【政界地獄耳】:安全保障の議論が世代を若返らせた瞬間/06.19
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:安全保障の議論が世代を若返らせた瞬間/06.19
★自民党衆院議員・中谷元は防衛庁長官、防衛相を歴任。防衛大を出た後、第20普通科連隊小銃小隊長、第1空挺(くうてい)団空挺教育隊レンジャー教官を経て2尉で退官。このキャリアは党内のみならず政界の防衛専門家の第一人者。当選10回で有隣会(旧谷垣派)共同代表の1人だ。14年12月の防衛相就任時にも「辺野古へ移転するということが、私は、普天間問題を解決する唯一の手段だと確信しています」とし、翌年の4月、米軍普天間飛行場の返還合意から19年の節目の沖縄タイムスインタビューでも「辺野古が唯一の解決策との考えに変わりはない」としていた。
★その中谷が15日、テレビ番組で防衛省が地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画をやめたことに関連し「十数年、1兆円かかる。完成までに国際情勢は変わっている」「日米間でよく議論し、今の時代にしっかりと対応できるような南西の防衛体制が必要だ。もっと自衛隊が肩代わりし、わが国独自の安全保障を日米で検討する時間ができた」とした。また計画見直しの例には「軍民共用」を挙げ、在沖米軍の役割を日本の自衛隊が担うことも代替案として示した。
★もっとも「イージス・アショア」の配備をコスト面から中止を決めた防衛相・河野太郎は16日の会見で辺野古の新基地建設については「唯一の選択肢」だと従来の説明を繰り返した。17日、党本部で自民党幹事長・二階俊博が本部長を務める北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部の会合で二階は「国防の重要な問題を党と政府はともに進めてきたはずだが、今回は何の相談もなく一方的に発表された」と強い不快感を示した。安全保障の議論が明らかに世代を若返らせた瞬間だ。専門家が時代遅れになると決めれば自民党が長年続けてきたものも変わることを内外に示した。腕力や権力も時代の変化には勝てない。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2020年06月19日 09:53:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。