Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ジェリーフィッシュは凍らない

2019-07-06 09:12:59 | 読書
市川 憂人,創元推理文庫(2019/6).
単行本刊行は2016.2017年度「このミステリがすごい」の第10位.

帯の惹句*****
『そして誰もいなくなった』への挑戦でもあると同時に『十角館の殺人』への挑戦でもあるという。読んでみて、この手があったか、と唸った。目が離せない才能だと思う。- 綾辻行人
小型飛行船で起こる、連続殺人の驚愕の真相!
第26回鮎川哲也賞受賞作*****

閉塞した空間で全員が殺される『そして誰も...』はペーパーバックで Ten Little Niggers のタイトルで読んだ覚えがある.『十角館...』も読んだはずだが,内容はまったく覚えていない.とにかくそういうのだとすれば好きなので,購読.

Amazon の内容紹介*****
特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところが航行試験中に、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。さらに、自動航行システムが暴走し、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。脱出する術もない中、次々と犠牲者が……。21世紀の『そして誰もいなくなった』登場! 精緻に描かれた本格ミステリにして第26回鮎川哲也賞受賞作、待望の文庫化。*****

表紙のイラストで,ジェリーフッシュはクラゲだなと,納得.

全12章の奇数章は小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉上.偶数章は倒叙で,地上で全員殺戮の謎を警察が追う.6つのインタールードで,回想場面が挿入される.
登場人物は刑事1名を除きアメリカ人らしい名前.フィリップ・フアイファー教授とか,漫画的な命名.女性警部の言動も漫画的.地名はU国,R国,A州などと表記される.

単純な物理的なトリックをストーリーとその叙述でカモフラージュしている.1983年に設定されているが,SFっぽいところ,クリスティには「ずるい」と言われるかも.
一読後,奇数章を拾い読みすると,著者 苦心のミスリードが偲ばれる.捜査線上に浮かばない人物が犯人なのは,「この手があったか」とは思う.インタールードはこのための布石だったらしい.しかし全体をとおして,読者を納得させる筆力があったかどうか,微妙.
☆☆☆
コメント
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reading

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