Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

南の島のよくカニ食う旧石器人

2019-11-20 08:49:37 | 読書
藤田 祐樹,岩波科学ライブラリー (2019/8).

タイトルに惹かれて図書館で借用.人類学者の研究という,自分には想像がつかない世界が描かれている.出版社による内容紹介は
*****
日本の人類史でもっとも古く,長く,そして謎の多い旧石器時代.何万年もの間,人々はいかに暮らしていたのか.えっ,カニですか……!? ウナギを釣り,貝のビーズでおしゃれして,旬のカニをたらふく食べる.沖縄の洞窟遺跡の膨大な遺物から見えてきた,旧石器人のなんとも優雅な生活を,見てきたかのようにいきいきと描く.
*****

秋,カニがまるまると太る時期になると旧石器人はどこからかサキタリ洞にやってきて,カニをたらふく食べ,またどこかに去っていくのだそうで,まだまだわからないことが多い.

全6章のうちの第5章は,消えたリュウキュウジカの謎.島に暮らすうちに,資源と面積が限られ,敵がいない状況で小型化し,長寿を楽しんでいたシカたちが,後からやってきた旧石器人にあっという間に食べ尽くされてしまった...という推測.

その旧石器人はどこかに消えてしまった.旧石器人は遺伝的には現在の沖縄人とは無関係,ということは,われわれの祖先ではないのだそうだ.

巻末の著者紹介には「近ごろは,旧石器人を真似て貝の釣り針で魚釣りに挑戦中.好きな食べ物はカニとウナギと焼き鳥」とある.焼き鳥以外は旧石器人そのもの.世界最古の貝の釣り針が著者たちによって発見された過程もこの本に書いてある.
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2019-11-19 09:05:36 | エトセト等
これはルナアル作,岸田國士譯の岩波文庫.昭和13年第1刷り,手許にあったのは昭和31年の第7刷だが,横に読むときは右から左へだ.ちなみに國士の子供が岸田今日子...と言っても若い人にはわからないか.

朝刊の朝日川柳に

 長すぎる呆れて叫ぶ蛇だって

の一句.「博物学」ふう,の評.最長政権歴史タイを皮肉ったものだが,どれだけの人にわかるのだろうか.ちなみに「蛇」は葡萄畑...が初出で,博物誌に再録と思う.
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Opus de Funk

2019-11-18 09:05:54 | ジャズ
MJQ と重複しない Milt Jackson のレパートリーの代表曲といえば, Opus de Funk ではないだろうか.

Horace Silver の原曲の最初の録音は,1953年,Percy Heath, Art Blakey とのトリオだった.当時としてはめずらしいベースソロがある.

1954年には,Milt Jackson (vib), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Kenny Clark (ds) に,トランペット の Henry Boozier を加えたクインテットの演奏がある.Boozier はロックンロールのバンドからスカウトされたそうだが,マイルスの詰まった音に慣れた当時の耳には,景気の良いラッパが新鮮だった.アルバム Modern Jazz Quartet / Milt Jackson Quintet (どちらにせよ MJQ) に納められている.

一番有名なのは1956年の Opus de Jazz の中の演奏.Jackson のほか,Frank Wess (fl), Hank Jones (p), Eddie Jones (b), Kenny Clarke (ds).ベーシストは当時のベイシー・バンドから.Opus de Funk は今までのイントロはアウトロに回り,かわりに新しいイントロ.vib,fl,p が5コーラスずつソロを回した後,さらに4コーラスずつ回し,3コーラスずつ回し,2コーラスずつ回し,1コーラスずつ回すという構成で13分半.ここでこの曲のヴァイブ+フルートという形態が定着した.

最後は 1973年.Hubert Laws (fl), Cedar Walton (p), Ron Carter(b), Steve Gadd (ds) との CTI 盤.全体にエレキっぽいサウンド.
以上のどの演奏も Youtube で聴けるが,視ることはできない.

動画は Joe Locke の Jackson へのトリビュートから.Mike LeDonne (p), Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds) は Jackson 晩年のサイドメン.

コメント (2)
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水面を徒競走する2羽

2019-11-17 09:32:06 | 科学
NHK TV「チコちゃんに叱られる」は好きではないが,目に耳に入ることが多い.
ここで先週,大きな水鳥の求愛シーンが放映された.水面を走って,男子が女子より長距離走れたら,カップル成立だそうだ...女子が好きな男子には手(足)加減するなんて,いかにもありそう.

重そうな鳥がなんで水面を走れるのだろう.小学生時代,右足が沈まないうちに左足を出し,左足が沈まないうちに右足を出し...を繰り返せば,人間だってできるはずと考えたことがあった,ことを思い出した.

ウェブを漁ったら,National Geographic 日本版に記事があった.ここで紹介されているのは北米にいるクビナガカイツブリとクラークカイツブリだが,日本にいるカイツブリの仲間も水面を走るらしい.水面を走る秘密は1秒間に最高20回にものぼる歩数と,指を広げた水かきで水面を強く打つ力,そして奇妙な足の運びの合わせ技にあるのだそうだ.でも読んでもよくわからない.

原典は
G. T. Clifton, T. L. Hedrick and  A. A. Biewener, "Western and Clark's grebes use novel strategies for running on water", https://jeb.biologists.org/content/218/8/1235

カイツブリのメカニズムの水上を走るロボットに応用が考えられているそうだ.応用したければまず水に浮いていないと走り出せないだろう.ロボットにはスタートが難しそう.
動画の走り出すまでの前戯も面白い.
カイツブリがなぜ繁殖のためにこんな行動をとるのか...という問題も面白そう.

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泉美術館の柚木沙弥郎展

2019-11-16 10:00:53 | お絵かき
96歳の柚木沙弥郎の今世紀に入ってからの作品の展覧会.「生きとし生けるもの」のサブタイトル.今夏製作の縦1m横1.5mのパネル5枚の「鳥獣戯画図」はすごいスピードの一気描きのように見えるが,学芸員さんによれば,筆の運びは至極ゆっくりしたものだったそうだ.狐のおよめさん,猫,鼠なども登場.

巨大な型染め鯉のぼりはカープファン必見.

宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の1行ずつに透明水彩の絵をつけた絵本の原画があった.「一日ニ玄米四合」は大食に過ぎるという意見あり).「西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ」の絵が良かった.お経みたいなこの詩を面白いと思ったことはなかったが,絵を見てすこし再認識した.
村山亜土原作の絵本「トコとグーグーとキキ」は,原画ばかりでなくトコとキキのオブジェも展示されている.

柚木さんの本を20冊くらい自由に見たり読んだりできるテーブルがあり,ガラス絵を集めた YUNOKI があったが定価6000円だった.下の「果物屋の紙袋」22x18cm は,このたびの展示ではなく,2016年に Craft Space 「わ」で行われたガラス絵展のホームページより.
しかしガラス絵は実物を見るのでなければ,つまらない.すべて実物でなければ...という意見ももっともだが,絵本の原画はどうだろう?



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きのこ達の即席いんちきピクルス

2019-11-15 21:28:43 | エトセト等
きのこ達を茹でる.茹で汁は,酢+水+酒+スープの素+砂糖少々,気が向いたら粒胡椒、ローリエ,唐辛子.その辺の野菜を一緒に茹でてもいい.健気にまだ生っているミニトマト・キャベツ...意外にいける・ヤングコーン.茹で汁ごと冷まして,2時間後くらいに食す.一晩冷蔵庫においたら美味いだろうと思っている.

酒の肴のことを酒の「あて」というのは,広島で初めて聞いた.でも文脈から,何のことかすぐ分かった.いんちきピクルスは「あて」になる.
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amazonbasics のマウス

2019-11-14 09:00:00 | 新音律
20年近く使ってきた ELECOM の光学マウスの調子が悪い.マウスホイールがぎくしゃくするのは,機械的にすり減ったのだろう.光学部分を綿棒でいじってみたけれどらちがあかない.(よく医者に言われるように)加齢によるものだろう,と amazon で新品をあたったら,amazonbasics とやらの有線光学 USB マウスが送料込みで 700 円台だった.マウス洗浄セットより安そう!

この amazon マウスくん,1週間ほどは調子良く動いたが,今朝になって裏の赤い LED が点灯しなくなった.amazon にクレームをつけるべきか否かを考慮中.
本音は,apple 純正のトラックパッドが欲しいのだが,価格はこのマウスの20倍.

今は,古いマウスのスピードを落として使っている.
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嗚呼 同じようなことの繰り返し

2019-11-13 08:42:52 | エトセト等
年賀欠礼が毎日のように舞い込む.
トップのCD絵は安達太良山.亡くなったサークル→勤め先の先輩に連れられて行った山.智恵子抄では,青い空の下の阿多多羅山を遠くからあどけなく眺めているだけだが,山頂の火口付近は死の世界であった.

また靴下にカメムシが入っていた.

うかうかと macOS Catalina を入れてしまったために,オーディオ・インターフェイスが動かない.Steinberg のホームページに「製品との互換性が確認されるまではサポート対象外となりますので、macOS Catalina へのアップデートはお控えになるよう、お願いいたします。」とあるのに気づいた.それならメールでしらせてくれ!!
ウェブをUSBドライバを入れ直したらうまくいったという記事があったが,うちのMacではだめだった.

首相の「桜を見る会」.何らかの法律に違反しているはずだが,どうせごまかされるのだろう.
森友・加計ケースと違うのは,収賄側ともいうべき招待された人たちが,一見 善男善女であること.
彼らは首相に招待された!と周囲に自慢したいのか,政治家には只飯只酒をたかるものと認識しているのか...この風潮もまた,現内閣の衆愚政治のなせる技である.
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危険な「美学」

2019-11-12 08:44:31 | 読書
津上 英輔,集英社インターナショナル新書(2019/10).

著者は美学の社会貢献,あるいは美学者の社会的責務に関わる本だという.

第1部は「美は幻惑する」.まず俎上に上がるのが高村光太郎の詩「必死の時」.この詩が若い人たちを戦争に追いやったとして,高村は戦後隠遁生活に入る.しかし彼の戦後の詩「美に生きる」の根底にある思想は「必死の時」と同じであると著者はいう.

ジブリのアニメ「風立ちぬ」では,零戦の設計者・堀越二郎の「飛行機美」の追求の危うさが指摘される.「美の眩惑作用」が,彼が設計した零戦が特攻につかわれた事実を隠してしまうのだ.アインシュタインの公式 E=mc^2 (自乗)を大部分の物理屋は美しいと認めるだろうが,それが原水爆や原発事故に結びついたことを想起する.アインシュタインもそれを反省していたようだ.やっぱり彼は偉かった.
光太郎のときは智恵子が,堀越二郎では菜穂子が触媒作用を果たすのだが,この2人の女性の役割がおもしろい,しかしよくわからない.

第2部は「感性は悪を美にする」.ここではトーマス・マンの「魔の山」における主人公ハンス・カストルプのショーシャ夫人への恋情が,客観的には「醜い」夫人を「妖艶」と認識させるる美的カテゴリー理論,感性の統合反転作用理論などという述語が現れる.この部分は戦争とかけいしない.

最後は「散華の比喩と軍歌・同期の桜」.散る桜にこじつけた戦死・特攻の美化がとりあげられる.軍歌を自ら歌うことで,他人事が我がことになるという指摘は,著者がフライブルク大学で音楽学を専攻されたことに関係があるのかもしれない.第1部の高村と堀越の場合はいわば個人的な過ちだが,戦死を散華に例えるのはもっと普遍的.戦死を美しいものとして差し出す感性の統合反転作用の利用を野放しはできない,と説く.

図書館で借りた.
美学の本は初体験.内容には説得力があった.近くのヤマトミュージアムの盛況に感じるモヤモヤも説明されたような気がする.

しかし,60年前の受験国語-現代文の問題を読んでいる気分に襲われることもあり,こうした論法は自分の肌には合わない...とも思ってしまった.
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近視を絵にする

2019-11-11 09:22:36 | お絵かき
タイトルは「近視者の見る映像を絵にする」という意味.生まれて初めて眼鏡をかけたときは,周囲が「総天然色映画」のように見えると思った.白内障の手術後眼帯をとったときも感激したものだ.

そこで近視用眼鏡を外すと,光が滲んで,世界がまた違って見える.かって「話の特集」という雑誌があり,そこにジャズピアニスト佐藤允彦氏が,「近視の世界」と題し (あるいは,似たようなタイトルで),数枚の大きなモノクロのピンボケ写真をグラビアページに出していたのをみて共感した.

ざくろの絵を1枚目はせいぜい見たとおりに描いたが, あまりおもしろくない.もっと細部を省略したい.そこでもと物理教師として考えるのは,空間的ローパスフィルタの適用 : はやいはなしが近視者に見えるように描くことである.左がモデル?の写真,右端が細部を省略し適当に描いた結果.

物理的に対象にローパスフィルタを適用した像を得るには (ここまで論文調) 佐藤流にピンボケ写真を撮ればいいのだが, iPhone カメラでピンボケ写真は難しそう.そこで撮影済みの左写真をピンボケにしてみることにした.使ったのはフリーソフト Gimp.「フィルタ→ぼかし→ガウスぼかし」と進んで,パラメータを適当に設定した一例が中央画像.
右と比べると,わが脳内フィルタも意外とガウス的だったようだ.

究極の省略画法のひつは熊谷守一流だと思う.氏の絵の贋作は多いというが,クマガイ・AIフィルタを用いた贋作製作も可能かもしれない.
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reading

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