路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【中山知子の取材備忘録・02.04】:ズレまくる自民党の「大人の対応」上川外相めぐる麻生太郎氏の対応、派閥裏金事件の責任問題も

2024-03-11 07:45:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【中山知子の取材備忘録・02.04】:ズレまくる自民党の「大人の対応」上川外相めぐる麻生太郎氏の対応、派閥裏金事件の責任問題も

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・02.04】:ズレまくる自民党の「大人の対応」上川外相めぐる麻生太郎氏の対応、派閥裏金事件の責任問題も  

 「大人の対応」。この1週間、この言葉が永田町をかけめぐった。感情的にならず見て見ぬふりをしながらやり過ごすという意味でもあるが、「大人としてふさわしい対応」という内容も含まれていると感じる。 そんな「大人の対応」をめぐり、自民党は迷走を続けている。

衆議代表質問に耳を傾ける岸田文雄首相(2024年2月1日撮影)

 衆議代表質問に耳を傾ける岸田文雄首相(2024年2月1日撮影)

 そもそも「大人の対応」というワードは、上川陽子外相が、自身の容姿や年齢に言及した自民党麻生太郎副総裁の発言について問われても常に論評しなかったことに向けられた言葉。上川氏は表舞台で、常に冷静沈着な言動で知られる。岸田文雄首相を支える立場でもある重鎮の麻生氏と、ことをかまえたくないという気持ちは分からなくもない。また、発言の内容が世界中に報じられる外相という立場では、個人的な思いはあっても軽々に口にすることは避けたのだろうと思う。これまで多くの失言をし、女性に関するものに関しても最近では「セクハラ罪という罪はない」(2016年)「子供を産まなかったほうが問題」(2019年)などがある麻生氏の発言。そんな発言主から自身に向けられた言葉だけに、あきらめというのか、はなから相手にしていないのかもしれない。

 2日の参院代表質問では「なぜ抗議しないのか」と野党に直接問われた上川氏は「緒方貞子さんのように脇目も振らず着実に努力を重ねていく」と述べた。20年ぶりの女性の外相となり、仕事をする上で「雑音」(自民党関係者)に惑わされたくない本音も口にした。

 麻生氏の発言は1月28日。それが今月2日になって岸田首相が「一般論」という観点から「性別や立場を問わず、年齢や容姿をやゆし相手を不快にさせるような発言をすることは慎むべきというのは、当然のことだ」と発言。これを受け、麻生氏が発言を撤回する絶妙の連携プレーが起きたが、麻生氏は問題が起きたらすぐに謝るという「大人の対応」ができなかった。一方、上川氏は、静観という「大人の対応」を貫くがあまり「大人の対応がすぎる」という批判を招く結果に。容姿や年齢に関する発言にいちいち反応せず、やり過ごすテクニックは理解できる面もあるが、「なぜ抗議しないのか」という声に、真摯(しんし)に応じなかったことも事実。結果的に、どこかずれた「大人の対応」になってしまった面は否めないと感じる。 

 「大人の対応」ができなかったのは、「裏金事件」のさなかにある自民党議員の面々も同じだ。こちらは「大人としての、ちゃんとしたまともな対応」という意味での「大人の対応」が求められたはずだったが、政治資金収支報告書への不記載があっても自発的には説明せず、特に事件の温床になった安倍派では、自分の問題はさておき幹部の責任に言及する議員がいて、びっくりした。批判の矢面に立った幹部たちも、裏金の経緯などについて世間を納得させられるような説明はほとんどない。先月19日以降、安倍派の複数の幹部の記者会見を取材したが、反省の言葉は口にしても経緯や発端などについてはうやむや。納得できない事態は今に至っている。

 その安倍派は2月1日に派閥として最後の議員総会を開いたが、重苦しい雰囲気が漂った。毎週木曜日に、所属メンバーがそろって一緒に弁当を食べる場だが、「最後の昼餐」は老舗店の「すき焼き弁当」。裏金事件で解散に追い込まれた派閥の実質的なトップに当たる座長を務めてきた塩谷立氏は「ありがとうございました!」と感謝の言葉で締め、しらけムードを増幅させた。安倍晋三元首相の逝去後も新しい会長を選べず、コップの中の小さな権力闘争という中途半端な動きを続けてきた派閥を象徴するようなラストだった。

 この場でも、塩谷氏に議員辞職を求める声が出たと聞いたが、国会議員という立場の大人がこれだけいて、大人らしい説明も対応も行われなかったがゆえに自民党は今、党を挙げた実態調査の真っ最中。ただ、党の調査でどこまで真相があぶり出されるのかは、不透明な状態だ。

 上川氏の「大人の対応」を疑問視する声が出る中、「大人の対応」が遅れた麻生氏には批判がやまない。自民党の「大人としての対応」には、もっと厳しい目が注がれている。世間が考える思いから、ずれまくっているのは間違いない。【中山知子】

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2024年02月04日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・01.28】:「もしトラ」2024年選挙イヤーは日本でも 岸田首相や泉代表、山口代表…党の顔は変わるのか

2024-03-11 07:45:00 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【中山知子の取材備忘録・01.28】:「もしトラ」2024年選挙イヤーは日本でも 岸田首相や泉代表、山口代表…党の顔は変わるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・01.28】:  「もしトラ」2024年選挙イヤーは日本でも 岸田首相や泉代表、山口代表…党の顔は変わるのか 

 昨年末からの自民党派閥パーティーをめぐる裏金事件の混乱がおさまらない中で、26日に通常国会が始まった。これまで自民党に当たり前のようにあった派閥が、裏金事件の「温床」となったこともあり、次々に解散に追い込まれる事態となるなど、「未知のゾーン」(自民党関係者)に突入した感があり、これから何が起きるのか、何が起きても不思議ではないという不安定さを感じる。

通常国会召集日、自民党両院議員総会であいさつする岸田文雄首相(2024年1月26日撮影)
通常国会召集日、自民党両院議員総会であいさつする岸田文雄首相(2024年1月26日撮影)

 ところで、今年は世界的に「選挙イヤー」といわれている。すでに今月13日に台湾で総統選が行われ、与党民進党の頼清徳氏が当選した。3月には、ウクライナ侵攻を止めないプーチン大統領のロシアで大統領選、そして11月には、選挙イヤーのクライマックスとなる米大統領選が予定される。ロシアはプーチン大統領の通算5選が揺るがないが、米国は、バイデン大統領の支持率が低迷する中、トランプ前大統領が共和党で始まった候補者選びの予備選を連勝し、「もしトラ(もしトランプ氏が大統領に再選したら)」が現実味を帯びる展開で、来年以降の世界情勢がさらに混乱しかねない状況だ。

 リーダー選びの「選挙イヤー」は、日本も同じ。岸田文雄首相の任期が9月に迫る自民党総裁選が最も注目されるが、与党の一角公明党、野党第1党の立憲民主党でも今秋に代表選が予定され、党の「顔」が代わるのか代わらないのか、注目が集まっている。

 先陣を切ったのは共産党。今月18日の党大会で、約23年続いた志位和夫委員長が退任し、党史上初の女性委員長として田村智子氏の就任が決まり、野党の一角でリーダーが交代した。田村氏は「要請を受けた時は、率直言って驚いた」とした上で「プレッシャーはない」と強調。党勢の拡大へ、初の女性起用で刷新感を狙ったのではないかとの見方も多く、リーダーとしては未知数の田村氏の手腕が問われている。 

 野党では、第1党の立憲民主党でも9月に泉健太代表が任期を迎える。2021年衆院選後に創業者の枝野幸男氏の辞任に伴う代表選で勝利し、代表に就任した。代表ポストは初めてで経験不足への不安も出ていたが、当時、党関係者は「もし泉さんをおろすような動きが出てくれば、党も終わりだ」と話すなど、新たなリーダーをもり立てようとする空気はあった。

 しかしこの2年あまり、政権追及の迫力に欠け、野党共闘に向けた流れも迷走。気付けば第2党の日本維新の会に脅やかされる立ち位置になった。露骨な「泉おろし」の動きはなくても、水面下では「ポスト泉」へのさまざまなうごめきが出始めている。昨年、政権交代への決意をめぐる泉氏の発言を疑問視した重鎮の小沢一郎衆院議員は、元日の私邸での新年会で「いい子ちゃんぶって、お利口さんぶっていては権力は取れない。本気になって戦って初めて、権力は取れる」と、泉執行部をけん制するように語った。なかなか存在感を示せないでいる泉氏にとって、秋までの月日は自身の評価を定めるまさに正念場の期間となる。

 一方の与党。公明党の山口那津男代表も9月に2年の代表任期が満了となる。2009年9月から代表を務める山口氏の続投が有力視されるが、判断は次期衆院選のタイミング次第ともいわれている。将来的に世代交代の時期は必ずやってくる。そして、その衆院選のタイミングの鍵を握るのが、岸田首相だ。

 9月の自民党総裁の任期満了を前提に、今後さまざまな政治日程が決まっていく。裏金事件など「政治とカネ」の問題を機に、これまで政権基盤を下支えしてきた派閥の解散の動きが党内力学に変化をもたらし、岸田首相にとって総裁選を戦う上でいい影響はないとの見方もある。

 世論調査では、政策に対する支持も少ない。総裁選の再選は厳しいのではないかという声も聞くのだが、だれも想像していなかった自身の派閥(宏池会=岸田派)の解散を突然表明するなど、これまでにもたびたび見せてきた「サプライズ好き」に「ますます活路を見いだそうとしているのではないか」(永田町関係者)という声も聞いた。それが吉と出るか凶と出るのか、29日から本格的に始まる国会での岸田首相の言動が、大きな鍵を握る。

 前回、日本の与野党第1党でともにリーダーが交代した2021年。総裁選に勝った岸田首相が衆院選でも勝利し、立民では枝野氏が代表を辞任して泉氏が就任。自民と立民で対照的な結果になった。今年はどうなるのだろうか。ちなみに7月7日には、小池百合子氏の3選が焦点となる東京都知事選も予定される。リーダーたちの顔はそのままなのか変わるのか、水面下の闘いは、すでに始まっている。【中山知子】

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2024年01月28日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自民党】:安倍派幹部は離党勧告か除名か? 裏金処分は党大会後に先送り…岸田首相が指示の意味深

2024-03-11 07:24:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【自民党】:安倍派幹部は離党勧告か除名か? 裏金処分は党大会後に先送り…岸田首相が指示の意味深

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:安倍派幹部は離党勧告か除名か? 裏金処分は党大会後に先送り…岸田首相が指示の意味深

 自民党が派閥ぐるみで裏金づくりに手を染めていた安倍派幹部らの処分について、17日に行われる党大会後に先送りすることを決めた。

 5日の段階では「党大会までに」と言っていた森山総務会長は、8日の会見で「手続きを考えると時間的に無理がある」と方針を修正。「党大会に間に合わないとすれば、それはやむを得ない」と話した。

<picture>岸田首相(C)日刊ゲンダイ</picture>

       岸田首相(C)日刊ゲンダイ

 梶山幹事長代行も会見で「党紀委員会とも連携しながら進めていく。拙速に物事を決めるより、手続きの手順を踏んでいかねばならない」と語った。 

 「何らかのけじめをつけないと、この問題は終わらない。地元有権者からの突き上げも厳しいので、なるべく早く処分を決めてほしいというのが党内大多数の意見ですが、先送りは岸田総理の指示だそうです。総理は四の五の言って説明責任から逃げ回る安倍派幹部に怒り心頭だから、かなり厳しい処分が下されるという観測が広がっている。大会前に処分を決めると、離党勧告や除名処分を受けた議員が出席できなくなってしまう。それでは一致結束を確認する大会が微妙なムードになりかねないので、先送りしたとみられているのです」(自民党中堅議員)

<picture>派閥解散で頭を下げる塩谷座長と高木事務総長(C)日刊ゲンダイ</picture>

 派閥解散で頭を下げる塩谷座長と高木事務総長(C)日刊ゲンダイ

 ◆安倍派幹部への厳しい処分を求める声が続出

 7日自民党本部で開かれた政治刷新本部の会合でも、「幹部が責任を取らなければ始まらない」「軽い処分で済ませれば自民党は終わる」などと、安倍派幹部への厳しい処分を求める声が続出したという。

 「安倍派を介錯」発言で有名になった安倍派の宮澤博行衆院議員も会合後、記者団に「私を含めて厳格に処分する対象に入れてもらいたい。現行の党規でも十分処分の対象になる」と話していた。宮澤衆院議員は過去3年間で132万円のキックバックを政治資金収支報告書に記載していなかった。

 自民党が党則で定める処分には、重い順に①除名②離党の勧告③党員資格の停止④選挙における非公認⑤国会および政府の役職の辞任勧告⑥党の役職停止⑦戒告⑧党則順守勧告の8段階があり、党紀委員会で決める。

 コロナ禍で緊急事態宣言中の2021年1月に銀座のクラブで豪遊していたことが発覚した自民党の3議員に離党勧告を突きつけたことを考えれば、法令違反の裏金づくりには同等以上の処分でなければ釣り合わない。世論も納得しないだろう。

 日本維新の会の馬場代表も、6日の党会合で裏金議員について「(銀座通いと)どちらが深刻か、よく考えてほしい」と言い、除名処分が妥当という考えを示した。

 自民党は週明けの11日に党紀委員会を開く。まずは委員長の衛藤晟一参院議員を交代させる必要があるためだ。22年に二階派から安倍派に移った衛藤参院議員にも過去3年間で80万円の不記載があった。委員長が処分対象者ではシャレにならない。

 党紀委員会の環境を整えたら、4月28日投開票の衆院3補選までに裏金議員に処分が科されることになりそうだ。安倍派幹部は除名か離党勧告か……。処分決定まで枕を高くして寝られない。除名されるくらいなら、自ら潔く離党した方がよかったんじゃないか。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・政局】  2024年03月10日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER.03.05】:「政倫審」の茶番

2024-03-11 05:15:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【HUNTER.03.05】:「政倫審」の茶番

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER.03.05】:「政倫審」の茶番

 2月29日と3月1日、自民党の裏金事件で政治倫理審査会が開催された。初日は岸田文雄首相と二階派の事務総長、武田良太元総務相、2日目は安倍派の西村康稔前経産相、松野博一前官房長官、塩谷立座長、高木毅前国対委員長が出席。岸田首相は内輪の自民党の調査結果を復唱するばかりで、キックバックされた裏金については「関与していない」――。まったくの「茶番劇」だった。

             ◆   ◆   ◆

 安倍派の4人は「派閥会長と会計責任者で協議してキックバックや政治資金収支報告書に記載しないことを決めていた」と事前に打ち合わせしていたような答弁が続いた。

 2021年に安倍晋三元首相が「キックバック廃止」と決めながら、同年8月の会合では「(キックバックをどうするか)結論は出ていなかった」(西村氏)という。

 一方、塩谷氏はキックバック継続について「返してほしいという声があり、継続するしかないという状況でした。今年に限って継続するのはしようがないという話し合った」と発言。こんな中途半端な話し合いで、巨額のキックバックを続けていたというのだから国民をバカにしている。政倫審の舞台を「責任逃れ」の道具に使って、悪くないという「お墨付き」を得ようとしているような内容だった。

 安倍派会計責任者の松本淳一郎被告は、すでに政治資金規正法違反(不記載)で在宅起訴されており、過去5年間に安倍派の会長だった安倍元首相と細田博之前衆議院議長はこの世にいない。安倍派の参議院議員が不満そうに「亡くなった人と会計責任者に責任を押し付け、幹部は逃げた」と話す。

 安倍派5人衆で裏金2,700万円あまりを受け取っていた萩生田光一前政調会長、裏金約1,500万円の世耕弘成前参院幹事長は政倫審に出席すらしない。萩生田氏が訂正した自由民主党東京第24選挙区支部の政治資金収支報告書(*下の画像)を見ると、3度も訂正印が押され、《収入総額》《支出総額》ともに《不明》とある。

 収入と支出を正確に記し、どのような政治活動にカネを使ったかを報告、公開するのが政治資金収支報告書だ。《不明》であるならば、政治活動に使用したかどうか検証ができない。

 「萩生田氏は、きちんと政治資金収支報告書を書けないのであれば、個人の収入として申告して、税金を払うべきだ」と立憲民主党の幹部は憤る。

               ◆   ◆   ◆

 世耕氏が政治資金収支報告書の訂正をしたのは政倫審初日の2月29日。領収書がない60万円分は《不明》となっている。

 世耕氏は学校法人近畿大学の創立者一族だ。身内であるはずの近畿大学労働組合からも《いつまでも収支報告書を訂正しない世耕弘成。政治家としてはもちろん、学校法人理事長としても情けないし、みっともない》と批判を受けている(*下の画像)。

               ◆   ◆   ◆ 

 萩生田氏は、政倫審に出席しなかったことを「党の判断があった」と述べている。しかし、衆議院のホームページには《政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関》とある。つまり、政党ではなく、政治家個人に「道義的」な倫理観を問うているのだ。党が何を言おうが関係ない。萩生田氏に政治家としての倫理観が欠如しているだけだ。

 「先に他の安倍派5人衆にしゃべらせて様子を見て出席なんて、恥ずかしい。こういう人たちが安倍派を牛耳っていたと思うと、安倍元首相も悲しいでしょう。萩生田さんは派閥内で、世耕さんは参議院で威張り散らし、問題が発覚すると知らんぷりで逃げる。そのくせ2人は安倍派解散と言っているのに『俺がグループをまとめる』と言い出す始末。萩生田さんのそばにいる議員からは『こちらに来てくれるよな』とLINEがきましたよ。世耕さんは、参院幹事長にそのうち返り咲くからとデマをふりまいている」―-安倍派のある衆議院議員、スマホを片手に憮然とした表情だ。

 政倫審では自民党が追及されているのに自民党の議員が質問に立つという理解しがたいシーンがあった。武藤容治衆議院議員は西村氏に対して「西村先生とは、議員宿舎では同じフロアで親しくさせてもらっている」「西村先生の輝かしい業績」などと、追及の場にはふさわしくない言葉を連発した。これが自民党の本音なのだろう。

 二階派は本来、二階俊博会長が説明責任を果たさなければならないはずだが、事務総長の武田氏が「代理」で出席。「説明責任があるのは事務総長の私だ」とまったく説明にならない答弁をすると、武田氏に質問した中谷真一衆議院議員は「さすがは武田代議士」「武田代議士と私は互いにラガーマン」と意味不明な称賛を展開。

 時間と税金のムダであることを証明した政倫審。「偽証」なら罪に問われる証人喚問が必要だ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース】  2024年03月05日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・03.04】:衆院補選「自民0勝」の可能性

2024-03-11 05:15:20 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER・03.04】:衆院補選「自民0勝」の可能性

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・03.04】:衆院補選「自民0勝」の可能性

 「あと2か月しかないのに、どうするのだろう三つの補選で0勝なら岸田降ろしどころでは済まない。即退陣だろう」――2月末のある日、自民党本部である幹部がそうつぶやいた。

 目線の先にあるカレンダーの4月28日には大きな赤い丸印。衆議院の補欠選挙の投開票日である。

               ◆   ◆   ◆

 補選が予定されているのは、衆院が細田博之元衆院議長の死去による島根1区と公選法違反(買収)で立件された柿沢未途被告の東京15区、裏金疑惑で辞職した元衆議院議員谷川弥一氏の長崎3区である。

 東京15区、長崎3区は自民党議員に絡む刑事事件が発端となっており、「自民党の議員が事件を起こして議員辞職しているので、不戦敗という意見が大勢だった。すでに候補者が決定済みの島根1区に続き、東京15区と長崎3区は公募となった」(前出・自民党幹部) 

 しかし、補選まであと2か月となったこところで、今から公募して間に合うのかという意見が続出。長崎3区は候補者擁立を断念、東京15区も保守系無所属の候補者がいれば支援という、事実上の「不戦敗」となりそうだ。支持が低迷し、打つ手がない岸田政権は、息詰まり状態に陥ったと言えるだろう。

 方針が二転三転する背景には、自民党にとっては盤石だったはずの、島根1区の危ない状況がある。

 自民党は細田氏の後継を決めるため、早々と公募を実施。中国財務局長などの経験がある財務官僚、錦織功政氏の擁立を決めた。野党・立憲民主党は、出馬を表明している亀井亜紀子元衆議院議員を公認しており、与野党一騎打ちとなる見込みだ。

 島根県は保守王国として知られ、竹下登元首相とその実弟、竹下亘元総務会長、青木幹雄元官房長官らを輩出してきた。細田氏も党幹事長や衆議院議長といった要職を歴任。小選挙区制になってからは、9回連続当選というダントツの強さを誇ってきた。

 しかし、晩年の細田氏は旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)との親密な関係や女性記者へのセクハラ疑惑とスキャンダルまみれ。晩節を汚す格好となっていた。 

 そこへ、安倍派の裏金事件が直撃。2021年に衆議院議長に就任するまで同派を率いていた細田氏にも、疑惑の目が向けられることになった。東京地検特捜部の立件対象となったのは、大半が安倍派になる前の「細田派」時代に起因するもの。島根自民党にとっては強い逆風だ。

 おまけに相手の亀井氏は、衆議院と参議院で1期ずつのキャリアがある強敵。殿様の家系でもある「亀井」は島根の名家で、父の亀井久興氏は国土庁長官として閣僚も務めた人物である。知名度十分の野党候補に、苦戦が予想される。

 「統一教会、セクハラ、裏金と続いた細田さんのスキャンダルで、すっかり自民党への支持も低迷。世論調査でも一定の知名度がある亀井氏がややリードという数字まであるほどだ。楽勝ムードから一転。ヤバイ情勢になってきた」(自民党の島根県議)

 そうした背景もあり、三つの補選すべてで候補者を擁立しようとしていた岸田首相は、島根での1勝に全力をあげるため長崎3区と東京15区の戦いを放棄せざるを得なくなった。

 自民党が不戦敗を決めた東京15区を巡っては、東京都の小池百合子知事が、お得意の「サプライズ」で国政復帰するのではないかとの情報が燻っている。自民党が撤退となれば政局はさらに流動化し、政権基盤を揺るがしかねないのだが、ある都庁幹部は小池氏の国政復帰を否定する。

 「知事には都民ファーストの基礎票がある。ところが衆議院に転出すると、その地盤が崩壊しかねない。また小池氏の最大の理解者である二階俊博元幹事長が裏金事件で権勢を失っており、自民党と組もうにも相手がいない。今年7月の都知事選で3選を目指すのが現実的ですよ。国政復帰はない」 

 自民党にとって東京15区は鬼門。柿沢被告の前に議席を有していたのは、贈収賄事件で捕まった秋本司被告で、1審で有罪判決を受け控訴中だ。東京地検特捜部は東京15区の自民党衆院議員を、連続して塀の向こうに送り込んだということになる。

 2021年の衆議院選挙では、柿沢被告と今村洋史氏(現衆院東京9区支部長)がともに無所属で出馬。勝った柿沢被告が追加で自民党公認となった。落選した今村氏も裏金事件で220万円のキックバックが発覚。おまけに受け皿の政治団体が2年連続で政治資金収支報告書を期限まで提出せずに強制解散となるお粗末さだ。

 自民党の江東区議が、次のように嘆く。

 「政権与党である自民党の支部長は魅力あるポストですが、東京15区の江東区だけは別世界。出馬する人が業者からカネをもらう、選挙でカネをばらまく、政治資金のカネは裏金にするなどめちゃくちゃ。柿沢被告の事件に至っては、自民党の元区議まで選挙買収の共犯に問われているわけです。自民党の看板で出馬というだけで、石を投げつけられかねないほど酷い情勢となっていて、我が党の国会議員は猛省すべきです」

 直近の世論調査の数字では、支持率20%台にも届かない惨状の岸田首相。「補選1勝2不戦敗」で延命を図るつもりだろうが、「1敗2不戦敗」となれば退陣絡みの大きな政局となることは必至だ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース】  2024年03月04日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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