【社説・01.13】:新成人の若者に 政治を諦めず行動しよう
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.13】:新成人の若者に 政治を諦めず行動しよう
成人の日のきょう、各地で新成人を祝福する行事が開かれる。
多くは20歳を対象としているが、成人年齢は3年前に18歳に引き下げられた。春秋に富む18歳、20歳の門出を祝いたい。
2006年生まれの新成人は109万人で、過去2番目に少ない。この春から本格的に社会へ踏み出す人がたくさんいるだろう。
18歳になると、クレジットカードの作成、1人暮らしをする部屋の賃貸契約などは、保護者の同意が不要になる。さまざまな行為や権利に大人としての責任が伴う。
選挙権もその一つだ。ちょうど今年は普通選挙法施行から100年の節目に当たる。
選挙権年齢になれば投票できるのは、今でこそ当たり前だが、多くの人々の労苦と長い時間が費やされた。
日本初の国政選挙となった1890年の衆院選で投票できたのは、25歳以上の男性で高額納税者に限られた。総人口のわずか1%程度だった。
納税要件が撤廃され、25歳以上の全ての男性が投票できるようになったのが1925年である。有権者は人口の約20%に増えた。
女性が選挙権を得たのは戦後になってからだ。45年に20歳以上の男女の完全普通選挙制度が確立された。戦前の女性参政権運動が礎になっていることを覚えておきたい。
選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたのは2016年で、記憶に新しい。高校生も投票できるようになり、主権者教育や模擬投票に取り組む学校が増えた。有権者は総人口の80%を超える。
先人が拡大してきた投票の権利は、残念ながら十分に生かされていない。
昨年10月の衆院選(小選挙区)の投票率は戦後3番目に低い53・85%で、18、19歳は速報値で43・06%だった。福岡県では70代の68・67%が最も高く、18、19歳は39・87%にとどまる。
政治に対する若者の関心が低く、無力さを感じていることは日本財団が昨年実施した国際調査からもうかがえる。
米国、中国など6カ国の17~19歳が「政治や選挙、社会問題について関心がある」「自分の行動で国や社会を変えられると思う」と答えた割合は、日本が最も低かった。
一方で高齢者と若者の支援の差を感じる割合は、日本が他国より格段に高かった。
不満があればもっと声を上げてほしい。疑問を持ったら調べ、考え、行動しよう。諦めては何も変わらない。
今年は夏に参院選がある。北九州市議選、福岡県知事選など身近な選挙も多い。一票一票の積み重ねで社会は動かせる。政治に参加する機会を自ら放棄しないでほしい。
人口は少なくとも、若い世代が社会を担う時代はすぐに訪れる。若いからこそ見える課題、解決策もあるだろう。国会は被選挙権年齢の引き下げを検討すべきだ。
元稿:西日本新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月13日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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