路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【風向計】:男の育児「幸せの近道」 上野洋光

2020-02-22 11:00:30 | 【待機児童問題・認可、無認可保育園・認定こども園・子育て世代、産休・育休・...

【風向計】:男の育児「幸せの近道」 上野洋光

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【風向計】:男の育児「幸せの近道」 上野洋光

 職場結婚した妻が異動で上京した昨秋以降、4歳と2歳の男児2人と暮らす。保育園の迎えや夕飯、入浴は近くに住む義父母が担ってくれているが、寝かし付けから登園までの時間と休日は一緒だ。

イメージ(写真と記事本文は直接関係ありません) 

イメージ(写真と記事本文は直接関係ありません)

 朝7時、洗濯物をたたみ、2人を起こす。抱っこをせがむ次男をなだめる。炊事、トイレ、着替え、片付け…。食事中に遊び始め、次男が「たたかれた」とわめき、長男は牛乳をこぼす。叱りたくはないが、大きな声も出る。

 「おとうさん、きらい。おかあさんがいい」。子どもたちの厳しい物言いにたじろぐ時間はない。「お母さんはおらん。急いで着替えろ」

 小泉進次郎環境相の育児休業取得を巡り、さまざまな議論がある。1月下旬は「取るだけ育休 嘆く妻」の記事も出た。男性の育児や家事のスキルが低く「休んでも役に立たない」と耳が痛い。

 44歳で長男を授かり、2カ月間の育休を取得し、その間は仕事から解放された。そもそも子育てに終わりはなく、うんこがトイレでできるようになり、平仮名も少し覚えたと喜んでいると、親に口答えをするようになる。「成長」はうれしいが、育休中より今の方が確実にしんどい。

 「子育て中の親はその時々に最大限の苦労をしていると感じるもの。だから子育ては親育ちの時間」。熟年の女性からの励ましだ。確かに家事力は向上し、我慢強くなった。同様に苦労したはずの両親への感謝も改めて感じた。

 配偶者を嘆く気持ちも分かるが、育休はその後も男性が子育てに関わるための「登竜門」と考えてもらえないだろうか。失敗も温かく見守り、できることを増やす手助けは育児と同じ。公平な負担を目指すため作戦を練ってほしい。

 育休から復帰後、後輩に育休を勧めるようになった。取得前、職場で何も言われなかったが、「仕事をせずに育児ですか」という罪悪感といたたまれなさがあった。私自身もその空気を醸す側だったのかも、と思う。いまだ社会を覆う雰囲気でもあるだろう。制度改革や収入補償の拡充も必要だが、小泉環境相の育休が、男性の育児を応援する社会の空気につながればいい、と期待している。

 34歳の女性が首相を務める「幸福度世界一」のフィンランドでは男性の育休取得率が8割超。女性の社会進出を支え、育児や家事を普通に担当することが新時代の「幸せへの近道」なのかもしれない。

    ×    ×

 うえの・ひろみつ 福岡県赤村出身。フィリピンの邦字紙「マニラ新聞」を経て2000年入社。長崎総局などを経て19年9月から筑紫支局。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【風向計】 2020年02月21日  11:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:立憲民主党 政権構想の具体化を急げ

2020-02-22 10:30:55 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【社説】:立憲民主党 政権構想の具体化を急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:立憲民主党 政権構想の具体化を急げ

 野党第1党の役割は、国会を中心に行政監視機能を発揮するとともに、政府と与党が政権運営に行き詰まったら、いつでも政権を担える準備を整えておくことだ。その使命を踏まえ、幅広い国民の共感を呼ぶような政権構想の具体化を求めたい。

 3年前に結党した立憲民主党が党大会を開き、年間活動方針などを決めた。基本方針では「安倍政権に対する対抗軸を一層明確に示し、政権交代を現実の目標として、有権者に新たな政治の選択肢を用意する」と宣言している。最大野党としては当然の政治姿勢であろう。 

 安倍晋三首相が通算の首相在職日数で憲政史上最長の長期政権を築いてきた要因の一つは、野党が離合集散を繰り返して弱体化したからだといわれる。 

 その「1強」長期政権も、首相の公私混同が厳しく問われる「桜を見る会」疑惑や、カジノを含む統合型リゾート事業を巡る汚職事件で元副大臣が起訴されるなど「負の側面」が目立ち始めた。野党としては、いつまでも「多弱」に甘んじている場合ではないはずだ。 

 多くの野党は一様に安倍政権を批判しており、「この政権に終止符を打つ」ことが共通の政治目標であることは分かる。 

 問いたいのは、その先にどんな共通公約や基本政策を掲げる政権をつくろうとしているのか-ということだ。憲法や安全保障、経済政策など具体的で体系的な政権構想が求められるのは言うまでもあるまい。 

 立民の枝野幸男代表は「もう一つの選択肢」の理念として「支え合う安心」「豊かさの分かち合い」そして「責任ある充実した政府」を掲げる。次期衆院選を見据え、枝野代表直属のチームをつくり、政権構想の本格的な準備を始めるという。 

 結党時から「草の根」「ボトムアップ型」を看板とする政党である。ぜひ、党の関係者に限らず国民との対話を重視してほしい。そのためにも地方組織を充実させ、地方議会の議員を増やす活動の強化を求めたい。 

 代表選挙規則の制定も急ぐべきだ。政権党を目指す以上、首相候補となる党首の選び方がいまだに決まっていないのは、やはり疑問である。 

 立民は昨年の臨時国会から国民民主党などと共同会派を結成し、一定の成果を上げてきた。その共闘の実績を弾みに一つの政党にまとまろうとしたが、両党の合流は頓挫した。 

 党大会で立民は「門戸を閉ざすことなく各党会派と不断の努力を行う」と確認した。候補者調整や選挙協力も含めて、野党勢力を可能な限り一つに束ねる求心力や包容力もまた、野党第1党には求められている。 

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【社説】  2020年02月22日  10:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【春秋】:「ディパーチャーズ」に感動しました…

2020-02-22 10:30:50 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・強制労働・島根県竹島(韓国名・独島)の領有権】

【春秋】:「ディパーチャーズ」に感動しました…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【春秋】:「ディパーチャーズ」に感動しました…

 「ディパーチャーズ」に感動しました-。7年前、安楽死の取材で訪れたオランダ。女性研究者に話を振られて戸惑った

 ▼拙い英語で会話を続けると「死者への敬意」とか言っているふうだ。そこで言葉の断片がつながった。ディパーチャーズ(旅立ち)は日本映画「おくりびと」の海外版の題名だった

 ▼この映画が米アカデミー賞を受賞したのは2009年の今日。元チェロ奏者の男性が「旅のお手伝い」と記された求人広告を勘違いし、死者を送る納棺師になる物語だ。娯楽映画にはなじみにくいテーマにほれこみ、作品化に奔走したのが元アイドルの本木雅弘さん。存在感ある役者ぶりは今、大河ドラマで楽しめる

 ▼それから11年ぶりにアジア映画にスポットが。格差社会を描いた韓国映画「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞4冠に輝いた。貧しい家族がセレブの家庭に「寄生」する物語だ

 ▼ポン・ジュノ監督の受賞の弁が秀逸だった。「この言葉を胸に映画を学びました」と、巨匠マーティン・スコセッシ監督の言葉を引用した。<最も個人的なことが最も創造的なこと>。会場の大喝采がポン監督も巨匠への階段を上り始めたことを暗示した

 ▼人生の終わり方と見送り方。富の偏在が生み出す格差。世界は多くの問題に満ちている。本木さんやポン監督のように個人的な問題意識を抱くアジア人が、これからも世界的な映画を生み出すはずだ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【春秋】  2020年02月22日  10:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:九州で新型肺炎 重症化防ぐ対策を冷静に

2020-02-22 10:30:45 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:九州で新型肺炎 重症化防ぐ対策を冷静に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:九州で新型肺炎 重症化防ぐ対策を冷静に

 改めて危機感を高め、対策を強化する契機としたい。

 新型コロナウイルスの感染がきのう、九州7県では初めて福岡市で確認された。60代の日本人男性で肺炎の症状があり、直近の海外渡航歴はないという。

 国内の感染者には渡航歴のない人や、中国からの訪日客と接触のない人も目立ってきた。もはや、感染経路の特定できない「市中感染」が各地で広がっていると考えるべきだ。

 多くの観光地を抱える九州は特に警戒の必要がある。中国・武漢市では昨年末、新型ウイルスによる肺炎発症が始まっていた。中国政府が今年1月に本格的な対策に乗り出す前に多くの人が中国と日本の間を往来している。この事実は重い。

 同じコロナウイルスによる重症急性呼吸器症候群(SARS)などと比べ、新型ウイルスは致死率こそ低いが高齢者や基礎疾患がある人には危険だ。集団感染が起きたクルーズ船から下り、入院治療中だった高齢者2人もきのう亡くなった。

 今、何より大切なのは、感染した人の重症化を防ぐことである。その対策を急ぐべきだ。

 厚生労働省は大学などとも連携しながら、地方での検査体制強化に取り組んでいる。専門外来の増設や治療法の開発にも力を入れるが、感染の広がりや発症者の増加は予測できない。状況の変化に対応し、先手先手で検査と医療の体制拡充を進めることを求めたい。

 厚労省は、37・5度以上の発熱が4日以上続く人や強いだるさ、息苦しさがある人に、保健所などに設けられた「帰国者・接触者相談センター」への相談を呼び掛けている。

 そこで感染の疑いありと判断されれば専門外来を受診する。その際はマスクを着け、公共交通機関の利用を避ける必要がある。感染を広げないためだ。私たちも市民として可能な協力は惜しまぬようにしたい。

 市民が暮らしの中で行うべき対策は他にもある。入念な手洗いや、せきやくしゃみの際にハンカチなどで口元を覆う「咳(せき)エチケット」を徹底するといった「ウイルスに感染しない・感染させない」行動は忘れないようにするべきだろう。

 他方、感染防止対策で観光業を中心に経済にも深刻な影響が出ている。多くのイベントが中止や規模の縮小に追い込まれている。市中感染の拡大が否定できない以上、やむを得ない面もある。正確な情報の入手を心掛け、冷静に対応したい。

 まだまだ先の見えない闘いである。医療と行政、企業、全ての市民が力を合わせ、新型ウイルスの流行に歯止めをかけることを目指す局面である。 

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【社説】  2020年02月21日  10:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【春秋】:肩が痛くて腕が上がらない、つり革が握れない…

2020-02-22 10:30:40 | 【科学・物理・理工学・先端、応用科学・理化学・その他の学術】:

【春秋】:肩が痛くて腕が上がらない、つり革が握れない…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【春秋】:肩が痛くて腕が上がらない、つり革が握れない…

 肩が痛くて腕が上がらない、つり革が握れない。そんな経験があるご同輩も多かろう。いわゆる「五十肩」。中高年になると、長年使ってきた体のあちこちがきしみ始める

 ▼話は飛んでギリシャ神話。優れた狩人のオリオンは腕自慢が過ぎたため、女神が戒めに放ったサソリの毒で死んでしまう。哀れんだ神が星座にして天に上げてやった

 ▼冬の夜空、オリオン座はすぐに見つかる。目印は狩人の帯を表す三つ星。それを囲む四つの星がオリオンの体だ。右肩の位置にベテルギウスが赤く、左足にはリゲルが白く輝く

 ▼狩人を象徴するように、オリオン座は右手でこん棒を高く掲げた姿。そのこん棒が持てなくなるのでは、と天文ファンがざわついている。右肩のベテルギウスの光が昨秋から暗くなっているのだ。約1千万年の寿命のうち9割を過ぎたとされ、寿命が尽きて超新星爆発を起こすのではないかとの声がネットに広がった

 ▼爆発すれば月ほど明るくなった後、見えなくなるとか。もっとも専門家の意見は「寿命といっても明日かもしれないし、数万年後かもしれない」。世紀の天体ショーをこの目で見てみたいが、悠久の宇宙には人の一生など瞬く間か

 ▼もしベテルギウスを失って星座の形が変わったら、別の名前になるのかな。そう思いながら見上げた凍(い)て風の夜。「900万年肩」で腕を上げるのがつらそうに見えるオリオンに、ちょっと親近感。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【春秋】  2020年02月21日  10:49:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:天神ビッグバン 九州の未来を感じる街に

2020-02-22 10:30:35 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説】:天神ビッグバン 九州の未来を感じる街に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:天神ビッグバン 九州の未来を感じる街に

 福岡市の都心・天神のつち音がより大きくなる。アジアと九州の拠点都市を目指し、どんな街に生まれ変わるのか。期待を込めた視線が注がれている。

 ファッションビルの天神ビブレが先週閉館し、隣接する天神コアも3月末に営業を終える。天神を南北に貫く渡辺通りと東西に走る明治通りの交差点に位置する「福ビル街区」が再開発に向けて解体に入り、「天神ビッグバン」の本丸が動きだす。

 天神ビッグバンは、建物の高さと容積率の制限を緩和し、再開発を促す市の政策だ。2015年に始まり24年末までに、天神交差点の半径約500メートルのエリアにある老朽建物の建て替えを目指す。その効果は延べ床面積で1・7倍、雇用は2・4倍になると市は試算している。

 建物のデザイン性の高さ、敷地内に公共空間や緑地を確保する-との条件を満たせば、事業主に容積率アップなどの特典を与える制度もある。うまく使えば街にゆとりが生まれ、多様な交流の舞台となるだろう。

 いま福岡はIT関連産業、漫画やゲームといったコンテンツ産業が集積している。市が支援に力を入れるベンチャー企業、起業家も集まってきている。

 こうした福岡の特長を後押しする視点もビッグバンには欠かせない。既に工事が進む天神西の旧大名小学校跡地の再開発は、既存の創業支援施設と連携するスペースを設ける計画だ。

 国際的会議・展示会を意味するMICEの受け皿となる施設の充実も必要になる。アジアと九州全域からヒト、モノ、カネ、そして文化が集まり、イノベーション(技術革新)に限らない新たな価値を創出する場になるはずだ。九州の未来をイメージし、訪れる人々にそれを感じさせる街を目指してほしい。

 福ビル街区(幅約100メートル、奥行き約80メートル)に建つ新ビルは地上19階、地下4階で商業施設やオフィス、ホテルを備える複合型だ。天神の新たなランドマークとなる可能性もある。

 むろん課題はある。ファッションや音楽、スポーツなど多彩な文化を発信してきたビブレやコアを含む、天神の4商業施設が建て替えでなくなる。若い女性や親子連れが天神から離れるとの懸念も広がる。

 ビッグバン全体の完成まで約4年、天神への集客を維持する仕掛けは必要だろう。官民の連携組織も設立されている。知恵の絞りどころだ。

 コアには現在、44年の歴史を振り返る特設展示がある。「仕事あがりの憩いの場」「第2の家」といった顧客のメッセージを目にすることもできる。これからの「まちづくり」にも暮らしに寄り添う発想は大切だ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【社説】  2020年02月20日  10:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【春秋】:<未来のあなたを見たいです。あきらめないで下さい>…

2020-02-22 10:30:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【春秋】:<未来のあなたを見たいです。あきらめないで下さい>…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【春秋】:<未来のあなたを見たいです。あきらめないで下さい>…

 <未来のあなたを見たいです。あきらめないで下さい>。小学4年の女の子が自分宛てに書いた手紙だ。親に虐待を受けて昨年1月に死亡した千葉県の栗原心愛(みあ)さん=当時10歳

 ▼手紙は亡くなる3カ月前に書かれた。終業式に心愛さんが読むはずだった。通知表などと一緒に、学校から祖母に渡された

 ▼<終業式の日、あなたは漢字もできて、理科や社会も完ぺきだと思います。十月にたてためあて、もうたっせいできましたか><五年生になってもそのままのあなたでいてください>。冒頭の一文は手紙の最後につづられていた

 ▼心愛さんは2017年11月、「お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか」と学校に訴え、児童相談所に一時保護された。その後、祖父母が預かったが、児相の判断で自宅に戻り、結果として悲劇につながった

 ▼「未来のあなたを見たい」「あきらめないで」と自らを励ました心愛さん。絶望的な現実の中で、未来への希望を持ち続けていたのだろう。「どういう気持ちでいたのか、分かってやれなかった」と言う祖母の後悔の涙には言葉もない

 ▼児童虐待防止のため、厚生労働省が体罰の例を示した指針を公表した。「頬をたたく」「夕飯を与えない」。当然だが、実際にはつい手を上げてしまうことがあるかもしれない。そんなときは思い出してほしい。「未来のあなたを見たい」という心愛さんの願いを。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【春秋】  2020年02月20日  10:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:景気の行方 政府は危険水域の認識を

2020-02-22 10:30:25 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説】:景気の行方 政府は危険水域の認識を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:景気の行方 政府は危険水域の認識を

 景気の雲行きが怪しくなってきた。新型コロナウイルスの感染拡大で日本経済にも深刻な影響が出始めている。景気は既に危険水域にあると言っていい。政府はこれまで以上に国内外の動きに目を凝らし、機動的な経済財政運営に努めるべきだ。

 安倍晋三首相は経済最優先を掲げ、政府は「景気は緩やかに回復している」との判断を維持してきた。戦後最長とされる景気拡大は、その経済政策アベノミクスの成果と主張してきた。だが現状で、この「回復」判断にこだわれば、政策転換の遅れにつながりかねない。

 不安材料の一つは、昨年10月の消費税増税をきっかけに内需の柱である個人消費が大きく落ち込んでいることだ。民間設備投資も減少し、昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は速報値で年率6・3%減の大幅マイナスだった。

 この落ち込みは、2014年4月に消費税率が8%に引き上げられた直後の年率7・4%減に匹敵する。キャッシュレス決済へのポイント還元など手厚い対策を政府が講じ、増税前の駆け込み需要が前回ほど大きくなかった点を考慮すれば、実態はより深刻とみるべきだろう。

 政府は昨年末に事業規模26兆円の総合経済対策をまとめ、これを裏付ける19年度補正予算が成立した。台風など災害被災地の復旧・復興を急ぎ、米中貿易戦争に伴う世界経済減速に備える狙いで、景気はすぐ回復軌道に戻るというのが政府のシナリオだった。その目算は狂い、今年1~3月期もマイナス成長に陥るとの恐れが指摘される。

 最大のリスクは中国で発生した新型ウイルスの感染拡大だ。中国政府による海外への団体旅行禁止で訪日観光客は激減し、クルーズ船の寄港中止で九州の観光地から外国人の団体客もめっきり減った。こうした事態が続けば、宿泊施設や土産物店、百貨店、バス会社などは深刻な打撃を受ける。政府は資金繰りの支援を打ち出したが、状況によっては対策を強化すべきだ。

 影響は製造業などにも広がる。中国は日本の最大の貿易相手だ。企業もサプライチェーン(部品の調達・供給網)で密接につながっている。中国からの部品供給が滞り、九州の自動車工場が操業停止に追い込まれた。日本企業の中国での生産や国際物流にも支障が出ている。

 事態の収拾はまだ見通せない。折からの春闘で経営側がこれを、雇用や賃上げの抑制材料に使うのは厳に慎むべきだ。

 当面は大型催事の中止など国内でも感染拡大防止策は必要だろう。過度な活動自粛には注意したいが、感染の早期終息は経済対策としても価値がある。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【社説】  2020年02月19日  10:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【春秋】:「聖王」と呼ばれるフランス王がいる…

2020-02-22 10:30:20 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【春秋】:「聖王」と呼ばれるフランス王がいる…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【春秋】:「聖王」と呼ばれるフランス王がいる…

 「聖王」と呼ばれるフランス王がいる。13世紀に44年間在位したルイ9世。高潔で信心深い人柄とされる。官吏の腐敗防止や貨幣の統一、裁判制度の整備など内政に力を注ぎ、国を富ませた。領土的な野心はなく、他国の争いの調停役を買って出ることも

 ▼貧しい人や病人のための施設を造り、自ら食べ物を与えたりもしたという。その姿を描いた一枚が、九州国立博物館で開催中の「フランス絵画の精華」展に。ル・シュウール作「病人たちをいやす聖ルイ」だ

 ▼その頃の国王は戴冠の際に神の祝福を受け、病気を治すなど特別な力を与えられると信じられた。即位した王の最初の仕事は、当時不治の病と恐れられた疫病の患者に触れることだった、と伝わる。作品のルイ9世は、王のマントをまとったままひざまずき、椅子に腰掛けた患者の足を洗っている

 ▼進んだ医学も効果的な薬もない時代である。疫病が大流行すれば国が滅びかねない。恐ろしい病を鎮める力があると民に信じられることが、為政者には不可欠な資質だったのだろう。それは現代にも通じる

 ▼新型コロナウイルスによる肺炎が猛威を振るっている。国内でも感染が広がり、死者も出た。対策は後手に回っている印象も否めない

 ▼どう鎮めるか、為政者の資質が問われる大事な局面だ。神の恩恵を当てにせずとも、医療や保健衛生の知恵はある。「民の足を洗う」覚悟で臨んでもらいたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【春秋】  2020年02月19日  10:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:首相のやじ 国会軽視の姿勢を改めよ

2020-02-22 10:30:15 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説】:首相のやじ 国会軽視の姿勢を改めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:首相のやじ 国会軽視の姿勢を改めよ

 通算在職日数で歴代最長記録を更新中という首相が、国会審議中に発したやじで謝罪に追い込まれた。嘆かわしいというほかない。首相は今度こそ、国会軽視の姿勢を改めるべきだ。

 安倍晋三首相は12日の衆院予算委員会で立憲民主党の辻元清美氏の質問を受けた後、閣僚席から「意味のない質問だ」とやじを飛ばした。

 辻元氏は「桜を見る会」の問題や森友・加計(かけ)学園を巡る疑惑に絡め「タイは頭から腐るという言葉をご存じか」などとトップとしての姿勢を批判した。こうした質問が首相には「罵詈(ばり)雑言」と聞こえたらしい。

 これに野党は「国会軽視も甚だしい」「議会制民主主義に対する冒涜(ぼうとく)だ」と猛反発し、翌日の予算委は流会となった。

 首相はきのうの予算委で「辻元氏におわびする」と謝罪するとともに、「不規則発言は厳に慎むよう、首相として身を処していく」と述べた。

 新年度政府予算案の質疑や新型コロナウイルスの感染拡大に関する対応など、重要なテーマを抱える国会の審議が首相のやじで止まるのは由々しき問題である。野党だけでなく、与党内からも首相のやじをいさめる声が相次いだのは当然だろう。

 首相のやじが問題化して国会が混乱するのは、今回が初めてのことではない。同じ辻元氏に対して首相は5年前にも「早く質問しろよ」とやじを飛ばしていた。

 気になるのは、やじなど不規則発言だけではない。今国会でも首相は「桜を見る会」疑惑を追及する議員に「根拠がないことを言うのはうそをつくのと同じ」「何とかの勘繰りでは」など不用意で荒い答弁を連発し、野党の強い批判を浴びてきた。

 公文書の改ざんや廃棄、官僚の忖度(そんたく)といった一連の疑惑に関連する質問に同じ答弁を繰り返したり、はぐらかしたりする姿勢も目立つ。首相は14日の政府与党連絡会議でも国会質疑について「謙虚に丁寧に説明を尽くしていく」と改めて発言したというが、この約束を聞くのは一体、何度目だろう。

 共同通信社が15、16両日に実施した世論調査によると、安倍内閣の支持率は41・0%で1月の前回調査より8・3ポイントも急落した。不支持率は46・1%で9・4ポイントの増加だった。「桜を見る会」の疑惑について首相が「十分に説明していると思わない」は84・5%に達した。むべなるかな、である。

 国会答弁を聞いていても公私混同の疑惑は一向に晴れない。かっとなると、閣僚席からやじを飛ばす。そんな首相の政治姿勢と国会対応への国民の批判の高まりと受け止めるべきだ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【社説】  2020年02月18日  10:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【春秋】:日々の空模様は気になるのに、目線はいつも下向き…

2020-02-22 10:30:10 | 【生物学・特定外来生物法・動物生態系・終生飼養・環境税・花粉症】

【春秋】:日々の空模様は気になるのに、目線はいつも下向き…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【春秋】:日々の空模様は気になるのに、目線はいつも下向き…

 日々の空模様は気になるのに、目線はいつも下向き。四季の移ろいを伝える木々や野鳥の姿にも目が向かない。そんな人が増えているようだ

 ▼気象衛星のおかげで予報の精度は向上した。外の景色には無頓着でも、天気は手元のスマートフォンが教えてくれる。その半面、人が体感で大気の変化などを察知する能力は退化していないか。大自然の営みはまだまだ科学では捉え切れないのに

 ▼ウメ、ツバキ、タンポポ、ヒバリ、ウグイス、ツバメ…。全国の気象台は木々の開花や鳥の初鳴き、初見の日などを毎年チェックしている。生物季節観測と呼ばれる

 ▼気候が動植物に及ぼす影響や季節の進み具合を探る作業だ。福岡では1月にウメ、ツバキ、タンポポが開花し、昨日はヒバリの初鳴きが確認された。ただウメ、ツバキの開花日は昨年より遅かった

 ▼九州にはやっと冬らしい寒気が流れ込んだ。暖冬でも春はもう少し先なのか。動植物はそんな微妙な気象を察知しているのかも。人間の科学では正確な長期予報はまだ難しい

 ▼気象技術といえば、富士山頂レーダーの建設などに取り組み、その経験を文学作品として開花させた人物がいる。気象庁職員から作家に転身した新田次郎。山岳を主舞台に自然の脅威やそれをみくびった人間の愚かさなどを描いた。自分の目と耳で現場の調査や取材を重ねる緻密な作風が持ち味だった。彼が逝って今月で40年が過ぎた。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【春秋】  2020年02月18  10:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:刑法犯最少更新 統計と実感の落差に目を

2020-02-22 10:30:05 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【社説】:刑法犯最少更新 統計と実感の落差に目を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:刑法犯最少更新 統計と実感の落差に目を

 刑法犯の認知件数は戦後最少でも、治安が改善したと感じる市民は3割に満たない-。警察庁が2019年の犯罪情勢について、こんな分析をまとめた。

 近年の犯罪は、市民が日常的に利用するインターネット空間で多発し、子どもが狙われる事件も目立つなど、手口の悪質・巧妙化が際立っている。それを踏まえて同庁が昨秋、全国の1万人を対象にアンケートを実施した結果、統計と市民の実感との「落差」があぶりだされた。

 警察による取り締まりの強化はもちろん必要だ。加えて、社会全体でこうした現状を深刻に受け止め、いま一度、防犯対策の推進を図りたい。

 同庁によると、19年に認知した刑法犯は74万8559件(前年比6万8779件減)と、5年連続で戦後最少を更新した。防犯カメラなどの普及もあって家屋への侵入盗や街頭での粗暴犯はピーク時の5分の1にとどまるなど、目に付きやすい犯罪は大きく減少している。

 他方、ネットやコンピューター技術を悪用したサイバー犯罪は後を絶たず、摘発は9542件と過去最多を更新した。会員制交流サイト(SNS)を通じて性被害などに遭った子どもは2095人と初めて2千人を超えた。これらは匿名性が高く、被害が見えにくいのが特徴だ。

 やはり潜在化しやすい児童虐待や配偶者間の暴力、ストーカー行為、高齢者らを狙う特殊詐欺などの摘発や相談件数も、過去最多あるいは高水準で推移している。これに伴い日常生活で不安を感じる人は増えているとみられ、アンケートで61・4%が「治安はよくなっていない」と回答し「よくなっている」の28・9%を大きく上回った。

 実際、回答した人の3割はサイバー犯罪で、1割は特殊詐欺で、過去1年に被害に遭いそうな経験をしたという。事件に巻き込まれた人も相当な数いた。

 警察庁はこの結果から、統計に表れない現実の犯罪情勢は「予断を許さない」と分析し、関係機関と緊密に連携した捜査、国民への迅速な注意喚起、相談体制の充実などを図る方針を打ち出している。

 犯人と被害者が顔を合わせないネット上での非対面型犯罪などは手口が多様化し、摘発が難しいのも実情だ。被害防止のためには、市民一人一人が防犯意識を高め、地域社会や学校教育の場などでも繰り返し、犯罪に関する情報の周知や啓発を進めることが肝要だろう。

 開幕まで半年を切った東京五輪・パラリンピックは、日本が世界に向けて「治安のよさ」をアピールする場でもある。その意義も見据えながら、取り組みの輪を広げていきたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【社説】  2020年02月17日  10:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【春秋】:幕末の志士高杉晋作は梅の花を最も好んだという…

2020-02-22 10:30:00 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【春秋】:幕末の志士高杉晋作は梅の花を最も好んだという…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【春秋】:幕末の志士高杉晋作は梅の花を最も好んだという…

 幕末の志士高杉晋作は梅の花を最も好んだという。理由は、百花に先駆けて咲くから。谷梅之助との偽名も使った

 ▼晋作は本宅に家族を残し国事に奔走した。居宅には別の女性。そこに妻子が押しかけてくる。さながら紅梅白梅の競い合い。心境を漢詩に記した。「これより両花開落を争う」「主人手を拱(こまね)き如何(いかん)ともするなし」。英傑も万事休すである

 ▼梅の便りが届く時期になった。記録的な暖冬で今年は桜の気配さえ感じながらの開花である。ずっと昔は花の主役は梅だった。「令和」の元号由来で注目された大伴旅人の「梅花の宴」しかり。万葉集では梅の歌の数は桜の倍以上という

 ▼古川柳に「梅屋敷まだ生酔の顔を見ず」とある。桜と違い梅の花見で酔っぱらいはいないね、と。高貴な花見ゆえ、というより深酒には寒すぎるためか。かの「桜を見る会」も寒風下の「梅見」だったら後援会の参加者も減り、不都合な事実は花開かずに済んだかも

 ▼高村光太郎に「梅酒」の詩がある。智恵子夫人が漬けていた酒を死後に見つけた。「ひとりで早春の夜ふけの寒いとき、/これをあがつてくださいと、/おのれの死後に遺(のこ)していつた人を思ふ。」

 ▼先述の旅人は共に赴任した妻を大宰府の地で亡くした。都の自邸に戻ると故人の思い出が。「吾妹子(わぎもこ)が植えし梅の木見るごとに心むせつつ涙し流るる」。菅公の飛梅だけでなく、切ない話が似合う花でもある。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【春秋】  2020年02月17日  10:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:記録的な暖冬 風水害への「警鐘」なのか

2020-02-22 10:29:55 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説】:記録的な暖冬 風水害への「警鐘」なのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:記録的な暖冬 風水害への「警鐘」なのか

 記録的な暖冬である。地球温暖化の影響があるとみられている。私たちに気候変動の大きさを実感させる。風水害への備えを促す「警鐘」であるとも受け止めたい。

 気象庁によると、九州各地で初雪の観測が遅れ、福岡では最も遅い観測日(1909年の2月6日)の記録を更新した。

 気温も記録的な高さで推移している。1月の九州北部の平均気温は平年より2・9度高く、46年に始まった観測史上で最高を更新した。2月は17日以降、一時的に冷え込むものの、全般に平年を上回る気温が続く見込みだ。

 ここ数年、深刻な風水害が起こるのは梅雨期に限らない。3月中旬から4月上旬にかけて、菜種梅雨と呼ばれる長雨のシーズンを迎える。今のうちから、備えたい。

 暖冬は市民生活にも少なからぬ影響を与えている。雪不足のスキー場など冬場の行楽地への人出が鈍ったり、冬物の衣料品や食品の売れ行きにブレーキをかけたりしている。生育が早まった野菜が値崩れを起こし、消費者にはありがたい半面、農家には打撃となっている。

 暖冬の原因は、インド洋西部の海面水温が高いため日本付近を流れる偏西風が北に蛇行し、大陸側からの寒気が日本に流れ込みにくいからだという。

 これは温暖化がもたらした結果だと示す直接的なデータはないものの、背景に存在することは否定できない。

 もちろん、暖冬ならば、その年は風水害が増大すると言い切れるものではない。それでも、温暖化という土台の存在を考えると、日本列島を近年襲った台風や豪雨による災害を思い起こさずにはいられない。

 温暖化により海面水温が上昇し、大気に含まれる水蒸気量も増えている。気象庁は、一昨年7月の西日本豪雨に関して、それまでの豪雨では必ずしも判然としなかった温暖化との因果関係を初めて明確にした。この意味は大きいだろう。

 昨年は梅雨末期を思わせる大雨が8月下旬に九州を襲い、気象庁は福岡、佐賀、長崎各県の広範囲に大雨特別警報を発表した。九州北部では3年連続の同警報となった。

 九州には1級河川だけで20水系があり、支流は約1500に上る。土砂災害警戒区域の指定対象も約14万カ所に上る。対象地域では十分な警戒が必要だ。まずは自治体が作成したハザードマップで自宅や職場の周辺で起こりうる災害を確認したい。公民館など避難場所を確かめるほか、飲料水や食料など避難用の備蓄品も点検しておくことも大切だ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【社説】  2020年02月16日  10:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【春秋】:「そんなものは存在しない」と自民党の複数の政権が否定した…

2020-02-22 10:29:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【春秋】:「そんなものは存在しない」と自民党の複数の政権が否定した…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【春秋】:「そんなものは存在しない」と自民党の複数の政権が否定した…

 「そんなものは存在しない」と自民党の複数の政権が否定した「外務省機密費(報償費)の首相官邸への上納」を、政権を取った民主党が「過去にあった」と認めたのは、10年前の2月のことだ

 ▼そんなものがあるのか、と世間が驚いたのはさらにその10年近く前。外務省の要人外国訪問支援室長が詐取して不動産購入などに流用した5億円は、首相官邸に上納された一部とされた

 ▼闇の資金の存在を暴いた捜査の詳細はノンフィクション「石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの」(清武英利著、講談社、2017年)に詳しい。石つぶてのような無名の刑事たちの物語

 ▼これを原作にテレビドラマにもなった。刑事ドラマは近年ますます増えたが、総じて捜査1課の出番が多く2課ものは少ない。1課が追う凶悪殺人事件が目立つ現実社会と無関係ではなさそう

 ▼2課による汚職摘発件数は2010年前後から全国的に減った。元読売新聞記者の著者はそう書き添えている。執筆取材で多くの人に会ったが「汚職などない世の中になったと信じる捜査関係者はいなかった」とも

 ▼警察で進む組織管理化が関係しているようだ。石つぶてだった男は作中で思う-。社会規範すれすれのところで情報を得るなど「少し濁った水の中で息をしているはみ出し刑事と、それをあえて泳がせ責任は取る上司が、絶滅寸前」…。反発する何くそドラマを現実世界で見たい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【春秋】  2020年02月16日  10:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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