【政局】:国会に潜入したルポライターになる ■水道橋博士・参院議員
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:国会に潜入したルポライターになる ■水道橋博士・参院議員
8月の臨時国会はセレモニーで終わり、拍子抜けだった。議員として政府に聞きたいことは山のようにあるのに、国会は3日間だけ。私を含めた新人議員の多くは驚いていた。
とにかくもう、素朴な疑問がたくさん湧いた。この3日間にも多くの税金が使われている。セレモニーだけならば1日で済んだはずだ。
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水道橋博士氏=北山夏帆撮影
◆反スラップ訴訟法案を作る
立候補した最大の動機は、企業や行政などの社会的強者が個人などの発言を封じたり、萎縮させたりする目的で起こす「スラップ訴訟(どう喝訴訟)」を防止する法律を作りたかったからだ。
私自身、日本維新の会の松井一郎代表を批判する第三者作成の動画をツイッターで紹介したことで、松井氏に名誉毀損(きそん)で提訴され、今も係争中だ。
日本の裁判は公開されているというが、動画配信されているわけでもなく、法廷に行かなければ誰も気付かない。私が今回の訴訟で敗訴してそれが判例になってしまったらスラップ訴訟を助長することになる。「反スラップ訴訟法案」を作ってもらおうと思い、れいわ新選組の山本太郎代表の5月の遊説に駆けつけてお願いしたら、山本氏に「当事者なのだから、あなたが作ってはどうですか」と出馬を促された。
◆裏切らない
選挙区ではなく比例代表なので、もし当選してもれいわの他の候補者に議席を譲って、大阪の市長選か府知事選に出ることも一時は考えていた。れいわの私以外の候補者の素晴らしさを見るたびに心底そう思った。
しかし選挙戦を経験することで考えが変わった。今振り返れば、当初は当選しようが、落選しようが、これ1回きりの言わば人生における「遊び」という感覚で、真剣勝負をしている気持ちではなかった。芸人なので政治は風刺の対象で「下」に見ていた。
だけれども、全国を回って、汗だくで有権者一人一人と接した。すると「変えてください。お願いします」「投票しますから、裏切らないでくださいね」と言われる。「自分が選挙戦で訴えたことが実現しなかったらウソの約束をしたことになる」という気持ちが強くなった。任期6年は公約を実現するためにやり抜く気持ちになった。「負託」という言葉の意味が自分の中に刻み込まれた。
自分自身、これまでいわゆる「タレント議員」を批判してきたので、「やっぱりタレント議員だった」と批判されないように、国会議員としての仕事をしっかり務めたい。
◆国会に潜入したルポライター
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元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 政治 【政局・連載「政治プレミアム」】 2022年08月25日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。