路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・01.08】:つらく悲しい幕開けになった新しい年 “こころ”の置き場所を考える1年に

2024-01-22 08:01:30 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・01.08】:つらく悲しい幕開けになった新しい年 “こころ”の置き場所を考える1年に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・01.08】:つらく悲しい幕開けになった新しい年 “こころ”の置き場所を考える1年に 

 能登半島地震に日航機と海保機の事故。悲惨な年明けだったが、きょうは成人の日。20歳を迎えられたみなさんを祝いつつ、実は成人式には苦い思い出がある。

 20年近く前、朝のテレビ番組で式典妨害に路上飲み、荒れる成人式を厳しく批判。「記念講演の依頼は、お断りすることにしている」とコメントしたところ、新成人の女性から「悲しい気持ちです」と便りが届いた。

 <私のまわりの多くの若者は、進路に迷い、恋に悩み、蹴つまずいて、転んで…それでも必死に前を向いて歩こうとしています>

 最後に「そんな若者のことも忘れないで」とあった。

 そういえば、昨年亡くなられた伊集院静さんは毎年、成人の日のサントリーの新聞広告に一文を寄せられ、自身のエッセーでも「行事の中で成人式が好きだ」と、こんなことを書かれている。

 小学校時代の楚々とした美しい女性の先生の言葉。「人には“こころ”というものがあります。そのこころが目の前にひろがるものを、美しいと感じたり、やさしくされた時に、人のぬくもりを思ったりします」。それを振り返りつつ、自身の成人への思いをつづる。

 <大人になるということは、この“こころ”の置き場所をきちんとすることではないかと思う。こころの置き方ひとつで、物事の見方、捉え方、処し方が変わってくるように思う。“こころの置き方”とは、その人の“構え”と言うか、覚悟である>

 つらく悲しい幕開けとなってしまった新しい年だが、みなさんとともに、こころの置き場所、物事の見方、捉え方、処し方を考える1年にしたい。そんなことを思う2024年初春である。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2024年01月08日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.25】:ささえる人、忘れぬよう自戒込めて…NHK記者の不正請求問題

2024-01-22 08:01:20 | 【新聞社・報道・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌・世論調査】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.25】:ささえる人、忘れぬよう自戒込めて…NHK記者の不正請求問題

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.25】:ささえる人、忘れぬよう自戒込めて…NHK記者の不正請求問題 

 NHKの30代社会部記者が取材費を不正請求、懲戒免職となった問題で、陳謝する局幹部の姿に東日本大震災の年、被災地で経験したことを思い出した。

 被災からほぼ半年、タクシーで取材先に向かっていると、運転手が「大谷さんはNHKでなく民放の仕事が大半ですよね。お乗せしたら、聞いてほしいことがあったんです」と言う。

 いつも大災害直後は報道機関のタクシーの奪い合い。私も何度も苦い経験をしたが、取材費が豊富なNHKは、あの大震災の時もいち早く運転手の会社のマイクロバスを1日20万円で借り上げた。

 だが、初夏ともなると取材も落ち着いてきて、運転手は朝からずっと待機。夕刻、この日初めて乗ってきた若い記者に「お金もかかるし、無線配車にされたら」と言ったところ、「あんたの会社とうちの局のことだろ。余計な口出しをするな」と食ってかかられたという。

 「私の息子より若い、4、5年目くらいの記者でしたよ」。悔しさがよみがえったのか、唇がわなわなと震え、「あれ以来、なんと言われようと受信料は払わないことにしました」とつけ加えた。

 もちろん、どんな組織にも勘違いしている人間はいる。だが、私たちメディアは受信料、購読料、スポンサー料、そして何よりも、名もない多くの視聴者、読者にささえられている。

 言うまでもなく、コンプライアンスや原稿の送稿、機材の操作。そうした記者教育は大事だ。だが真っ先にたたき込むべきは視聴者、読者の存在ではないのか。この世界に飛び込んで半世紀。自戒を込めてそう思いつつ、今年も拙いコラムをご愛読くださったみなさま、どうぞ良いお年を-

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2023年12月25日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.18】:】特定少年への死刑求刑に揺れる心 甲府地裁の裁判員裁判

2024-01-22 08:01:10 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・再審請求)、刑法39条】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.18】:特定少年への死刑求刑に揺れる心 甲府地裁の裁判員裁判

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.18】:特定少年への死刑求刑に揺れる心 甲府地裁の裁判員裁判 

 好意を寄せていた女子高生に交際を断られたことから、未明、この女性宅に侵入、両親を殺害したうえ家に放火した被告(21)の甲府地裁裁判員裁判で先週、検察は極刑の死刑を求刑した。

 このニュースを報じた新聞のうち毎日、東京などは事件当時19歳だった被告を匿 名、地元の山梨日日、朝日、読売などは実名報道と対応が分かれた。

 昨年4月、少年法が改正され、これまで原則匿名だった18、19歳は特定少年と位置づけられて、検察はこの事件で初めて少年の名前を公表。匿名、実名報道はテレビも含め、各社の判断に委ねられた。

 同時に少年犯罪の厳罰化の声に応えて極刑の死刑も妥当となり、今回、検察は「残酷な犯罪で反省の態度もない」として死刑を求刑した。

 2階から逃げ出して無事だった女子高生を襲うのに邪魔になると殺害された両親や同時に切りつけられた妹。一家の無念さを思うと、「凶悪犯罪に年齢は関係ない。命で償うべき」とする検察の主張も当然と感じる。

 その一方で「被告の成育過程は不安定で、人格は完成しておらず、更生の可能性は残されている」として、死刑回避を求める弁護側の訴えにも、心が動く。

 人生100年時代といわれるなか、この先、半世紀をはるかに超えるであろう被告の人生で、犯行を心から自省し、更生の道を歩むことは望むべくもないのか。

 長年、事件を取材してきた私の心が揺れるなか、21歳の被告は、どんな判決であろうと裁判員裁判を受け入れ、控訴はしないとしており、1審で刑が確定する。

 あらためて人を裁くことの難しさを感じるなか、判決はちょうど1カ月後、来年1月18日に言い渡される。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

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 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2023年12月18日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.11】:留置場虐待死事件 署員の自己弁護と組織の保身しかない

2024-01-22 08:01:00 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.11】:留置場虐待死事件 署員の自己弁護と組織の保身しかない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.11】:留置場虐待死事件 署員の自己弁護と組織の保身しかない 

 これぞ自浄能力を失った組織を象徴する捜査ではないか。昨年12月、愛知県警岡崎署の留置場で精神疾患のある40代の男性が虐待死した事件で、県警は先日、署員9人を業務上過失致死容疑などで書類送検した。こうした密室での集団犯罪は一刻も早い捜査が不可欠なのに、逮捕もせずに丸1年。その間に証拠を隠し、口裏も合わせておいて下さいということだったのか。

 さらに、同時に特別公務員暴行陵虐罪に問われたのは男性を足蹴(あしげ)にした幹部ら2人。他の7人は業務上過失致死容疑のみ。5日間も戒具で縛り上げ、持病の薬も与えず、真冬に和式便器に頭部を押し込んで冷水を浴びせる。これが過失なのか。

 そこには代わる代わるやってくる警官の暴行の末、留置場の冷たい床で息絶えた男性や変わり果てた息子の姿に肩を震わせる父親。被害者への悔恨の情はみじんもない。あるのは署員の自己弁護と組織の保身だけ。

 折しも京都府警の警部補は、特殊詐欺の防犯活動で知った高齢者宅などで1000万円を超える窃盗を繰り返していた。中国四国管区警察局幹部は警官の制服を着て無理やり風俗女性と性交した。大阪府警の25歳の女性警官は高齢女性2人から約1000万円をだまし取った詐欺グループの受け子をしていた。そこにも「まさか警察にこんな目に」と悔しさに泣く被害者が必ずいるはずだ。

 だが、警察庁は今回の岡崎の事件を受けて、愛知県警などに留置施設の巡回特別査察を指示したという。

 一体、時間も場所も事前に通告した査察が再発防止に何の役に立つのか。身内に甘い、なあなあ体質に、ピント外れ。これもまた組織ぐるみのようである。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2023年12月11日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:自民裏金事件を考える それでも政治は正せる

2024-01-22 07:56:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説①】:自民裏金事件を考える それでも政治は正せる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:自民裏金事件を考える それでも政治は正せる

 《治安の悪化に困り果てた町長は犯罪者集団に防犯対策の強化を話し合うよう求めた》。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をきっかけとする政治改革の動きを例えるために、ほかに適切な比喩があるだろうか。国会議員が自らを取り締まり対象とする法律をつくる矛盾にほかならない。

 党総裁の岸田文雄首相が設置した政治刷新本部のメンバー38人のうち28人は党内六つの派閥に属する。うち5派閥はパーティー収入を過少報告したとして刑事告発され、捜査の結果、安倍、二階、岸田各派の会計責任者らが政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で在宅・略式起訴された。
 
 法律を守らない派閥に属する議員たちが集まって再発防止策を議論するのだから「期待しない」人が75%(共同通信世論調査)に達するのも無理はない。刷新本部は26日の通常国会召集前に中間取りまとめを決定する。2週間足らずの議論で抜本的な改革案が示せるというのだろうか。

 ◆派閥解消と復活の歴史

 政治腐敗の根を断つには、裏金の温床となった派閥の政治資金パーティーをなくすだけでなく、派閥自体を解消することが国民に分かりやすい。法改正は必要なく、派閥が自ら解散すれば済む。
 
 派閥頼みの政権運営を続けてきた首相が自ら率いた岸田派の解散を率先して表明したのは政権維持のための捨て身の選択だろう。
 
 政治刷新本部の議論では党として派閥を解消するか賛否が割れており、仮に派閥解消を決めても本当に実行できるのかは疑わしい。自民党の歴史は派閥解消と復活の歴史でもあるからだ。
 
 1988年に発覚したリクルート事件の翌年に党議決定した「政治改革大綱」は、無理な資金集めや内閣・党人事への介入を派閥の弊害に挙げ、総裁や副総裁、党三役らの派閥離脱を「派閥解消の第一歩とする」決意を示した。政治資金パーティーも派閥などによる開催自粛の徹底を明記した。
 
 党の分裂を経て93年に下野した後、94年に党改革の一環で派閥解消を打ち出し、各派閥事務所も閉鎖したが、議員グループとして生き残り、徐々に復権していく。
 派閥重視の岸田首相は昨年12月まで岸田派会長にとどまり、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長は今も自分の派閥を率いる。派閥順送り人事が繰り返され、各派は年1回パーティーを開いてきた。
 
 志を同じくする議員が集い、議論を深めることは否定しない。派閥に新人議員を教育する機能があるとしても、数の力で政策や人事を曲げることは是とできない。
 
 自民党は派閥解消を断行し、真の近代政党として生まれ変わる必要がある。政治刷新本部では、これまで派閥が担ってきた人事調整や議員教育などの機能を、党が担うための統治機構改革について議論を深めるべきではないか。
 
 政治資金の透明性を高める法改正も急務だ。裏金に手を染めても有力議員なら罪に問われないのでは「法の下の平等」が揺らぐ。野党や公明党は規正法に違反した会計責任者だけでなく議員本人も処罰される連座制の導入を唱え、自民党にも同調する意見がある。実効性のある法改正を求める。
 
 政治資金パーティーの規制も最優先課題だ。企業・団体がパーティー券を購入すれば、法が禁じる議員個人や派閥にも献金できるに等しい。企業・団体へのパーティー券販売を禁じるべきだ。

 ◆政治資金は使途公開を

 政党が議員個人に支出する政策活動費は使途公開の義務がなく、不透明極まりない。国会議員に毎月100万円が支給され、使途報告の義務がない調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)と合わせ、使途公開を強く求める。
 
 自民党はこうした政治資金改革に難色を示してきたが、それが許される状況とはとても思えない。国会が金権腐敗政治を正せなければ「国権の最高機関」「唯一の立法機関」に値しない。
 
 こうした状況を招いた責任は私たち有権者にもある。眼前の腐敗にまみれた議員たちを選んだのは私たち自身だからである。
 
 希望は、有権者には自らの代表を選ぶ権利があることだ。4月には国会議員の補欠選挙、25年夏には参院選、同年秋までには衆院選があり、期待を裏切った政党や議員を退場させることができる。
 
 金権腐敗を嘆き、絶望するだけでは状況を変えられない。国会や政府の動きを注視し、声を上げ、選挙権を行使する。その積み重ねが政治を正すと信じる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年01月22日  07:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:スズメより少し大きい小鳥の鷽(うそ)の語源は口笛を吹くとい…

2024-01-22 07:56:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【筆洗】:スズメより少し大きい小鳥の鷽(うそ)の語源は口笛を吹くとい…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:スズメより少し大きい小鳥の鷽(うそ)の語源は口笛を吹くとい…

 スズメより少し大きい小鳥の鷽(うそ)の語源は口笛を吹くという意味の「うそぶく」からきているそうだが、別の説もある

 ▼さえずるとき、脚を交互に上げ下げし、昔の人にはこれがまるで琴を弾いているように見えた。本物ではない琴を弾くから「ウソ」。脚の上げ下げが本当かどうかは知らないが、この説の方がおもしろい

 ▼菅原道真がハチに襲われ、難儀しているところ、飛んできた鷽が撃退したという伝説などから、道真公の天神様とのゆかりも深い。東京都江東区の亀戸天神社で24、25の両日、「鷽替え神事」が行われる

 ▼かわいらしい木彫りの鷽を1年に1度、取り換える。取り換えることで今まで起きた嫌なことが「ウソ」になり、新たな吉兆を招くことができる

 ▼<鷽替やまこと顔なる古帽子>岡野知十。起きたことは「ウソ」にはならないまでも悪(あ)しき出来事を慰め、はらい清めてくれるのならば、その神事には、どなたも真剣な「まこと顔」になったのだろう

 ▼被災地に深い爪痕を残した能登半島地震や気の重い、自民党派閥パーティーの裏金事件を挙げるまでもなく、年が明けて、まだ1カ月にもならないのに「ウソ」にしたい出来事が続く。ロシアのウクライナ侵攻は終結の気配さえ見えない。イスラエルの攻撃によるパレスチナ自治区ガザの犠牲者は2万5千人を超えた。今年は超特大サイズの鷽が群れでほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年01月22日  07:07:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相の一日】: 1月21日(日)

2024-01-22 07:56:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【岸田首相の一日】: 1月21日(日)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相の一日】: 1月21日(日)

 【午前】来客なく、公邸で過ごす。

 【午後】5時53分、東京・虎ノ門のホテル「The Okura Tokyo」。日本料理店「山里」で麻生太郎自民党副総裁と会食。7時57分、公邸。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・岸田首相の一日】  2024年01月22日  08:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:週のはじめに考える ヤニングさん、あなたが

2024-01-22 07:54:50 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・再審請求)、刑法39条】

【社説①】:週のはじめに考える ヤニングさん、あなたが

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える ヤニングさん、あなたが

 「政治部門は国民のために働く。司法は憲法のために働く」

 米国連邦最高裁のジョン・ロバーツ首席判事が述べた言葉です。2018年、ミネソタ大学ロースクールでの講演会でした。日本でいえば最高裁長官です。
 
 何とも明快です。その続きの言葉も聞いてみましょう。
 
 「私どもの役割は非常に明確です。合衆国憲法と連邦法を解釈し、政治がその枠内で行われることを保障することです」

 ◆司法は憲法のため働く

 「そのためには政治部門からの独立が必要です。(中略)独立がなければ、生徒に対し、国旗に敬礼することを強制できないとの判決はなかったでしょう」
 
 「独立がなければ、鉄鋼接収裁判もなかったでしょう。大統領はたとえ戦時下でも憲法に拘束されると判決が出されました」
 
 前者は1943年のバーネット判決。後者は52年のヤングスタウン判決です。朝鮮戦争の時です。鉄鋼業でストライキになると銃弾も作れません。当時の大統領は鉄鋼業を接収しましたが、連邦最高裁は「大統領にその権限はない」とした判決でした。
 
 司法が政治から独立している証左です。昔の話だけではありません。ロイター通信によれば、2020年の中絶手術を大幅に制限するルイジアナ州法は連邦最高裁で無効とされました。LGBT(性的少数者)労働者の権利を擁護する判決もありました。不法移民の保護を廃止しようとする当時のトランプ大統領の動きも、司法が阻止しています。
 
 いずれも保守派のロバーツ氏がリベラル派に回った結果でした。「司法は憲法のために働く」の言葉どおり、憲法理念の実現に力を尽くしたのでしょう。
 
 でも、米国にも恥ずべき判決があります。例えば44年の「コレマツ判決」。第2次大戦中の日系人の強制収容について、連邦最高裁は「違憲ではない」としました。
 
 米国司法省は後に過ちだったとしますが、ロバーツ氏はその原因は「裁判所が政治的圧力に屈したため」と断言しています。
 
 政治からの独立が司法にとっていかに大事であるか、このエピソードからも読み取れます。

 ◆政治への同調圧力では

 日本の場合はどうか。昨年秋からの重要裁判を振り返ります。
 
 例えば1票の格差訴訟。参院選で最大3倍もの格差があっても最高裁は「合憲」でした。1人1票のはずが、0・33票の価値しかない選挙区の有権者が20%超もいるのに…。「違憲無効」とした判事は1人のみ。「違憲状態」としたのも2人だけでした。
 
 野党の臨時国会の召集要求に長期間、内閣が応じなかった訴訟でも、最高裁は原告の訴えを退けています。こちらも「違法」と断じた判事は1人のみでした。
 
 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法の違憲性を巡る裁判で、仙台高裁は「違憲ではない」と。歴代政権は個別的自衛権の行使のみを認めていたのでは…。
 日本では政治向きの話になると、腰が引ける感じです。同調圧力が働くのでしょうか。
 
 「ニュールンベルグ裁判」(61年)という米国映画があります。被告席にいるのはナチス・ドイツのヒトラー総統でもゲッベルス宣伝相でもありません。裁判官が裁きを受けるドラマなのです。
 
 世界的に有名な法学者で裁判官も被告の一人でした。民主的で先進的なワイマール憲法の起草にも加わっています。映画では「ヤニング」という名前です。
 
 なぜ彼がヒトラーに迎合したのか。弁護人は「彼が祖国を裏切れば良かったのか」「ドイツ国民全員も罪に問わねば」「国益のためだった」と熱弁を振るいます。
 
 でも、ヤニングは弁護人の言葉を遮り、「私は罪深い。彼らの正体を知りつつ、同調していたのだ」と陳述します。自分の責任を認めたのです。米国人の裁判長は彼に終身刑を言い渡しました。
 
 裁判長が米国に帰国する直前のことです。ヤニングは彼に面会を求めます。そして、裁判長に「判決を尊敬しています」と称(たた)えました。一方で、「何百万人もの虐殺は知らなかった。それだけは信じてください」と述べます。

 ◆歴史の法廷で裁かれる

 裁判長はこう答えました。
 
 「ヤニングさん、あなたが無実と知りつつ、死刑にしたのが始まりなのですよ」
 国益であれ、愛国心であれ、誤りは歴史の法廷では許されません。司法が政治部門に同調して、「憲法違反」を見逃すようなことがあってはなりません。
 
 「ヤニングさん、あなたが…」と歴史の裁判長に言われぬよう、裁判官たるもの、憲法のために働いてほしいものです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年01月21日  07:46:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【筆洗】:30年ほど前、国会取材を担当して間もないころに「ハリラクダ…

2024-01-22 07:54:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【筆洗】:30年ほど前、国会取材を担当して間もないころに「ハリラクダ…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:30年ほど前、国会取材を担当して間もないころに「ハリラクダ…

 30年ほど前、国会取材を担当して間もないころに「ハリラクダ」なる言葉を初めて聞いて、まごついたことがある。自民党の国対幹部が語るには「その日程で、○○法案を通過させるのはハリラクダだ」

 ▼無論、「針の穴にラクダを通すようなもの」の略で、不可能なことのたとえである。キリスト教の聖書にある言葉からきているのだが、切った張ったの政治の世界で聖書の言葉が使われるのがどうも不思議な気がした

 ▼探査機を月面の狙った場所にわずか100メートルの誤差で着陸させる-。宇宙開発とは縁のない時代の人なら、その試みを「ハリラクダ」と笑ったにちがいない。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した月面探査機「SLIM」の挑戦である。未明に朗報を待った

 ▼結果に「うーん」となる。探査機は月面に着陸したというから成功は成功なのだろう。旧ソ連、米国などに続き、5カ国目の快挙だが、バンザイの声も控えめとなる。太陽電池が作動しておらず、目標としていた高精度着陸ができたかどうかがまだ、分からない

 ▼見事な着地で、日本の技術を宇宙開発競争の過熱する国際社会に見せたかったが、やむを得まい。着地の際にバランスでも崩したか

 ▼JAXAによると「60点」の出来とか。満点とはいかぬともこの道を追えば、針の穴にラクダは通り、探査機はピンポイントの着地を決めるのだろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年01月21日  07:13:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相の一日】: 1月20日(土)

2024-01-22 07:54:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【岸田首相の一日】: 1月20日(土)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相の一日】: 1月20日(土)

 【午前】来客なく、公邸で過ごす。
 
 【午後】3時59分、官邸。4時、林芳正、村井英樹、森屋宏、栗生俊一正副官房長官、古賀篤内閣府副大臣、村田隆内閣危機管理監、森昌文首相補佐官、高橋謙司内閣府政策統括官、広瀬昌由国土交通省水管理・国土保全局長。21分、古賀内閣府副大臣。5時15分、公邸。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・岸田首相の一日】  2024年01月21日  07:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・12.17】:裏金問題で「切り捨て」に揺れる安倍派の混乱状態 森喜朗氏の「予言」は的中するのか

2024-01-22 07:45:10 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【中山知子の取材備忘録・12.17】:裏金問題で「切り捨て」に揺れる安倍派の混乱状態 森喜朗氏の「予言」は的中するのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・12.17】:裏金問題で「切り捨て」に揺れる安倍派の混乱状態 森喜朗氏の「予言」は的中するのか 

 国会議事堂や自民党本部がある国会周辺は例年、師走の季節にはイチョウ並木が金色に色づき、この時期になるとすっかり落葉して季節の移り変わりを感じさせる。ただ今年は例年にない酷暑が続いたからか、例年より落葉のタイミングが遅く、木にはまだ金色の葉っぱが多く残ったままだ。

都内のホテルで開かれた安倍派のパーティー。大勢の所属議員が集った(2023年5月16日撮影)
都内のホテルで開かれた安倍派のパーティー。大勢の所属議員が集った(2023年5月16日撮影)

 そんなイチョウ並木の近くに、派閥パーティーをめぐる「裏金」問題の渦中にある安倍派(清和政策研究会)の事務所が入るビルがある。近く東京地検特捜部の強制捜査が入るとの観測が出てからは、メディアが張り込みを続ける場所になっている。こちらも例年には見られない光景だ。

 自民党最大派閥安倍派の派閥パーティーをめぐる政治資金問題は、パー券販売の一部が議員側にキックバックされ裏金となった疑いがあり、キックバックを受けていた議員の数や金額も日々、報道が増える状況。「政治とカネ」というフレーズの枠を超え、かつて日本政治を揺るがしたリクルート事件をほうふつとさせるため、野党議員からは「こんな、あしき歴史が繰り返されていいのか」と批判する声も増えている。

 その舞台になった安倍派への批判も、内外で止むことはない。

 そもそも政治における「派閥」という言葉は一時、あまり使われなくなったことを覚えている。昭和の時代には、お金や人事(ポスト)や選挙支援のために人が集まり、それそれがしのぎを削ることが自民党の力の源にもなっていたが、「政治とカネ」でさまざまな問題が起き、派閥はあくまで「政策集団」だと呼ばれるようになった。ただ実質的に中身に変わりはない。

 今の永田町の権力闘争にはよくも悪くも「数の力」に頼らざるを得ず、だからこそ岸田首相も党内最大派閥の安倍派という「数の力」を利用し、生かする形でここまで政権運営を続けてきた。しかし今回の裏金問題で岸田首相は、安倍派との距離を置く方針に転換し、「安倍派一掃」「安倍派切り捨て」の手法に出た。

 当然、安倍派からは反発の声も出たが、逆に宮沢博行前防衛副大臣のように、派閥から政治資金収支報告書への記載はしなくていいと言われたとし、それを「しゃべるな」と「口止め」されていたと暴露する議員も現れ始めた。幹部たちは一様にダンマリだが、所属議員からは、上が守ってくれないならとばかりに、ぽろぽろと告白が出始める。自民党関係者が「もはや派閥の混乱というか、機能していない」と嘆く状態に陥っている。

 清和会をめぐる「錬金術」は最近始まったものではないという指摘も出てきた。かつて自民党職員を務めた政治アナリストの伊藤惇夫氏は、14日に行われた立憲民主党の調査チームの初会合に出席し、30年以上前の1991年6月に体制がスタートした、安倍派の前身三塚派(三塚博会長)のころから「裏金づくり」のシステムが存在していたと聞いたことがあると話し、「あしき伝統芸」とも指摘した。

 清和会会長は三塚氏の後、森喜朗、小泉純一郎、町村信孝、細田博之各氏が務め、安倍晋三元首相が引き継いだ経緯がある。その森氏は昨年5月の安倍派パーティーで「派閥で『100人近い数がそろった』『あと何人で100人になる』なんてやってたときがいちばん危ない。それで滅びたところがたくさんある」と指摘していた。

 その直後の安倍晋三氏の死去で派閥を統率する人がいなくなり、今も会長不在の状態。将来の会長候補と目され今年8月末に登場した有力幹部「5人組」が、今回の問題で全員が就いていた職を追われたり、今後追われる事態となり、安倍派は先導役を失った形になっている。集金システムが問題視され、イメージの悪化もあり、いずれ分裂は避けられないとの声も聞いた。もしかしたら、森氏の「予言」が的中しかねない事態になっている。

 安倍派の毎週木曜日の定例総会には、多くの所属議員が集まり、議員たちにはお弁当が配られてきた。取材に行くとチェックしていたが、老舗店のうな重だったこともあれば、人気店のハンバーグ弁当だったこともある。このお弁当の手配をしていたのが、派閥運営を取り仕切る事務総長を務める高木毅国対委員長(辞表を提出)。関係者によると、高木氏は弁当選びのセンスが良く、所属議員には好評だったという。

 毎週の総会で全員で同じ弁当を食べて結束を強めるシーンは、昭和の時代から「一致結束箱弁当」と呼ばれ、各派閥の伝統のようなものになってきた。捜査の進展次第では、今後はこうした集まりも従来と同じ形でできるのか、不透明になってきた部分もある。

 例年にない永田町の師走の風景は、これから始まる政治の混乱を示唆しているように感じられてならない。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2023年12月17日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・12.10】:松野官房長官と缶ビール…たたきあげの苦労人がかつてエッセーに記した庶民性と裏金疑惑の落差

2024-01-22 07:45:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【中山知子の取材備忘録・12.10】:松野官房長官と缶ビール…たたきあげの苦労人がかつてエッセーに記した庶民性と裏金疑惑の落差

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・12.10】:松野官房長官と缶ビール…たたきあげの苦労人がかつてエッセーに記した庶民性と裏金疑惑の落差 

 師走の永田町は、自民党派閥パー券をめぐる「裏金疑惑」で、ピリピリしている。その大きな要因が、ただでさえ支持率低迷で追い込まれ気味の岸田文雄首相を支える松野博一官房長官が、所属する安倍派の政治資金パーティー売り上げの一部のキックバックを受け「裏金」としていた疑惑で窮地に立たされているためだ。詳細の説明を一切拒んでいることも状況をさらに悪化させている。

今年5月に開かれた安倍派の政治資金パーティーに、多くの所属議員とともに出席した松野博一官房長官(右)(2023年5月16日撮影)
今年5月に開かれた安倍派の政治資金パーティーに、多くの所属議員とともに出席した松野博一官房長官(右)(2023年5月16日撮影)

 松野氏は毎日午前と午後の2回行う記者会見で、捜査中であることを理由に、裏金疑惑に関する質問に答えていない。8日には衆参両院で予算委員会集中審議が行われ、松野氏に質問が集中したが、「お金は受け取ったのか」「キックバックはあったのか」という蓮舫氏の直球質問にも「お答えを差し控えさせていただきます」などと、回答拒否を連発し続けた。

 官房長官は政権の要で、スポークスマン。それなのにまともな説明すらできず、超防戦一方。「アルマジロ」といわれるゆえんだが、それでは政権がもたないとして「辞任不可避」が既定路線となってきている。

 自民党派閥パー券問題の取材をしていると、少し前から「松野さんはかなり厳しいのではないか」の声が、少なからずあった。松野氏は安倍派中枢の「5人組」の1人。「5人組」は全員に裏金疑惑が指摘される(座長の塩谷立氏も)最悪の事態だが、中でも松野氏の動向は岸田首相の政権運営にもかかわるためだ。疑惑、特に「政治とカネ」の疑惑が出れば最も立場が厳しいのは想像に難くない。

 岸田首相は「増税メガネ」と指摘されるが、松野氏も「眼鏡」で知られる。記者会見を日々見ているだけでも眼鏡が頻繁に変わっているのに気付く。眼鏡のおしゃれに気を配っているのは、知られた話だ。

 また、松野氏は世襲の岸田首相とは異なり「たたきあげ」として知られる。松野氏のホームページなどによると、早大時代は映画会社への就職を目指し、卒業後は家庭用品大手の「ライオン」で広告制作に関わった。その後、政治を志し、松下政経塾、自民党千葉県連の公募を経て国会議員になった。1度落選して2度目の挑戦で政界入り、世襲議員が幅を利かせる自民党にあっては、「苦労人」の類に入る人物だ。

 「地味だが安定性がある」「よくも悪くも、無駄なことは言わない」(いずれも自民党関係者)などの評判が多いようだが、岸田政権の中枢に加え、自民党最大派閥安倍派中枢「5人組」の一角にものし上がった。「人当たりはいいが結構野心家」と話す人もいる。経歴を見ているとなんとなくうなずける側面もある。

 そんな松野氏について今、永田町で話題なのが、松野氏のホームページにある「エッセイ」だ。特に「政治家はどこで酒を飲むのか」というタイトルのもの。松野氏は「映画やテレビドラマの影響で、『政治家が飲むところ=料亭』というのがお決まりとなっている。しかし、実際のところ『料亭に行ったことがありますか』と問われれば『ある。でも、ほとんど無い』という答えになる」と記し、批判されることが多い「料亭政治」と自身の関係の薄さについて書いていた。

 また「さて、今僕はどんなところで飲んでいるかというと、お気に入りの場所がある。仕事で多勢の方と会い、家に帰る。冷蔵庫から缶ビールを取り出す」「リビングを抜けて裏庭に出る(別に前庭がある訳ではない)。三方を隣家に囲まれていて、目の前に塀がある。狭い庭だ」と解説。庭に小さなテーブルといすが置いてあるとして「椅子に深く座ってビールのプルトップを引く。リビングから洩れてくる明かりの中で唯一開けている空を見る」などと「家飲み派」であることを告白し、「うちにあるビールはカロリーオフの発泡酒しかないけど」と締めくくっている。

 政権中枢幹部となった最近の文章ではないにしても、「庶民派議員」であることをアピールしていたようにも受け取れる。それだけに、実力者となった今、取りざたされる裏金疑惑との乖離(かいり)がなおさら、クローズアップされる皮肉な事態を招いている。

 官房長官が、自身の任期中に自分の問題で辞任するのは異常事態。前のケースも19年前で、官房長官が辞任に追い込まれるのはそれだけ重い。そのまま首相の政権運営にも影響するためだ。特に今回、政権と自民党要職に安倍派幹部を配置していた岸田首相にとっては、大誤算。後任の選び方にも相当慎重を期さなければならず難しいという見方があり、「松野ショック」ともいわれている。

 例年の師走の永田町は、臨時国会が終わればすっかり「店じまい感」が漂う。今年は13日に国会会期は終わるが、「松野ショック」でそんな空気は皆無だ。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

 

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2023年12月10日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【讀賣新聞 世論調査】:自民党支持率、政権復帰以降最低の25%…派閥幹部が説明していると「思わない」は92%

2024-01-22 07:05:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【讀賣新聞 世論調査】:自民党支持率、政権復帰以降最低の25%…派閥幹部が説明していると「思わない」は92%

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【讀賣新聞 世論調査】:自民党支持率、政権復帰以降最低の25%…派閥幹部が説明していると「思わない」は92%

 読売新聞社は19~21日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は2012年の自民党の政権復帰後最低だった昨年11月の調査と同じ24%で、昨年12月の前回調査の25%からほぼ横ばいだった。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けた岸田首相による岸田派(宏池会)の解散表明や、能登半島地震への政府対応では一定の評価を得たものの、政治不信は高まっており、支持率低迷が続いている。

 ■自民の無派閥議員「派閥全廃を求める議員連盟」発足へ…解散する安倍・岸田・二階派からも参加

 内閣不支持率は、61%(前回63%)だった。その理由では、「政策に期待できない」が30%、「自民党中心の政権だから」と「首相が信頼できない」がともに20%などだった。一方、内閣を支持する理由では「他によい人がいない」が54%で半数を超えた。 

 岸田首相が岸田派を解散する方針を表明したことについて、「評価する」とした人は60%で、「評価しない」の29%を上回った。だが、自民党が総裁直属機関として設置した政治刷新本部に「期待できる」とした人は17%にとどまり、「期待できない」が75%に上った。また、一連の問題に関し、各派閥の幹部らが国民に十分説明していると思うかについては「思わない」が92%で、「思う」は3%だった。

 派閥を巡っては、岸田派のほか、安倍派(清和政策研究会)や二階派(志帥会)も解散する方針を決めている。派閥のあり方を聞いたところ、「解散するべきだ」が61%で、「改革した上で存続させるべきだ」は31%、「現状のままでよい」は4%だった。

 厳しい政権運営が続く中、岸田首相は賃金の引き上げを推し進めることで、物価高への世論の不満を解消したい考えだ。物価上昇を上回る賃上げが実現すると思うかについての質問では「思う」が14%で、「思わない」が80%に上った。

 能登半島地震の政府対応については「評価する」が45%で、「評価しない」の41%を上回った。

 岸田首相にどのくらい首相を続けてほしいかの質問では「自民党総裁の任期が切れる今年9月まで」が56%、「すぐに交代してほしい」が28%、「できるだけ長く」が11%だった。

 政党支持率は、自民党が25%(前回28%)で、政権復帰以降最低を更新した。立憲民主党が5%(同5%)、日本維新の会が5%(同5%)、無党派層は48%(同48%)。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【選挙・世論調査、裏金疑惑】  2024年01月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2024年01月20日 今日は?】:第65代横綱貴乃花が引退を表明

2024-01-22 00:00:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2024年01月20日 今日は?】:第65代横綱貴乃花が引退を表明

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年01月20日 今日は?】:第65代横綱貴乃花が引退を表明

 ◆1月20日=今日はどんな日

  大寒(二十四節気)

 ◆出来事

  ▼米ジミー・カーター大統領がモスクワ五輪ボイコットの方針を表明(1980)▼第65代横綱貴乃花が引退を表明(2003)▼第44代米大統領にバラク・オバマ氏が就任(2009)

03年1月20日 引退会見をする貴乃花03年1月20日 引退会見をする貴乃花

 ◆誕生日

  ▼桜井賢(55年=THE ALFEE)▼太田裕美(55年=歌手)▼IKKO(62年=美容家)▼南果歩(64年=女優)▼川島章良(82年=はんにゃ.)▼矢口真里(83年=タレント)▼ハリー杉山(85年=タレント)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2024年01月20日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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