電子書籍版は,いきなり扉から始まり,あしたのんきサンのカバーイラストにお目にかかれないのが残念.著作権の関係かも.
でも電子書籍化が装丁の楽しみを奪うのは確か! そう言うわけで,自分の電子書籍には表紙のイメージを付け加えた.