【主張①・11.28】:加古川事件で逮捕 贖罪の意識を呼び起こせ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.28】:加古川事件で逮捕 贖罪の意識を呼び起こせ
夕方の住宅街で女の子が突然、刺殺される。理由も分からず、しかも犯人が捕まらない―。そんな理不尽を遺族に押し付け、社会不安を増大させた重大未解決事件が17年を経て大きく動いた。
平成19年に兵庫県加古川市で小2だった7歳女児が自宅前で刺殺された事件で、県警は殺人容疑で勝田州彦(くにひこ)容疑者を再逮捕した。
再逮捕され、移送される勝田州彦容疑者=兵庫県たつの市
この事件は象徴的な未解決事件の一つだった。それだけに、解決へ向かうのは治安情勢の改善に寄与しよう。現在は闇バイト強盗が頻発し体感治安が悪化しているだけに、加古川事件の捜査の進展は意義がある。
容疑者は同県姫路市で平成27年に女子中学生を刺して逮捕され、その服役中に岡山県津山市で16年に小3女児を刺殺した罪が判明し、無期懲役刑が確定した。さらに、18年に兵庫県たつの市で小4女児を刺した容疑が強まり、今月逮捕された。そして今回の再逮捕である。凶悪な連続女児襲撃事件となった。
容疑者は任意聴取の段階で犯行を認めていたという。ただ、直接の物証はない。以前から容疑者の存在は警察も把握していたが、乏しい物証がネックだった。県警は今回、遺体や現場などの客観的状況と合致して供述の信用性は高く、余罪手口の酷似から立件できると判断し、逮捕に踏み切ったとみられる。
総合立証といえば聞こえはいいが、物証がないのは看過できない懸念点だ。今後も犯人性を補強する直接物証の出現は容易には期待できまい。容疑者は過去に裁判で供述を覆した経緯があり、予断を許さない。
そうなると、重要なのは取り調べだ。容疑者に真に贖罪(しょくざい)意識を持たせることである。罪に向き合わせ、起こした結果の重大性を認識させることだ。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年11月28日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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