Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ロジャー・マーガトロイドのしわざ

2008-05-08 15:13:50 | 読書
ギルバート・アデア著, 松本 依子訳.ハヤカワ・ポケット・ミステリ (2008/01).
ポケットミステリは造本のデザインがいいので,ときどき手に取りたくなる.

裏表紙の惹句をコピーすると,
1935年、英国ダートムーア。吹雪のため、人々はロジャー・フォルクス大佐の邸に閉じ込められた。大佐、その妻と娘、ゴシップ記者、アメリカ人青年、女流作家、牧師とその妻、女優、医師とその妻。やがてゴシップ記者が全員の秘密を握っていることを示唆し、彼への憎しみが募るなか、悲劇が起こる。密室状況で記者が殺害されたのだ。被害者のポケットには不可解なアルファベットが記された紙片が。やがてセイウチ髭のトラブショウ元警部が駆けつけ、大佐が重大な告白を始める。「私の本当の名はロジャー」……ミステリの枠を打ち破る超ミステリ.

以下 ネタばれです.

作者は純文学とか評論とかの畑のヒトらしいが,こちとらそんな方は存じ上げない.単にミステリとして見ると,犯人が秘書というのがどうかと思う.だって,使用人は犯人にあらずというミステリのルール*に抵触するか,しないか,微妙ではありませんか.
人間椅子というトリックも,おそまつ.

でも読み返すと,犯人の視点で周到に叙述されているらしいことがわかる.
アガサ・クリスティへのオマージュということだが,ストーリーにある種の一貫性が感じられるあたりもクリスティ的.
クリスティのミステリを読破したひとだけに分かる部分や,英国人になって英語で読んではじめて分かる部分も多いようだ.

* ネットで調べたらヴァン・ダインの20則にそんなのがありました.
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