路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【主張①・12.05】:危険運転の要件 法と常識との乖離解消を

2024-12-08 05:03:10 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【主張①・12.05】:危険運転の要件 法と常識との乖離解消を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.05】:危険運転の要件 法と常識との乖離解消を 

 遺族の嘆き、疑問に強く同意する。

 大分市の一般道で令和3年、時速194キロで乗用車を運転して右折車と衝突、会社員を死亡させたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた被告の男に、大分地裁の裁判員裁判は同罪の成立を認め、懲役8年(求刑懲役12年)を言い渡した。

令和3年2月、大分市内の一般道で時速約194キロで走行していた乗用車に衝突され、大破した被害者の車。被害者遺族が署名活動を行い、厳罰を求めた(遺族提供)

 争点は、事故時の運転が危険運転の要件とされる「進行の制御が困難な高速度」に当たるかどうかだった。公判では、事故現場の路面状況が詳細に検討され、走行実験の結果やプロドライバーら複数の専門家の証言などから、「常軌を逸した高速度」と認定された。

 法曹界や識者の間には「進路逸脱などの事実がないなかで結論を導いた画期的判決」との声もあった。だが量刑への不満とともに、被害者遺族の感慨は全く違う。「194キロでの運転が危険なのは当たり前。それを、これだけ専門家に語ってもらわないと証明できないのか」

 これが国民常識というものだろう。法定速度60キロの一般道を200キロ近くで走行し、危険でないはずがない。実際に、悲惨な事故が起きている。

 そもそも大分地検は当初、過失致死罪で起訴した。危険運転罪の適用が難しいとの判断だったとみられ、遺族が署名を集めて提出した求めに応じる形で訴因は変更された。検察も含めた司法のありようは、国民常識と大きく乖(かい)離(り)している。

 法務省の有識者検討会は危険運転罪の要件について、高速度と飲酒の数値基準の設定などを盛り込む報告書をまとめた。速度は「最高速度の1・5倍や2倍」とする意見もあった。鈴木馨祐法相は「悪質な運転行為による死傷事案への対応は喫緊の課題だ」と述べた。法制審議会での議論を急いでほしい。

 危険運転罪は東名高速道路で飲酒運転のトラックが女児2人を死亡させた事故をきっかけに平成13年に創設された。

 いわば遺族と国民の怒りが生んだ法律である。怒りの対象は事故そのものと、法のあり方にも向けられた。その後も大事故を契機とする適用対象拡大などの法改正が続いている。それは法が国民の怒りに追いつかない過程ともいえた。常識にかなわぬ法は国民を苦しめるだけだ。法曹界は、この乖離を深刻なものと受け止めてほしい。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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