【独自】:(後編)自民落選危機「和歌山1区」で二階俊博がやった行動に、地元首長が腰が抜けるほど驚いたこと
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【独自】:(後編)自民落選危機「和歌山1区」で二階俊博がやった行動に、地元首長が腰が抜けるほど驚いたこと
◆保守王国が震撼
前篇《自民党内で出回る「衆参補欠選挙」星取り表の中身がヤバすぎる》に引き続き、自民党の「星取表」で落選危機の▲がつく和歌山1区で起こっていることをレポートしよう。
統一地方選、大阪府知事選と大阪市長選のダブル選で圧勝した維新は、大阪府議会に続き、大阪市議会でも過半数の議席を得た。その勢いは、大阪から奈良にもおよび、奈良県知事選では元総務官僚の自民党候補や現職の知事を破り、大阪以外でははじめて知事を勝ち取った。
全国的にも、維新勢力は議席を伸ばしている。4月9日投開票の統一地方選の前半でも、和歌山県議選では2人を当選させた。門氏の対抗となる林氏は昨年8月に行われた和歌山市議補選では35000票余りをとり1位で当選している。2位当選の自民党市議に3000票の差をつけた圧勝だった事実は、保守王国の和歌山を震撼させた。
維新の幹部もこう証言する。
「鶴保氏が相手なら最初から白旗を挙げていた。だが自民候補が門氏になって、こちらに勝ち目が出てきた。大阪や奈良で勝った効果が和歌山1区にも広がりそうな手ごたえがある」
大阪府知事選や、市長選でも重点選挙区については、維新は吉村洋文氏や松井一郎氏といった党の顔やタレントを選挙応援にいれ、テコ入れを図ってきた。それが4月9日の維新勝利にも有効に作用した。和歌山1区の選挙戦でも吉村知事らが支援に入る予定もあるという。
また、門氏が「選挙に弱い」というイメージが地元で定着しているところも維新を勢いづかせている。実は門氏は和歌山1区で、知事に転身した岸本周平氏に4連敗中で、ただの1度も勝ったことがないのだ。2020年の衆議院選挙では、岸本氏が10万票、門氏が6万票と大敗し、比例復活も果たせぬままバッジを失った。
◆維新は吉村を投入して
勝利の鍵を握るのは二階俊博元幹事長の動向がすべてだ。前出の県議が語る。
「これから維新は、吉村氏らを毎日和歌山1区に投入し、『お祭り騒ぎ』をやって勝負に出るだろう……そういう見方を二階先生はしています。大阪府知事選が終わっているので、吉村氏が和歌山1区に入るのはそう難しいことではない。
鶴保氏で決まっていたのをひっくり返しているので、和歌山の自民党も一枚岩ではない。当然ながら鶴保氏の後援会は積極的には動かない。知事に転出した岸本氏も、門氏とのツーショット写真は撮影し、支援集会も予定しているが、何しろ昨日の敵ですから、門氏支持でどこまでやってくれるか未知数なのです。
そこで二階氏は鶴保氏や岸本氏のラインを動かせるかが勝負とみており、独特の政治勘を働かせ、自ら和歌山入りして支援者行脚をしているのです」
もし和歌山1区で自民党が負けるとなれば、和歌山県連会長でもある二階氏は当然ながら世耕氏らに追求されて、責任を問われる立場となる。いずれ行われる解散総選挙は、公職選挙法改正のもと、「10増10減」の選挙区で行われる。和歌山は3から1減らした2つの小選挙区となる。二階氏は旧3区から新2区に転身をする腹づもりだが、二階派の国会議員はこう語る。
「世耕氏は、鶴保氏の衆議院転身をなんとか阻んだ。和歌山1区の補選で門氏が負けることになれば、二階先生は自身の小選挙区勝利さえ危うくなる。世耕氏が二階おろしに走り出すのは間違いない。二階先生はそれを計算したうえで和歌山1区をまわっている。それどころか、門氏が落ちた事態さえ想定して、和歌山県内のあちこちに出没しているのです」
◆玄関に行くと本人が
和歌山県の首長の一人は、二階氏の驚きのシーンをこう振り返る。
「今年1月、お正月のことです。二階先生の事務所から『そちらにうかがいます』というのでお待ちしていた。正月から秘書さんもご苦労様なことだと思って玄関に出て行くと、二階先生本人が立っていました。信じられないほどびっくりして、腰が抜けそうになりました。
二階先生が『大変な年になるがお願いします』と頭を下げられたのです。これまでの二階先生は『おお、頑張っているのか』と大上段に構えた感じで、こちらは『ははぁ、先生』という感じで、上下関係がはっきりしていた。それが今回は二階先生が平身低頭ですから、本当に驚きました。
和歌山1区の補選や、控える解散総選挙を想定しての行動だったのだと、今になって理解できました。他の首長や県議のところにも訪ねておられるそうですが、さすがは二階先生、世耕さんとは違う先見の明があると思いました。
解散総選挙になっても、新和歌山2区は二階先生をみんなが推すことになるでしょう。ただし、補選で維新に負けるとどうなるでしょうかね……」
話を自民党で出回る補選の「星取表」に戻そう。落選危機の▲がつく和歌山1区に加え、さらに△となっている千葉5区や●の参院大分まで落とせば、2勝3敗で負け越し。岸田文雄首相は窮地に陥るのは必定だ。
「星取表」の「注」にはこう書かれている。
《4勝1敗は想定内、責任なし》
《2勝3敗だとサミット後解散か》
《3勝2敗でも政権運営は不透明》
《立民より維新が台頭に警戒、連携も》
《山口4区の統一教会批判、揺り戻し警戒》
いずれも政局につながる言葉がならんでおり、自民党の危機感がうかがえる。党幹部の一人が語る。
「補選の現有議席が5つのうち3ですから、2勝3敗だと、党内外から批判が強くなるから、岸田首相は解散総選挙を早いタイミングで決断するのではないか。敵は立憲民主党ではなく、党勢拡大が顕著な維新だ。
カギの和歌山1区で二階氏が頑張ってくれれば岸田首相もひと安心、頼むよ…という祈りの心境のようだ。
いろいろ言う人はいるが、やはり最後は二階氏頼みで、世耕氏じゃ心許ないというのが正直なところだ。選挙初日に森山氏が和歌山に入ったのも、岸田首相が了解したうえでやっている。演説が終わると森山氏が先に車から降りたが、二階氏は足元がおぼつかない中、ずっと『出待ち』していました。まさに格の違いです」
運命の4月23日まで、二階俊博の奮闘は続く。
元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・自民党・統一地方選後半戦・衆院和歌山1区補選・担当:現代ビジネス編集部】 2023年04月12日 12:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。