東京創元社(創元SF文庫 2016/11).2016 年林芙美子文学賞の高山羽根子の第一短編集.
Amazon によれば*****
内容(「BOOK」データベースより)
犬そっくりの生き物を育てる三人姉妹の人生をユーモラスに描き、第1回創元SF短編賞佳作となった表題作、郊外のぼろアパートで暮らす人々の可笑しな日常「シキ零レイ零 ミドリ荘」、15人姉妹の家が建つ孤島をある日見舞った異常事態「母のいる島」、ねぶたの街・青森を舞台に時を超えて紡がれる幻想譚「巨きなものの還る場所」など、全5編を収録。第36回日本SF大賞候補作。
*****
帯の「新時代の感性が描くシュールで愛しい五つの物語」という惹句が的を射ている.
カバーにはバックに英語で Unknown Dog of Nobody の文字があり,頭文字をつなげると「うどん」になる.「うどん」は犬 (らしい生き物) につけた名前.他の短編もそれぞれ英語かどうかわからないが,横文字のタイトルがある.
表題作ではパチンコ屋のゴリラが啼いているのかと思ったら,赤黒くぬれた肉塊,生まれたばかりで粘膜に包まれた「うどん」だったという出だし.これが「一日目」で,以下,七日目・四年目・七年目・十一年目・十五年目と小見出しが続く.一日目には生存が危ぶまれたうどんだが,このぶんでは永久に生きるのではないかと心配になる.登場人物は (そして人間は) 犬や蟹やフクロウを飼うのだが.食べるためにでもなく働かせるためにでもなく,なぜ彼らを育てるかと言うことを,この作は問題にしたいらしい.しかし特にオチがあるわけではなく,それは他の作品も同じ.
この作は第一回創元 SF 短編賞佳作だが,「これは SF らしくない」が入賞しなかった理由だそうだ.
五つの短編は次第にシアリアスになる配列.ぼく的ベストは真ん中の「母のいる島」.
解説 大野万紀.
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内容(「BOOK」データベースより)
犬そっくりの生き物を育てる三人姉妹の人生をユーモラスに描き、第1回創元SF短編賞佳作となった表題作、郊外のぼろアパートで暮らす人々の可笑しな日常「シキ零レイ零 ミドリ荘」、15人姉妹の家が建つ孤島をある日見舞った異常事態「母のいる島」、ねぶたの街・青森を舞台に時を超えて紡がれる幻想譚「巨きなものの還る場所」など、全5編を収録。第36回日本SF大賞候補作。
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帯の「新時代の感性が描くシュールで愛しい五つの物語」という惹句が的を射ている.
カバーにはバックに英語で Unknown Dog of Nobody の文字があり,頭文字をつなげると「うどん」になる.「うどん」は犬 (らしい生き物) につけた名前.他の短編もそれぞれ英語かどうかわからないが,横文字のタイトルがある.
表題作ではパチンコ屋のゴリラが啼いているのかと思ったら,赤黒くぬれた肉塊,生まれたばかりで粘膜に包まれた「うどん」だったという出だし.これが「一日目」で,以下,七日目・四年目・七年目・十一年目・十五年目と小見出しが続く.一日目には生存が危ぶまれたうどんだが,このぶんでは永久に生きるのではないかと心配になる.登場人物は (そして人間は) 犬や蟹やフクロウを飼うのだが.食べるためにでもなく働かせるためにでもなく,なぜ彼らを育てるかと言うことを,この作は問題にしたいらしい.しかし特にオチがあるわけではなく,それは他の作品も同じ.
この作は第一回創元 SF 短編賞佳作だが,「これは SF らしくない」が入賞しなかった理由だそうだ.
五つの短編は次第にシアリアスになる配列.ぼく的ベストは真ん中の「母のいる島」.
解説 大野万紀.