路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【注目の人 直撃インタビュー】:松原文枝監督が見た“ハマのドン”藤木幸夫氏 カジノ阻止「決めるのは市民」と最後までブレず

2023-05-01 06:30:50 | 【IR推進法・カジノを含む統合型施設・ネットカジノ・ギャンブル依存症対策・賭博】

【注目の人 直撃インタビュー】:松原文枝監督が見た“ハマのドン”藤木幸夫氏 カジノ阻止「決めるのは市民」と最後までブレず

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【注目の人 直撃インタビュー】:松原文枝監督が見た“ハマのドン”藤木幸夫氏 カジノ阻止「決めるのは市民」と最後までブレず

 ◆松原文枝(映画「ハマのドン」監督)

 2年前の夏、横浜で「カジノ誘致」の是非を争点にした市長選が行われ、反対派の市長が誕生。当時の菅首相退陣の引き金になった。菅首相に反旗を翻した「ハマのドン」を追ったドキュメンタリー映画が来月5日から公開される。日本にカジノはいるのか、民主主義とは、保守とは何なのか、などさまざまなテーマが浮かび上がる。監督に話を聞いた。

<picture>映画「ハマのドン」監督の松原文枝氏(C)日刊ゲンダイ</picture>

 映画「ハマのドン」監督の松原文枝氏(C)日刊ゲンダイ

              ◇  ◇  ◇

 ──本作はテレビドキュメンタリーとして放送され、数々の賞を受賞し映画化となりました。取材しようと思ったのは?

 当時も今も社会の状況は変わっていないと思うんですが、「忖度」だとか、物を言えば何らかの不利益を被る。霞が関の役人が飛ばされたり、政治家は小選挙区の公認権があるから、総理総裁に物を言えない。そんな中で、権力側にいた人が権力に対して立ち向かうのは、普通じゃなかなかできないことです。

 負ければひどい仕打ちを受けるのに、カジノ政策を進めてきた菅さんのお膝元で、藤木さんがよく「反対」と言ったなと驚きました。世論の反対が大きいにもかかわらず、カジノ解禁法も実施法も強行採決で通している。安保法や共謀罪など、いろんな法律が「選挙で勝てば民意を得たり」みたいなことで強引に決めていた状況だったので、はっきりと物申す人が出てきたことを描きたいなと思ったんです。

 ──藤木さんは神奈川県で一番古い自民党員なんだそうですね。

 自民党員だし、なにより権力者ですよね。映画にそのシーンがあるのですが、新年会に行くと、衆議院議員も参議院議員も県会議員も市会議員も、藤木さんを前に壇上で1列になって深々とお辞儀をする。1列でも収まりきらず、次から次へと挨拶にやってくる。それだけ権力側にいるわけです。そんな権力者が最高権力者に対して、反旗を翻す。その時は官房長官でしたけど、これは本当に驚きでした。

 ──藤木さんと菅さんはどこかで手打ちをするだろう、という臆測も出ていました。そんな危惧はありましたか?

 菅さんが総理に就任する前の2020年8月に、藤木さんに挨拶に行って、一緒に撮った写真が雑誌に出た。これでカジノも進むだろうみたいな記事もあったんですが、後で聞いたら、カジノの話は何ひとつ出ていなかった。一番ドキドキしながら撮っていたのは、小此木さん(菅内閣で国家公安委員長)が横浜市長選に出馬表明した時です。からめ手というか、奇策というか。主張を百八十度変え、カジノ反対を掲げて出てきたわけですから、すごい衝撃でした。

 藤木さんと小此木さんの関係は深い。菅さんとの全面対決も避けられます。多くの関係者が藤木さんは小此木さんを推すんじゃないかと言い、その可能性は十分あるなとは思ったのですが、藤木さんに聞くと「カジノ撤回が決して保障されているわけではない」と受け止めていた。最後までブレなかったですね。

 ──なぜブレなかったのか?

 藤木さんの反対の理屈は明確かつ正論。「横浜市民が決めることだ」とずっと言ってきたんですよね。住民投票を求める19万筆を超える署名の力の大きさを、彼は感じ取ったんだと思う。住民投票の署名は、単に名前を書いてもらうだけじゃなく、住所と年齢も書き、印鑑を押す丁寧な作業です。それをコロナ禍で19万も集めてきたという力を、藤木さんは選挙をやってきたこれまでの経験からも実感していたと思うんですね。勝てる確信はなかった、と最後に聞いたら言っていましたが、あの19万を前に、引き下がれなかったんだと思う。

 ■カジノ業者は「日本に新たな弊害は不要」

 ──映画の大きな2つのテーマが「カジノ」と「民主主義」です。カジノについては、横浜は誘致撤回となりましたが、大阪は国が正式に認定した。映画に登場した、米国でカジノビジネスを仕事にしている日本人が「日本にカジノは必要ない」と断言していたのは、説得力がありました。

 彼は「日本支援」だと言って取材に応じてくれました。日本をいい国にしたいから、と。カジノを仕事にしているわけですから、よく話してくれたと思います。確かに彼らは儲かる。運営側にはものすごく利益が出る。一方で、彼はカジノで大負けした人たちがどういう状態になるのか、よく見ているんです。家をなくし財産をなくし、一家離散などの弊害が出ていることを知っている。「カジノをしたければ、米国やマカオに行けばいい。日本に新たな弊害を生み出す必要はないでしょう」と言うのです。

<picture>映画「ハマのドン」/©テレビ朝日</picture>

  映画「ハマのドン」/©テレビ朝日

 ◆目の前で政治が変わっていくのを学んだ

  ──民主主義については、「19万筆」の力のすごさですよね。主人公は藤木さんですが、住民たちの頑張りも大きかった?

 ものすごく大きかったですね。カジノを何とか阻止したいと、初めて運動し、選挙もやって。そもそも住民投票条例の署名を集めるために、一軒一軒、訪ね歩いた。映画で選挙ビラをポスティングしている場面があるのですが、夜8時ぐらいで夏だったけれどもう暗い。

 でも「まだ行きます」と隣の駅まで行ってポスティングを続けていた。何とかしたいという気持ちが人を動かす。そこに藤木さんという人が入ってくることで、さらに頑張ろうという気持ちになっていく。そんな光景が目の前で展開され、こうやって政治は変わっていくんだ、と私自身が学びました。

 ──ただ、それは藤木さんみたいな人がいたから政治を変えられたのでは? 他でも起き得るでしょうか?

 他でも起きて欲しいですね。横浜市民のカジノ反対の気持ちが強かったことと、やはり藤木さんの存在は大きかったと思います。91歳なんですよ。それで、あれだけのエネルギーで、あれだけの言葉を使って市民たちに呼びかける。それを継続的にやった。

 自民党の人が自民党に対して立ち向かっていく、という勝負をかけたところが、みんなを動かす力につながったと思う。他の地域であっても、同じようにリスクを取って動く人が出てくると、そこに力が乗り移って、次の力を生み出す。藤木さんのような保守の人の中にも、いまの政治のあり方はおかしい、と思っている人はいるでしょうしね。

 ■人を巻き込んでいく力

──保守の人たち、ですか?

 藤木さんを見ていて、なるほど、と思わせたのは、人を巻き込んでいく力。でも本来の保守ってそうですよね。考えに違いがあったとしても、何かの実現に向けて、人を巻き込んでいく。人を大事にするとか、地域を大事にするとか。藤木さんが「レディアンツ」という野球チームをつくっていましたけど、お互いが協力し合いながら社会をつくっていこうよ、みたいなものが、古き良き保守を体現していると思いました。

──そういう意味では、古き良き保守を思い出してくださいというメッセージでもあるわけですね。最近の自民党は本来の保守らしくない?

 「分断」ってしなかったじゃないですか。さまざまな意見を聞こうとか、大事にしようとか、あったと思うんですよね。今はちょっと考え方が違うと敵みたいな。違うんだから攻撃するとか。意見が違ってもいい、議論しましょう、という藤木さん的なるものが、少し前の自民党にはありましたよね。

 *この記事の関連【動画】もご覧いただけます。

 (聞き手=小塚かおる/日刊ゲンダイ)

▽松原文枝(まつばら・ふみえ) 1966年、青森県生まれ。90年東京大学卒。金融機関を経て、91年テレビ朝日入社。92年政治部・経済部記者。2000年からの「ニュースステーション」や「報道ステーション」ディレクターを経て、同番組のチーフプロデューサー。15年に経済部長、19年から総合ビジネス局イベント事業部イベント戦略担当部長。報ステ特集「独ワイマール憲法の“教訓”」でギャラクシー賞テレビ部門大賞。

【映画あらすじ】

 2019年8月“ハマのドン”こと藤木幸夫が横浜港をめぐるカジノ阻止に向けて立ち上がった。御年91歳。地元政財界に顔が利き、歴代総理経験者や自民党幹部との人脈、田岡一雄・山口組3代目組長ともつながりがあり、隠然たる政治力を持つとされる保守の重鎮だ。

 今の時代が、戦前の「ものを言えない空気」に似てきたと警鐘を鳴らし、カジノを推し進める政権中枢の時の最高権力者、菅首相と全面対決した。

 決戦の場となったのは21年夏の横浜市長選。藤木が懸けたのは、住民投票を求める署名を法定数の3倍をも集めた市民の力だった。裏の権力者とされる藤木が、市民とカジノ反対の一点で手を結び、「カジノ誘致」の国策阻止を成し遂げた。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・連載・「注目の人 直撃インタビュー」】  2023年05月01日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:AIの規制 G7は適正なルール構築せよ

2023-05-01 05:00:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①】:AIの規制 G7は適正なルール構築せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:AIの規制 G7は適正なルール構築せよ

 急激に進化する人工知能(AI)にどう向き合っていくのか。先進7か国(G7)は、想定されるリスクを多角的に検証し、弊害を防ぐための国際ルールを構築すべきだ。

 G7のデジタル・技術相会合が、群馬県高崎市で開かれた。採択された共同声明は、AIについて「社会に大きな影響を与える可能性がある」と指摘し、「責任あるAI」の推進を掲げた。

 AIを巡る課題を早急に把握して、安全性や信頼性を高め続ける必要があると明記した。付属文書として、AIの適切な利用に向けた行動計画もまとめた。

 AIの急速な普及に伴うリスクについて、G7各国が認識を共有したことの意義は大きい。

 米新興企業が開発した「チャットGPT」など、生成AIの利用者が世界で急増している。

 生成AIはインターネット上の膨大なデータを学習し、利用者の質問や指示を受けて自然な表現の回答や画像などを作る。企業の生産性を高めると期待される反面、様々な弊害への懸念も強い。

 偽情報を拡散させる恐れがあるほか、著作権の侵害や、利用者の個人情報流出も起きかねない。AIの乱用により、人間の思考力が低下するとの指摘もある。

 海外では、イタリアが、十分な説明がないまま個人情報を集めた疑いがあるなどとして、チャットGPTの利用を一時的に禁止していた。欧州連合(EU)は、生成AIへの対応を検討する専門部会を設け、論議を始めた。

 米国も、司法省など4機関が、AIの開発や使用に対する監視を強化すると発表した。

 ところが、日本政府は、国の政策や方針を示す国会答弁の作成を含め、AIを積極的に活用する考えを示している。岸田首相は、チャットGPTの開発企業の最高経営責任者と面会し、利用に前向きな印象を与えた。

 世界でAIに対する警戒感が強まる中、日本は楽観的すぎないか。技術革新を阻害しないよう、企業や研究機関などの自主的な対応を重視する姿勢だというが、弊害に目をつぶるようでは困る。

 また、G7各国でAIの開発や利用を巡る規制がバラバラになることも避けねばならない。各国の意向を踏まえ、協調して適正な規制に乗り出すことが重要だ。

 5月のG7首脳会議(広島サミット)でもAIが議題になる。議長を務める首相はAIのリスクにも十分に目を向け、適正なルール作りを主導する責任がある。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:独居者の弔い 時代に即した制度が必要だ

2023-05-01 05:00:40 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

【社説②】:独居者の弔い 時代に即した制度が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:独居者の弔い 時代に即した制度が必要だ

 超高齢化社会と家族関係の希薄化により、人生の最期を一人で迎え、死後の引き取り手がない人が増えている。自治体の負担を減らすため、制度の見直しが必要だ。

 総務省が全自治体を対象に行った調査では、2018年4月から21年10月までの死亡者のうち、引き取り手のなかった人は約10万6000人に上った。

 大半は一人暮らしの高齢者で、身元が分かっても家族らに連絡がつかなかったり、引き取りを拒否されたりする例が多いという。

 2020年時点の65歳以上の人口のうち、一人暮らしの人は男性で15%、女性は22%で、いずれも過去最多だった。40年前の数字の2倍に達している。引き取り手のない死者が、今後も増えていくことは避けられないだろう。

 問題は、自治体の負担が過重になることだ。墓地埋葬法は、火葬や埋葬を行う人がいない場合、自治体が担うと定めている。

 葬儀費用は、「遺留金」と呼ばれる故人の所持金や預貯金を充てるが、不足する場合は自治体が立て替えることになっている。神戸市の場合、21年度の立て替え分が1000万円を超えた。

 自治体が遺留金を葬儀費用に使おうとしても、金融機関が「相続人以外は引き出せない」と断ることもある。国は、引き出しを可能とするよう周知すべきだ。

 葬儀費用を差し引いた遺留金は自治体が裁判所に申し立て、最終的には国庫に納めるのが原則だ。だが、実際には国に渡らず、自治体で管理している遺留金が総計約21億5000万円に上る。

 国庫納入の手続きには、故人に相続人がいないことを確認する必要がある上、弁護士報酬など手続きにかかる費用が遺留金の額を上回ることも多いためだ。

 自治体には、「事務負担がかかるばかりだ。制度が現状に追いついていない」との不満が強い。

 現行制度は、高齢の独居者や、引き取り手がない死者がここまで増えることを想定していなかった時代に作られている。このままでは、自治体が管理するだけで、実際には使えない遺留金が、増えていくばかりだろう。

 遺留金は、国ではなく自治体に帰属させ、お金を残さずに亡くなった人の葬儀や相続人の調査に充てられるようにするのが現実的な策ではないか。

 そうした制度ができるまでの間は、国が自治体に費用を補助することも検討する必要がある。国と自治体で議論を深めるべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:女性当選者の増加 地方発の変化を広げたい

2023-05-01 02:05:50 | 【女性が輝く社会と社会参画・選択的夫婦別姓・女性差別・女性を取り巻く諸問題】

《社説①》:女性当選者の増加 地方発の変化を広げたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:女性当選者の増加 地方発の変化を広げたい

 統一地方選は、投票率低下や議員のなり手不足など課題を浮き彫りにしたが、前向きな動きも見られた。女性当選者の増加である。

 東京では、女性区長が3人誕生し、非改選の現職とあわせて過去最多の6人になった。

 女性の数が男性を上回る議会も複数生まれた。千葉県白井市、兵庫県宝塚市、東京都杉並区、埼玉県三芳町では、女性の当選者が過半数を占めた。愛知県日進市、東京都武蔵野市などでは、男女同数だった。議会や自治体、支援団体が、女性候補の擁立に取り組んできた活動が実を結んだ。

 東京都北区では、日本維新の会の新人が、選挙期間中に出産しながら、区議選にトップ当選した。本人の努力はもちろんあるが、周囲の支援も大きかったという。

 今回の女性候補の躍進には、閉塞(へいそく)感を打破して政治を前進させたいという有権者の危機感や、身近な政策課題にもさらに取り組んでほしいという期待感が示された面もあるだろう。

 東京都豊島区長に当選した高際みゆき氏は「子育て支援や女性活躍をもっと進めないといけないという声が多かった」と語った。

 2018年に施行された候補者男女均等法は、国会や地方議会の選挙で、男女の候補者数ができる限り均等になるよう政党に求めている。罰則のない努力義務だが、効果がようやく少し表れてきたのかもしれない。

 ただ全体としては、女性の候補者数は均等には程遠く、政府が目標に掲げる35%にも届かない。

 当選者数の女性割合も同様に厳しい。道府県議選で14%、市議選で22%と、いずれも過去最高だったが、まだ不十分だ。

 道府県議選のほうが割合が低いのは、政党の関与が強まる選挙ほど女性が立候補しにくいからだとの指摘もある。

 女性の立候補を阻む要因として、根強い性別役割分担の意識や、子育て・介護と仕事の両立の難しさ、ハラスメントなど、さまざまな「壁」が立ちはだかっている。

 障害を取り除き、立候補の環境を改善する取り組みを、政府、議会、政党は強化すべきだ。衆院選では女性当選者が1割を切っており、対応の遅れが顕著だ。地方発の変化を力強く広げていきたい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月01日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:習・ゼレンスキー協議 中国は責任果たす関与を

2023-05-01 02:05:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

《社説②》:習・ゼレンスキー協議 中国は責任果たす関与を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:習・ゼレンスキー協議 中国は責任果たす関与を

 ロシアのプーチン大統領に対する影響力を行使して、侵攻したウクライナからの軍撤退に応じるよう働きかけるべきだ。

 中国の習近平国家主席がウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議した。侵攻後、両首脳が意見を交わしたのは初めてだ。

 習氏は「速やかな停戦と平和の回復のため独自の努力をする」と表明した。3月のプーチン氏との会談に続き、対話による解決を呼びかけた。

 ゼレンスキー氏は「中国の政治的影響力」に期待を示す一方、ロシアに有利な中国の提案に対し「領土を犠牲にした平和はあり得ない」とくぎを刺した。武器供与など対露支援を控えるよう求めた。

 米国に対抗するため、ロシアと連携する中国の戦略が大きく変わったわけではない。それでも、国内で絶大な権力を握る習氏が、主権や領土一体性を尊重する原則を確認した意義は小さくない。

 侵攻から1年2カ月を経て、習氏がゼレンスキー氏との電話協議に臨んだのは、国際社会において中露が一体とみなされるリスクを気にしたからだろう。

 中国にとって最も避けたいシナリオは、ロシアに向けられた欧米の結束が、自国への包囲網に発展することだ。

 欧州諸国では、中国の対露姿勢への警戒感が高まっている。最近も、ウクライナの主権を疑問視するような駐フランス大使の発言が物議を醸し、習指導部は火消しに追われた。

 今回の協議で、習氏は、出口の見えない戦争について「対岸の火事と傍観せず、火に油を注ぐこともしない」との立場を強調した。「核戦争に勝者はいない」とも指摘し、核兵器による威嚇を辞さないプーチン氏との違いをアピールした。

 習氏の言動からは、ロシア、ウクライナの双方と対話ができる優位性を誇示し、対外イメージの改善につなげる思惑がうかがえる。

 ただ、中国が停戦の実現に向けて力を尽くすというならば、国連憲章を踏みにじったロシアの暴挙を見過ごすことは許されない。

 「仲介役」を果たすには、責任ある大国として火中の栗を拾う覚悟が求められる。本気度が試されるのはこれからだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月01日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:ベトナム戦争末期の1975年春…

2023-05-01 02:05:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【余禄】:ベトナム戦争末期の1975年春…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:ベトナム戦争末期の1975年春…

 ベトナム戦争末期の1975年春、在留邦人を救出する特別機がサイゴンに向けて飛び立った。だが、経由地のマニラで足止めを食う。現地の空港が破壊され着陸できなくなったからだ。翌日、サイゴンは陥落した

 ▲「米国に(救出を)依頼したが、邦人には相済まぬことだった」と当時外相として指揮をとった宮沢喜一元首相が後に述べている。自衛隊を派遣する法規はなく、航空会社との調整に手間取った。出遅れが響き、痛恨の念が残った

 ▲「政府の責任で何とかしたい」。思いは17年後に実る。首相になり、自衛隊機による邦人救出に道を開く自衛隊法改正案を策定した。政局が混乱し、成立は政権交代後に持ち越されるが、制約を緩める条文修正を重ねて今に至っている

 ▲この法律に基づき内紛が続くアフリカのスーダンから救出された邦人とその家族が日本に到着した。医療や教育に携わる非政府組織(NGO)で働く人もいた。小さな子ども連れの家族の姿もあったという。胸をなでおろすばかりだ

 ▲韓国やアラブ首長国連邦(UAE)、フランスやカナダなどの協力があった。困った時に手を差し伸べてくれる多くの友好国を持つことが国益につながる。危険と隣り合わせの外国の地で働くこうした人たちも、その一翼を担っている

 ▲日本が戦後、国際社会で築いてきた地位は、経済援助や人的支援を通じた平和外交のたまものだというのが宮沢氏の考えだった。邦人の安全をどう守るか。変わることのない政府の重い責任だ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2023年05月01日  02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【風知草】:自民「1強」さらに?=山田孝男

2023-05-01 02:05:20 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【風知草】:自民「1強」さらに?=山田孝男

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【風知草】:自民「1強」さらに?=山田孝男

 4月の選挙は日本維新の会の躍進が話題だった。

 

絵・五十嵐晃

絵・五十嵐晃

 その勢いが政界に波乱を巻き起こすという観測しきりだが、事実は逆だと政治学者の中北浩爾(こうじ)・中央大教授(54)が言っている。自民「1強」状態はむしろ強まるだろう――と(朝日新聞4月25日朝刊)。

 なぜか。「自公政権とは何か」(ちくま新書)「日本共産党」(中公新書)の著者であり、今春、一橋大から中央大に移った中北を訪ね、聞いてみた。、残り1145文字(全文1337文字)

 ※この記事は有料記事です。「ご登録日から1カ月間は99円」 いますぐ登録して、続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【風知草】  2023年05月01日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

■【中公新書・著者に聞く】:『自民党―「一強」の実像』/中北浩爾インタビュー

 データやインタビューを駆使して、自民党の選挙、派閥、政策決定プロセスなどを浮かび上がらせた話題作『自民党―「一強」の実像』。本書は、どのような狙いと背景から書かれたのか? そして、7月の都議選における自民党大敗をどう見ればいいのか? 著者の中北浩爾氏にうかがった。

 ――本書を執筆しようとしたきっかけは?

 中北:3年ほど前、自民党の歴史を分析した『自民党政治の変容』(NHKブックス)を出版しました。それ以来、新聞記者の方々が紹介してくれて、何人かの自民党本部の関係者と親しくなったのですが、彼らから聞く自民党の内情は、知らないことばかり。

 それで、ふと気がついたんです。我々政治学者の自民党論は、佐藤誠三郎・松崎哲久『自民党政権』(中央公論社、1986年)の域にとどまっていて、それ以降の自民党論は従来のあり方が崩れたと主張しているだけだ、と。

 その頃、安保法制にみられる安倍政権の政治手法をめぐって、自民党批判が高まっていました。極端なものは、ファシズムと断罪したり。自民党の現状をなるべく冷静かつ客観的に示すことが、政治学者の役割として必要だと思ったのです。

 ――執筆の上での苦労についてお聞かせ下さい。

 中北:相当な数のインタビューを重ねました。貴重な時間を割いていただくし、コーヒーなどを出してくれることも多いから、必ず手土産を持っていきますね。二階俊博幹事長が言うように、“GNP”、義理、人情、プレゼントは大切でしょう。

 新聞記者と会話すると、いつも意見が一致する点ですが、自民党は基本的に親切でウェット。合理主義の民主党・民進党とは違う。それが自民党の力の源泉の一つだと思います。この点で公明党も似ている。だから、大変だったけれど、楽しかったですね。

 ひたすら大変だったのが、客観性を担保するために不可欠な数量データの作成。大学院生や学部学生のアルバイトと二人三脚で進めましたが、最終段階まで手こずりました。繰り返しチェックしたので、誤りがないことを祈るばかりです。

 ――このご本で特に注目して欲しい所は、どこでしょうか。

 中北:自民党が抱える逆説性や二面性です。かつて「党中党」であった派閥が弱体化し、現在は上意下達機関化しているとか、族議員を跋扈させていた事前審査制が、現在では党議拘束を通じてトップダウンの手段になっているとか。

 国政選挙についても、小泉首相は無党派層の支持を調達して勝利したけれども、現在の安倍首相は低投票率のなかで支持基盤を重視して四連勝している。2009年の政権交代は小泉路線から離れたから起きたという説もありましたが、そう単純ではありません。

 確かに数字からいえば、固定票よりも浮動票の方が重要ということになります。今でも小泉さんは「50万票もない電力総連を切って5000万の浮動票をとれ」みたいなことを盛んに言っていますが、それとは別の政治的リアリティもあります。

 ――都議選での自民党大敗を受けて、何が原因だったと思いますか。

 中北:拙著でも強調したように、個人後援会や友好団体といった自民党の支持基盤は確実に弱っています。だから大きな逆風が吹き、無党派層の支持を集める政治主体が登場すれば、意外と脆い。それが露見したということだと思います。

 ここ20年間弱、支持基盤の弱体化を補ってきたのが公明党です。今回の都議選では、公明党が小池都知事率いる「都民ファーストの会」と手を組みました。これも自民党に大きな打撃を与えたとみています。

 その一方で、大都市で無党派層が圧倒的に多い東京は日本で例外的な地域だ、ということを認識する必要があります。全国的には自民党の支持基盤は強固です。だから、「選挙ファースト」の公明党は、国政選挙では自民党と引き続き協力するでしょう。

 ――今後、自民党はどうなっていくと思いますか。

 中北:政治は偶発性に左右される要素が高いので予想は困難ですが、都議選の結果、安倍政権は揺らぎました。首相と側近を直撃する疑惑や失言が相次ぎ、内閣支持率も下がり、前途多難です。でも、国政では与党の結束が固いし、何より民進党などの野党が低迷している。立て直す余地もあるとみています。

 安倍政権を超えて、自民党についてみると、さらに強い。ある自民党関係者が、都議選の前に言っていました。「今回は大敗しても、次は必ず戻す。それが自民党の力だ」と。自民党の地域での支持基盤の分厚さは、他党を圧倒しています。

 公明党としっかり手を組んでいる限り、自民党は当面、日本政治の主軸であり続けると思います。確かに、2009年の政権交代選挙のように、猛烈な逆風が巻き起これば、吹き飛ばされてしまいます。けれども、それも間欠泉的なものでしかあり得ないでしょう。

 ――これからの研究について聞かせて下さい。

 中北:もう少し日本政治の現状について研究を進めたいですね。政治資金のこととか、政党でも公明・共産両党など、実証的な研究が不十分で自分自身も知りたいことが、まだまだありますから。

 でも、いずれ本業の歴史研究に戻りたい。通史を書くというのは研究者の使命のようなものですが、バブル世代としては、あの日本が最も華やかなりし時代が何だったのか、それを明らかにしたいという個人的な思いがあります。

 今回執筆してみて、中公新書の素晴らしさがよく分かりました。学問的な水準を保ちつつ、これだけ多くの読者の関心に寄り添える媒体は、他にはありません。「その発言って、自民党的GNPですか?」って。いや本音です。また声をかけてくださいね。

■中北浩爾(なかきた・こうじ)

一橋大学大学院社会学研究科教授。1968年三重県生まれ。91年東京大学法学部卒業。95年同大大学院法学政治学研究科博士課程中途退学。東京大学博士(法学)。大阪市立大学助教授、立教大学教授などを経て2011年より現職。専門は日本政治外交史、現代日本政治論。著書に『現代日本の政党デモクラシー』(岩波新書)、『自民党政治の変容』(NHKブックス)、編著に『民主党政権とは何だったのか』(岩波書店)などがある。

 元稿:中央公論新社 主要出版物 【中公新書】 2017年07月12日 00:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【追跡】:ドローン配送、最終実証 高難度「レベル4」解禁 物流業界、効率化期待

2023-05-01 02:05:10 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【追跡】:ドローン配送、最終実証 高難度「レベル4」解禁 物流業界、効率化期待

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【追跡】:ドローン配送、最終実証 高難度「レベル4」解禁 物流業界、効率化期待

 インターネットで注文した商品が、空を飛んで手元に届く。まるでSF映画のような世界が現実味を帯びてきた。昨年12月にドローン(無人航空機)の規制が緩和され、ドローンが自動飛行で住宅街の上空を飛行することが可能になったためだ。ただ、ドローン配送の普及には安全面や制度上の課題が多い。果たしてドローン産業は安定軌道に乗れるのか。

 

荷物を抱えて住宅街上空を飛行するドローン=東京都奥多摩町で3月24日

荷物を抱えて住宅街上空を飛行するドローン=東京都奥多摩町で3月24日

 ブゥイイイイイィン――。虫の羽音のような音が響くと、郵便局の屋上から、段ボールを抱えたドローンが飛び上がる。約20メートルまで上昇したドローンは、住宅や商店が集まる町の中心部を抜け、山の向こうに消えていった。日本で「ドローン宅配」時代が幕を開けた瞬間だった。、残り2078文字(全文2370文字)

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【追跡】  2023年05月01日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【クローズアップ】:生成AI 欧米で規制強化の動き イタリアは一時禁止

2023-05-01 02:05:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【クローズアップ】:生成AI 欧米で規制強化の動き イタリアは一時禁止

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【クローズアップ】:生成AI 欧米で規制強化の動き イタリアは一時禁止

 欧米諸国ではチャットGPTなどの生成AI(人工知能)が社会に与えるリスクの大きさを懸念し、規制を強化する動きが広がる。イタリアは3月末~4月下旬、チャットGPTの利用を一時的に禁止。欧州連合(EU)は包括的なAI規制法案の成立を目指すが、欧州議会の議員らは生成AIを念頭に「非常に強力なAI」への対応強化を盛りこむべきだと要求している。経済活動の自由を重視する米国でも、一定のルール作りを求める声が強まる。

 

G7デジタル・技術相会合の冒頭、発言する河野太郎デジタル相(左)。右奥は松本剛明総務相=群馬県高崎市で30日

G7デジタル・技術相会合の冒頭、発言する河野太郎デジタル相(左)。右奥は松本剛明総務相=群馬県高崎市で30日

 いち早く規制に動いたのはイタリアだ。同国のデータ保護当局が問題視したのは、チャットGPTの個人データ収集・処理のあり方だった。生成AIはネット上の膨大なデータを集めることで「学習」していくが、そこには個人データも多く含まれる。イタリア当局は3月末、チャットGPTが、個人データ保護について定めるEUの「一般データ保護規則(GDPR)」に違反している疑いがあると判断し、利用禁止に踏み切った。チャット…、残り1214文字(全文1618文字)

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【クローズアップ】  2023年05月01日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2023年04月29日 今日は?】:安倍晋三首相が米議会上下両院合同会議で日本の首相として初の演説

2023-05-01 00:00:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【2023年04月29日 今日は?】:安倍晋三首相が米議会上下両院合同会議で日本の首相として初の演説

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2023年04月29日 今日は?】:安倍晋三首相が米議会上下両院合同会議で日本の首相として初の演説

 ◆4月29日=今日はどんな日

  安倍晋三首相が米議会上下両院合同会議で日本の首相として初の演説(2015)

 (写真提供:内閣広報室)

  (写真提供:内閣広報室)

安倍晋三元首相(2022年7月6日撮影)安倍晋三元首相(2022年7月6日撮影)

 ◆出来事

  ▼中大、日大、専大、国学院大、東農大が5大学野球連盟結成(1931)▼関越自動車道で高速ツアーバスが防音壁に衝突して大破、7人死亡(2012)

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関越道の事故で大破した高速バス(29日、群馬県藤岡市)

 ◆誕生日

  ▼小西克哉(54年=ジャーナリスト)▼田中裕子(55年=女優)▼北村有起哉(74年=俳優)▼一色紗英(77年=女優)▼舟山久美子(91年=モデル)▼武藤彩未(96年=歌手)▼アンジェラ芽衣(97年=タレント)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2023年04月29日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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