Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

古書「数学的センス」

2017-01-07 10:02:20 | 読書
古書はもっぱら読むために買う.財産投資のつもりはない.しかし年金生活者の財産節約にはなる.この本も,ちくま文芸文庫で 1000 円だが,古書ならハードカバーで 300 円.ちなみに刊行時の定価は 2500 円.

野崎昭弘「数学的センス」日本評論社 (1987/10).

19984-85 年の雑誌「数学セミナー」連載を再編したもの.全 16 話.著者あとがきによれば,「空間のセンス」「美的センス」「知的センス」の3話が中核で,他の話はすべてこれら3話への「いろいろな角度からの補足」だそうだ.

例えば,「美的センス」.
 3角形の内角の和は2直角
 4 角形の内角の和は 4 直角
 5 角形の内角の和は 6 直角
 6 角形の内角の和は 8 直角

というわけで,「n 角形の内角の和は (2n-4) 直角」である.この証明はいろいろあるが,美的センスがあるのは

 内角の和 = (内角の和と外角の和の合計) - 外角の和

を使う方法だという.図によれば,ひとつの曲がり角での内角と外角の和は2直角.ゆえに上の式の右辺第1項は 2n 直角.外角の和は,図のように多角形の周りを一巡すなわち 360 度回るに過ぎないから,4直角.したがって,n 角形の内角の和は (2n-4) 直角となる !!



著者は高木貞治が「代数学講義」の中で「美シイ」とする定理などには違和感があるようだ.著者は「わかる」ことのよろこび,わかりかた = 証明法に「美」を見出しているらしい.

安野光雅によるブックデザインが美的センスにあふれた本.
80 年代には「数学セミナー」をときどき読んでいたはずだが,この連載は覚えていない.
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