【天風録】:気持ちのいいお預け
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:気持ちのいいお預け
2週連続の快挙か―。高まった期待は一気にしぼんだ。おととい、プロ野球ロッテの佐々木朗希投手が、一人の走者も許さないまま八回で降板した。ネット上ではファンの間で賛否が白熱した
▲また完全試合なら史上初。それを見たかったはずなのに、理解を示す意見が多かったのは意外だった。並外れた能力ゆえに、常に故障のリスクも付きまとう。「令和の怪物」を5年で育てる球団方針はぶれず、本人も納得の表情だったのが何よりだ
▲57年前、初勝利を無安打無得点試合で飾って「何ならもう一回やりましょうか」と言ったのは広島東洋カープの外木場義郎さん。3年後には完全試合を成し遂げた。翌日の紙面では「みんなのおかげ」と感謝しきり。自信満々のエースも運と味方の援護が必要だった
▲無安打無得点試合はもう一度達成したが、完全試合に2度目はなかった。10日の佐々木投手の快投を「次元が違う」とたたえている。「将来のためにも無理のないように」と付け加えて
▲目先の成果のため若者に無理をさせ、心身をすり減らすようなことは認めない。社会や学校生活にも同じことが当てはまる。快挙はお預けとなったが、気持ちのいい試合だった。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2022年04月19日 06:25:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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