路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・12.30】:やまない戦火 国際調停の仕組み再考を

2024-12-31 07:00:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説・12.30】:やまない戦火 国際調停の仕組み再考を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.30】:やまない戦火 国際調停の仕組み再考を 

 世界の戦火がやまず、複雑化した一年となった。英国のシンクタンク、国際戦略研究所によると、6月までの1年間に世界の武力紛争による死者は19万2776人と前年同期より37%増えた。パレスチナ自治区ガザでの戦闘やウクライナ戦争、スーダン内戦などが押し上げた。

 イスラエル軍の攻撃を受けるガザの死者は、大半が女性と子どもだ。国際人道法の軽視も甚だしい。罪のない犠牲者が日々増える現状を、何とか変えていかねばならない。

 ロシアのウクライナ侵攻は2月に3年目に入った。今も膠着(こうちゃく)状態が続く。今年は北朝鮮がロシア軍に12千人を派兵した。東アジアの国が事実上参戦したことになる。

 今月25日には、カザフスタン西部でアゼルバイジャンの旅客機が墜落した。周辺でウクライナ軍の無人機攻撃があり、ロシア軍の防空システムが反撃していたという。無人機と誤認して旅客機を攻撃したとみられる。戦争が長引くにつれ、周辺国が思わぬ形で被害を受けるのは恐ろしい。

 中東では、イスラエル軍がガザでの戦闘を続ける構えだ。イスラエル軍は今月26日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が掌握する首都サヌアの国際空港や西部の港を空爆した。イスラエルはイランとも報復し合っている。

 戦火の広がりと長期化は、国際的なパワーバランスを崩し、世界を不安定にする。シリアでアサド大統領の政権が崩壊した背景には、アサド氏の後ろ盾だったロシアやイランの疲弊があるとされる。

 世界でリスクが高まるのに国連の安全保障理事会は無力だ。2022年以降、ウクライナ侵攻でロシアを非難する決議案にはロシアが拒否権を行使。ガザ情勢ではイスラエルを擁護する米国が、無条件での即時停戦を求める決議案などに拒否権を使ってきた。常任理事国の米ロが激しく非難し合う状況は看過し難い。

 国連が各地の戦闘を終わらせる役割を果たせていない。グテレス事務総長は2月の記者会見で「これほど大規模な悲しみを目にしても自分には止める力がない」と悔しさをにじませた。「機能不全に陥っており、改革が必要だ」と強調した。

 来年1月、トランプ氏の米大統領復帰が、事態が動くきっかけになるかもしれないが、新たな火種にもなりかねない。トランプ氏はウクライナ紛争を就任前に終わらせると豪語し、ガザを巡る戦闘の早期終結も掲げてきた。

 ただ、具体的な道筋は示していない。トランプ氏は米国の損得を重視するのが基本姿勢であり、その決断が国際規範や社会正義にかなうものか、よく見る必要がある。

 そもそも先進7カ国(G7)だけで世界の関心事を決められる時代ではなくなった。グローバルサウス諸国も経済や人口の規模で無視できない存在になっている。

 紛争を調停し、和平を図る国際システムの在り方を再考すべき時期が来ているのではないか。戦後、平和主義を掲げてきた日本は、その議論をリードするべきである。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月30日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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