【主張②・11.28】:レバノン情勢 恒久的停戦につなげたい
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・11.28】:レバノン情勢 恒久的停戦につなげたい
イスラエルとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの戦闘を巡り、イスラエルとレバノン両政府が停戦に合意した。米国とフランスが仲介した。
昨年10月のイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエル急襲を受け、ハマスと連帯するヒズボラがイスラエルを攻撃し、交戦が始まった。これまでにレバノン側で3800人超が、イスラエル側も100人以上が戦闘で死亡した。イスラエル側では6万人が避難を余儀なくされた。
イスラエルのネタニヤフ首相=イスラエル政府提供(AP=共同)
停戦合意を歓迎したい。重要なのは停戦の確実な履行だ。今回の停戦は60日間だが、これが継続し、恒久的なものになることが望ましい。米仏やヒズボラの後ろ盾であるイランなどの関係各国、国連は、履行させるよう全力を尽くしてほしい。
米政府高官によると、停戦合意を受けてイスラエル軍がレバノン南部から、ヒズボラはレバノン南部を流れるリタニ川以北へと、それぞれ撤収する。
レバノンでは、ヒズボラが国軍を上回る軍事力を持ち、政府にも強い影響力を及ぼしてきた。しかし、イスラエルとの一連の戦闘で、ヒズボラの最高指導者、ナスララ師ら幹部や戦闘員が殺害され、ヒズボラの軍事的、政治的な影響力は急速に弱まった。
もっとも、今回の停戦が、中東全体の緊張緩和につながるかどうかは不透明である。
イスラエルのネタニヤフ首相は、ヒズボラが停戦合意を破った場合には再攻撃すると警告している。また、パレスチナ自治区ガザでのハマスとの戦闘を続けると明言し、停戦を機にイランへの対応に集中する考えを示している。ヒズボラとの連携を阻止された格好のハマスも徹底抗戦の姿勢を崩していない。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年11月28日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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