【大谷昭宏のフラッシュアップ・01.08】:つらく悲しい幕開けになった新しい年 “こころ”の置き場所を考える1年に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・01.08】:つらく悲しい幕開けになった新しい年 “こころ”の置き場所を考える1年に
能登半島地震に日航機と海保機の事故。悲惨な年明けだったが、きょうは成人の日。20歳を迎えられたみなさんを祝いつつ、実は成人式には苦い思い出がある。
20年近く前、朝のテレビ番組で式典妨害に路上飲み、荒れる成人式を厳しく批判。「記念講演の依頼は、お断りすることにしている」とコメントしたところ、新成人の女性から「悲しい気持ちです」と便りが届いた。
<私のまわりの多くの若者は、進路に迷い、恋に悩み、蹴つまずいて、転んで…それでも必死に前を向いて歩こうとしています>
最後に「そんな若者のことも忘れないで」とあった。
そういえば、昨年亡くなられた伊集院静さんは毎年、成人の日のサントリーの新聞広告に一文を寄せられ、自身のエッセーでも「行事の中で成人式が好きだ」と、こんなことを書かれている。
小学校時代の楚々とした美しい女性の先生の言葉。「人には“こころ”というものがあります。そのこころが目の前にひろがるものを、美しいと感じたり、やさしくされた時に、人のぬくもりを思ったりします」。それを振り返りつつ、自身の成人への思いをつづる。
<大人になるということは、この“こころ”の置き場所をきちんとすることではないかと思う。こころの置き方ひとつで、物事の見方、捉え方、処し方が変わってくるように思う。“こころの置き方”とは、その人の“構え”と言うか、覚悟である>
つらく悲しい幕開けとなってしまった新しい年だが、みなさんとともに、こころの置き場所、物事の見方、捉え方、処し方を考える1年にしたい。そんなことを思う2024年初春である。
◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)
ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。
■大谷昭宏のフラッシュアップ
元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】 2024年01月08日 08:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。