愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

首相の伊勢参拝は恒例だから問題ないのか! 憲法形骸化に加担する日本のマスコミの犯罪を告発する!

2014-01-06 | 伊勢神宮

安倍首相の伊勢神宮参拝を、「恒例行事」として「「問題なし」と報道する日本のマスコミの知的退廃と犯罪的役割について、記事にしておかなければならないと思いました。また、昨年同様伊勢参拝に乗じて記者会見をするという設定も仕組まれたものと言わなければなりません。この10年の首相の年頭記者会見を一覧しておきました。第二次安倍政権が如何に問題か、判ると思います。ま、愛国者の邪論に言わせれば、「俺は、どの内閣総理大臣もやっていない伊勢神宮で年頭記者会見をやっている、できる総理大臣だぞ!」と粋がっているのだと思います。全く子どもじみた、思いやりのない身勝手な総理大臣だということを歴史に残しておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣年頭記者会見 平成26年1月6日

安倍内閣総理大臣年頭記者会見 平成25年1月4日

野田内閣総理大臣記者会見平成24年1月4日

菅内閣総理大臣年頭記者会見 (H23.1.4)

鳩山内閣総理大臣年頭記者会見(H22.1.4)

麻生内閣総理大臣年頭記者会見(H21.1.4)

福田内閣総理大臣年頭記者会見(H20.1.4)

安倍内閣総理大臣年頭記者会見(H19.1.4)

小泉総理大臣年頭記者会見(H18.1.4)

小泉総理大臣年頭記者会見(H17.1.4)

野田首相の時は、記事にしました。昨年は総選挙問題と大阪の体罰問題があり、そちらに集中してしまいました。以下ご覧ください。

太陽神である天照大神に「平和と繁栄、国民の幸福、被災地の復興」を祈る首相のおかしさなどなど 2012年1月5日

さて、この伊勢参拝については、日本のマスコミが「恒例」行事として、曖昧、免罪しているなか、以下の記事を検索しました。この記事を読むと、日本人は「内政干渉だ。日本の伝統文化に口を差し出すな」などと言ってくるのではないかと思います。そこに伊勢神宮に関する日本国民の思考停止状況をみることができます。伊勢神宮問題について、この間記事にしてありますので、最後に掲載しておきます。ご覧ください。今後も解明していきたいと思います。

安倍首相の伊勢神宮参拝、中国報道「違憲、戦前に回帰の声も」2014-1-6 16:13


さて、以下の日本のマスコミの伊勢参拝免罪記事について、そのポイントをまとめてみました。 

1.どのマスコミも「歴代首相による新年の参拝は恒例」として、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」(憲法第20条第3項)に違反していることです。そもそも内閣は、「法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する」(第65条)とあります。また「行政権は、内閣に属する」(第65条)とあるように、内閣総理大臣、国務大臣は、国家の機関そのもの、権力そのものです。憲法尊重擁護の義務(憲法第99条)を負っているにもかかわらず、その国家の機関が、平気で憲法の無視をして恥じない、またマスコミも問題にしないのです。「愛国心」教育をめざす安倍政権の象徴的存在である文部科学大臣が参拝するのは、極めて意図的パフォーマンスです。

 

2.特定の、しかも戦前国家神道の、皇国史観の「メッカ」である伊勢神宮に国家機関である総理大臣が参拝するということの持つ意味は、計り知れない思想信条の自由、表現の自由、学問の自由を侵すおそれのある行為です。国民の中にある多様な信仰心、宗教を信仰する自由を圧迫するおそれのある参拝です。伊勢神宮は、神道と言われていますので、神道以外の宗教は、挙って批判しなければならない問題なのです。いや思想信条の自由を侵害するという点からみれば、すべての国民に当てはまる問題なのです。

3.国家の最高法規、ルールである憲法を日本の学校教育がないがしろにして、どうやって子どもにルールを教えていくのでしょうか。このような蛮行を子どもは見透かしていることでしょう。ある意味学校が荒れるのは仕方ないことかもしれません。どうやってルースオブローを徹底させていくというのでしょうか。これほどの不道徳があるでしょうか。こうした不道徳をマスコミは批判もしないのです。まさに日本は無秩序国家と言えます。

4.今日もテレビ朝日「スクランブル」はいつものように、性懲りもなく、北朝鮮の金正恩氏の新年宣誓を伝えていました。同時に、この参拝問題も取り上げていましたが、こちらの方は全くと言って良いほど何も問題視していないのです。安倍首相の伊勢参拝のネライは金正恩氏とどこが変わらないのか。さらに靖国参拝を取りあげ、司会者はしきりに中国の靖国参拝批判について、その思惑があるのでしょう、やたらと問題視する発言をしていましたが、靖国参拝が如何に国益に反しているか、戦後の世界の常識に反しているかなど、当たり前の指摘をするコメンテーターの発言もありました。

しかし、安倍首相の靖国・伊勢参拝問題を関連づけることと、金正恩氏の外交姿勢と国づくりを比較して検討する視点など、まるで想定外なのです。これが日本の「常識」なのかも知れません。これでは、どこかの国を独裁国家などと、あげつらうことができないことは当然ではないでしょうか。いや、だからこそ、中国・北朝鮮の「脅威」論が、日本国民の中に浸透してしまうのかも知れません。

5.同時に国民も、伊勢・靖国参拝をする国民一般の参拝と内閣総理大臣の参拝を区別もできないのです。一緒だと思っているのです。

一つは学校教育における信教の自由の問題の学習・教育状況を反映していること、日の丸・君が代を国旗国歌にふさわしいと思っていること、したがって強制とは感じていないことなどなどの実情を反映しているのだと思います。だから疑問も持たないのではないでしょうか。

二つ目は、日本人の信仰心にあります。それは、日本人は、クリスマスイブに「お祝い」しながら、除夜の鐘に聞き、カウントダウン後に初詣をする。しかも中には神社にも、寺にも行く日本人、七五三には神社にお参りする、又は寺に行く、結婚式は教会式で行うか、明治中期大正天皇の結婚式が神式で行われたことを契機に神前結婚が流行っていきましたが、それ以前は、「祝言」でした。人前結婚式でした。その後にお宮参りや寺にお参りしたのでしょうか。屋敷内のお稲荷さんにお参りしていたこともあります。さらには「神様仏様稲尾様」などなど、日本人の信仰心は、曖昧ですから、仕方ありません。しかし、その曖昧さを利用して、国家は、国民の信仰心にまで入り込んで勝手なことをやってきたのです。またやっているのです。

6.そうした曖昧さと、伊勢神宮が、天皇家の祖先神とされている天照大神を祀っているという理由から、民主党党首の海江田万里氏までも参拝するなど、世論におもねった恥べき政治参拝を行っているのです。これこそ民衆の中に根付いてきた太陽神信仰を冒涜するものと言わなければなりません。

7.安倍首相は、記者会見で靖国参拝は、「真意を説明すれば理解は得られる」「困難な課題や問題があるからこそ、前提条件を付けずに首脳同士が胸襟を開いて話をすべきだ」と身勝手なことを言っているのです。また「首脳会談に応じるよう改めて呼び掛けた」と安倍首相の身勝手さを無批判的に報道して、安倍首相の不道徳を擁護しているのです。そして「その上で」として「靖国神社参拝について私の真意を直接、誠意をもって説明したい」と、話し合いを拒む中韓の方が問題アリのような印象操作を行っているのです。身勝手な発言をしている安倍首相を応援するように「会談実現に意欲を示した」と報道しているのです。ここに、安倍首相がマスコミを使って国民に向けて何を言っているのか、マスコミが安倍首相の発言を応援していることが透けて見えてくるのです。こうしたマスコミの姿勢が、どのような意味を持っているか、一言で言えば、憲法改悪の方向に世論を導いていっているということです。中国・北朝鮮「脅威」論と内政干渉論、容喙論を国民の中に沈殿させているのです。昔風に言えば、民族排外主義ということです。聞く耳持たず。おれが正しい、のです。恐るべき世論誘導と言えます。

8.伊勢神宮参拝後に靖国問題を取り上げ、話し合いを求めているのだが、悪いのは中韓という印象操作を行いながら、安倍カラーとは思われていないアベノミクス問題で発信することで、低下した支持率を回復しようとするネライが透けて見えてくる記者会見です。それは安倍首相特有の自画自賛言葉がちりばめられていること、「全国津々浦々に広げることが私の責任」と言い始めて何ヶ月が過ぎたのでしょうか。何回言っているのでしょうか。ここに安倍首相の苦悩がにじみ出ているのです。必ず失敗を告白する時が早晩くることでしょう。強がりを言っているのは今のうちです。そういう意味で安倍首相のハイテンションは、混迷の裏返しだと思っているのです。

9.そのことはテレビ朝日の報道の論理に透けて見えてきます。安倍さん、頑張って!応戦ニュースです。安倍さん、こうやれば、支持率が回復しますよ、というメッセージです。それは、これまで自民党自身が、票田として位置づけ、「既得権益」を与えてきたことを無視して、今や、その「農協」「医師会」を「農協改革や混合診療の緩和」の対象として悪者に描いていることに象徴的です。TPP参加と絡んでいるのです。こういうニュースを視た、聞いた国民がどのような意識を持つか、計算されたニュース報道なのです。これこそがナチスの手口と言えます。こうやって、国民を戦争に協力させ、「動員」していったのです。

 

では、以下、記事をご覧ください。

【共同通信】首相、伊勢神宮を参拝 海江田民主代表も 2014/01/06 12:50

http://www.47news.jp/CN/201401/CN2014010601000940.ht

 伊勢神宮の外宮を参拝する安倍首相=6日午後、三重県伊勢市

 安倍晋三首相は6日午後、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝した。歴代首相による新年の参拝は恒例で、安倍首相にとっては昨年10月に行われた式年遷宮の儀式に出席して以来となる。参拝には岸田文雄外相、下村博文文部科学相、田村憲久厚生労働相らが同行した。首相は、公務としては6日が仕事始め。民主党の海江田万里代表も首相に先立ち参拝した。首相は4、5両日に選挙区の山口県に入り、後援会会合などで「日本経済は間違いなく良くなっている。全国津々浦々に広げることが私の責任だ」と述べ、経済再生に取り組む決意を示した。(引用ここまで

時事 安倍首相が伊勢神宮参拝 01/0612:35

 安倍晋三首相は6日午後、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝した。首相の伊勢参拝は新年の恒例行事。この後、神宮司庁で年頭の記者会見に臨む。参拝には、岸田文雄外相、甘利明経済再生担当相ら7閣僚が同行。首相は外宮と内宮の順に参拝し、6日夜に帰京する。首相は2013年10月に伊勢神宮で行われた式年遷宮の中心行事「遷御の儀」にも参列した。一方、民主党の海江田万里代表も6日午前、首相に先立って伊勢神宮を参拝した。(2014/01/06-12:35)(引用ここまで

読売 安倍首相、伊勢神宮を参拝 (2014年1月6日12時32分)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20140106-OYT1T00324.htm

伊勢神宮外宮を参拝した安倍首相ら(三重県伊勢市で)=稲垣政則撮影

 安倍首相は6日午後、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝した。外宮と内宮を参拝した後、神宮司庁で年頭の記者会見を行う。伊勢神宮参拝は、歴代首相の新年の恒例行事となっている。安倍首相は昨年も新年に伊勢神宮参拝をしたほか、昨年10月には、伊勢神宮で20年に1度行われる式年遷宮の「遷御(せんぎょ)」の儀に参列した。(引用ここまで) 

テレ朝News  安倍総理 伊勢神宮に参拝へ 今年の課題は? - http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000019083.html?r=rss2&n=20140106132942

安倍総理大臣がまもなく伊勢神宮を参拝します。新年の伊勢参拝は歴代総理の恒例行事です。安倍政権にとって、今年最大の課題は「外交」と「経済」です。去年末の靖国神社参拝で冷え込んだ「周辺国との関係をどう改善」し、「消費税引き上げによる景気悪化をどう防ぐ」のでしょうか。
 (政治部・千々岩森生記者報告)
 今年の安倍政権の基本戦略は、高い株価を維持し、景気をさらに引き上げていくことです。これに成功することが、安倍総理が目指すあらゆる政策の前提条件となります。そのための課題は2つです。1つは農協改革や混合診療の緩和など、既得権を打破して規制改革を進めること。もう1つは賃金アップを実現して景気回復の実感をもたらすことです。最大のハードルは、4月の消費税8%への引き上げです。景気の落ち込みと支持率低下を乗りきれるか。仮に上手くいかなければ、安倍総理は、来年の消費税10%への引き上げを取りやめるか延期する見通しです。
 一方、靖国参拝でさらに冷え込んだ周辺国との関係は、関係改善を求めるアメリカの不信感も生んでいます。ただ、安倍総理は「日本の主張を曲げてまで、中国や韓国と会談する必要はない」としていて、機が熟すまで様子を見る構えです。(引用ここまで

安倍首相今日午後、伊勢神宮を参拝 - 政治ニュース : nikkansports.com

首相伊勢神宮を参拝 7閣僚も同行:朝日新聞デジタル

安倍首相:伊勢神宮を参拝 - 毎日新聞 - 毎日jp

首相伊勢神宮を参拝 :日本経済新聞

安倍首相が外相らと伊勢神宮参拝 民主·海江田代表も - MSN産経ニュース

首相伊勢神宮を参拝 海江田民主代表も - 西日本新聞

【共同通信】首相、憲法解釈変更へ論議加速 「靖国参拝理解される」 2014/01/06 16:20

 伊勢神宮の参拝を終え、年頭の記者会見をする安倍首相=6日午後、三重県伊勢市

 安倍晋三首相は6日、三重県伊勢市で年頭記者会見に臨み、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更や憲法改正の議論を加速させるべきだとの認識を表明した。昨年末の靖国神社参拝に中韓両国が反発していることには、真意を説明すれば理解は得られるとの考えを強調。4月の消費税増税に理解を求めるとともに、景気循環を好転させて国民の収入増実現を目指す意欲を語った。首相は憲法改正に関し「時代の変化を捉えて、憲法解釈の見直しや憲法改正について国民的な議論をさらに深めるべきだ」と指摘した。(引用ここまで

中韓との首脳会談に意欲=デフレ脱却に決意-安倍首相年頭会見  01/0617:10

安倍晋三首相は6日午後、三重県伊勢市で年頭記者会見を行い、関係が冷え込んでいる中韓両国に対し「困難な課題や問題があるからこそ、前提条件を付けずに首脳同士が胸襟を開いて話をすべきだ」と述べ、首脳会談に応じるよう改めて呼び掛けた。その上で「靖国神社参拝について私の真意を直接、誠意をもって説明したい」と会談実現に意欲を示した。 首相は、中韓が自身の靖国参拝を「軍国主義の復活」などと批判していることを念頭に、「日本はアジアの友人、世界の友人とともに世界全体の平和の実現を考える国でありたい」と平和主義が不変であることを強調。集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更や憲法改正についても「中韓両国を含め丁寧に説明したい」と述べた。 政府の経済政策に関しては「(昨年)1年間で景気回復の裾野は着実に広がった。

今年はデフレ脱却という勝利に向け攻める」と決意を示し、「この春こそ景気回復の実感を収入アップという形で国民に届けたい」と表明。成長戦略を今年半ばに改定する考えも明らかにした。今月24日召集予定の通常国会については「(経済の)好循環実現国会だ」と述べ、経済対策を引き続き最重要課題と位置付ける考えを示した。大詰めを迎えている環太平洋連携協定(TPP)交渉に当たっては「(コメ、砂糖など)重要5項目について衆参農林水産委員会の決議をしっかりと受け止め、攻めるべきは攻め、守るべきは守る」と述べた。一方で「最終的な着地点をどう見いだすか。知恵を出して大局的な判断をする」と、合意に向けた譲歩の可能性に含みを持たせた。原発再稼働に際しては原子力規制委員会の安全審査を受けて判断するとし、原発の新増設は「全く想定していない」と語った。(2014/01/06-17:10)(引用ここまで

NHK 「好循環実現国会」でデフレ脱却に全力  1月6日 16時9分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140106/k10014290271000.htmlK10042902711_1401061607_1401061635.mp4

安倍総理大臣は、三重県伊勢市で、年頭にあたって記者会見し、「目指すのは経済の好循環と収入アップの実現だ」と述べ、今月召集される通常国会を「好循環実現国会」と位置づけ、デフレからの脱却に全力で取り組む考えを強調しました。この中で安倍総理大臣は「日本経済は1年前の危機的な状況から脱し、順調に回復軌道を歩んでいる。ノーアウト満塁でマウンドに立った私は自分の信じる球を目いっぱい投げ込んできたつもりだ。『三本の矢』によって、日本経済は、マイナスからプラスへと大きく転換した」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は「まだまだ厳しい方々もいるが、この1年間で景気回復のすそ野は着実に広がってきた。ことしは、デフレ脱却という勝利に向けて攻める番で、この春こそ景気回復の実感を収入アップという形で国民に届けたいと考えている。消費の拡大を通じて、さらなる景気回復につながる好循環をことしは、全国津々浦々に至るまで広げていきたい」と述べました。そして安倍総理大臣は今月召集される通常国会について、「5兆5000億円の今年度補正予算案、来年度予算案、さらには従業員の給与を増やす企業を応援する税制の拡充など、税制改正もある。目指すは経済の好循環、収入アップの実現だ。ことしの通常国会は『好循環実現国会』だ」と述べました。(引用ここまで

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「自共対決」論の先にあるものを提示しない共産党の「自共対決」論に大渇!このままで政界再編劇に負ける!

2014-01-06 | 日記

今月共産党が第26回大会を開きます。この日本共産党第26回大会決議案(全文)にも、4日の志位委員長の新年の挨拶でも、愛国者の邪論が言い続けてきている救国暫定国民連合政権の提唱がありません。このままでは、安倍自公政権に替わる政権構想問題は、共産党の中においては、ほとんど議論されることなく、推移しくように思います。大変残念なことです。

ところで「対決」とは、「法廷で原告と被告とを向かい合わせて行う審判。対審。両者を相対して黒白を決する」(広辞苑)ということです。自民党・安倍政権と共産党を国民の前で相対して黒白を決するということは、自民党・安倍政権の政策と共産党の政策を国民の前に相対して黒白を決することです。この「黒白を決する」ということは、どういうことでしょうか。

一つは、自民党・安倍政権を温存したまま、その政策の変更を提案し、共産党の政策を実現する。

二つは、自民党・安倍政権には、政策の変更は望めないので、自民党・安倍政権に替わる政権を実現して、共産党の提案する政策を実現する。

自民党・安倍政権と「黒白を決する」とは、以上の二つしかありません。しかし、共産党は、共産党単独では政権はつくれない、「連合政権」と言っていますので、その「連合」の相手、政権の枠組みが問題となってきます。そこで、その際の政権の枠組みとして考えられるものは、何か、考えてみました。

一つは、自民党・安倍政権ではなく、自民党内の別の潮流が、安倍氏に替わって政権をつくって、共産党の提案する政策を実現する。

二つは、自民党・安倍政権ではなく、それに替わり得る自民党の参加した政権ではなく、民主党政権のような政権、今、マスコミが盛んに宣伝している「政界再編」を実現して、その新たな枠組みにもとづく政権をつくって、共産党の提案する政策を実現する。

三つは、国民の要求を実現するための政権公約を公表し、国民的議論で深め、自民党の参加する政権でもなく、また民主党政権の失敗を踏まえて、政界再編による自民党亜流政権でもなく、これまでの自民党型政治と政策的に対決する政策を実現するための政権をつくって、共産党の提案する政策を実現する。

どうでしょうか。「自共対決」を掲げて、国民の要求を実現するというのであれば、これまでの延長線上のような政策提案をしているだけで、国民的共感を得ることはできるでしょうか。総選挙後の都議選と参議院選挙の際の共産党への国民の期待の本質的意味は何だったのでしょうか。

志位氏は、「全党の奮闘によって「『自共対決』時代の本格的始まり」という新しい情勢を開いた」として、以下のように述べています。

昨年は、「『自共対決』時代の本格的な始まり」という新たな情勢を開く歴史的画期をなす年となりました。この情勢は自然に訪れたものではありません。「二大政党による政権選択論」や「第三極論」など、長期にわたる日本共産党排除の反共作戦に抗しての、全党の不屈の奮闘が、この時代を切り開いたということを、私は、強調したいと思うのであります。(引用ここまで

この発言からすると、それまでの「自共対決」は「本格的ではなかった」ということになります。しかし、そうでしょうか。そもそも、90年代初頭の細川新党による非自民・非(反)共産党政権の誕生と、その後の連立政権の行き詰まりのなかで、820万もの支持を獲得したのです。そのなかでよりまし政権構想論も議論されました。しかし、その提起は、どこかに行っていまったのです。

しかし、自民党をぶっ壊すと称して小泉政権を誕生させたのですが、それでも自民党政権は行き詰まったのです。そうした行き詰まりを反映して、新自由主義的政策からの脱却、従属から対等の日米軍事同盟を求める民主党政権が誕生、しかし、公約違反と自民党化した民主党への失望を第三極騒動をつくりだすことで後景に追いやり安倍自民党政権を実現したのです

本来は、自民もダメ、民主もダメならば、「自共対決」論を掲げている共産党に期待が集まるところでしたが、第三極ブームをつくりだしたのです。共産党も、90年代後半の大躍進にもかかわらず、従来どおりの政策提案型の政治の域から脱出できないまま、民主連合政府型の政権論の枠組みから脱出できないまま、小沢民主党の政権公約に、トンビに政権もって行かれてしまったのです。

しかし、その民主党政権も、支持された国民の運動を組織することなく、霞ヶ関ムラに留まった政治に終始したために自民党化し、国民の失望によって政権の座から引きづり降ろされたのです。それは野合政党である民主党の内部そのものにある自己矛盾によるものです。

そこで、愛国者の邪論は、マスコミの扇動によって実現した政権交代であった政権でしたが、その歴史的体験を意味づける必要があるように思います。以下まとめてみます。

一つは、小沢民主党の、それまでの民主党の政策変更と政権交代可能な二大政党政治下における政権公約発表が国民に共感をよんだ。学ぶべきは小沢氏の眼力です。本来は共産党がやるべきことでした。

二つは、この「政権公約」と「政権交代」をマスコミが煽って、国民の共感、期待、支持を増幅させていった。マスコミの力です。マスコミを利用しなければならないほど、草の根が張っていなかったことも事実ですが、草の根がなくても、組織の「自力」がなくても政権交代は可能で或ることが証明されたのでした。

三つは、政権交代を実現した民主党は、その寄り合い所帯、野合政党であるが故に、公約実現に当たって、その本質的弱点によって自民党化し、分裂し、国民の支持を失い、失望を集め政権を失った。一致点による政権運営とどこを一致させ、どこが一致していないのか、互いに認め合う政権運営、不一致点は国民の討論と運動で克服するという視点こそ、学ぶべき視点です。

四つは、政権公約を実現するために、国民との共同を追及しなかったことを学ぶべきです。このことは、政権交代をめざす政権公約を国民的議論で練り上げていくのではなく、政党内で、しかも民主党内の小沢派が中心になってつくりあげたという事実と弱点に、その原因があるということです。これでは国民が主人公にはなり得ません。

五つは、共産党の政権交代論とのかかわり強調されている「自力」論がなくても、政権交代は実現しているという事実です。

そこで、政権交代前後の自民・民主・共産の票を一覧してみました。ご覧ください。

 

民主党

自民党

共産党

総選挙

小選挙区

比例代表

小選挙区

比例代表

小選挙区

比例代表

参議院選挙

選挙区

比例代表

選挙区

比例代表

選挙区

比例代表

96年総選挙

6,001,666

8,949,190

21,836,091

18,205,955

7,096,765

7,268,743

新進党

15,812,320

15,580,053

98年参議院

9,063,940

12,209,685

17,033,852

14,128,719

8,871,703

8,195,078

07年参議院

24,006,817

23,256,247

18,606,193

16,544,761

5,164,572

4,407,932

09年総選挙

33,475,334

29,844,799

27,301,982

25,643,309

2,978,354

4,943,886

12年総選挙

13,598,773

9,628,653

18,810,217

16,624,457

4,700,289

3,689,159

13年参議院

8,646,371

7,134,215

22,681,192

18,460,404

5,645,937

5,154,055

どうでしょうか。一覧してみました。勿論、現在の憲法違反の小選挙区制度を前提として考えたものです。これをみて考えたことは、以下のことです。

一つには、日本において、どれだけの国民的支持を獲得できれば政権が担当できるか、

二つは、これらの獲得票は、どのように得られているか、その検証です。

具体的には、日本の政治の歴史的伝統、歴史的要因、政策とその実現力、草の根力、どぶ板にみる日常活動、マスコミの影響力、政党人の人間力などがあります。大東亜戦争、憲法、日米軍事同盟、大企業に対する評価、国民の生活を保障しているかどうかなど、多面的です。一言でまとめると、共産党が関係する政権が、自民党以上に飯を食わしてくれるかどうか、そこが最大の分岐点です。

三つは、今回の大会決議案でも、「自共対決」時代が本格的に始まったと言っています。志位氏は、挨拶の中で、以下のように述べています。

こうした情勢のもとで、日本共産党は、都議選、参院選を目前にして開催された5月の第7回中央委員会総会で、「自共対決」というスローガンを正面から打ち出しました。7中総報告では、つぎのように呼びかけました。「他党がみなそろって、『自民党へ、安倍首相へ』となびくなかで、国民とともに安倍政権の暴走と正面から対決しているのが日本共産党であります。……『自民党対共産党』の対決――“自共対決”こそ、参議院選挙の真の対決軸であります。この真の政党対決の構図を押し出しながら、必ず勝利をつかもうではありませんか」(引用ここまで

 しかし、これは間違い、スリカエです。共産党の「自共対決」論は、昨年に始まったことではありません。以下の第21回大会1997年09月26日)をご覧ください。以下まとめてみました。 

①“総自民党化”の土俵のなかで、にせの「対立軸」、にせの「受け皿」をつくる試みがくりかえされた。しかし、あれこれの新党づくりや、看板のかけかえが、どんな意味でも新しい政治を生みださず、自民党による悪政の推進を助ける役割しかもたないことは、新進党、民主党、社民党などの現状によって、実証されつつある。

②これらの一連の成果は、政党間の力関係を、大きく前むきに変えつつある。とくに、政権党である自民党にたいするわが党の得票比が、総選挙で約四割になり、都議選では約七割にまでたっしたことは、こんごの躍進いかんでは政権の問題を現実に展望できるまでに、日本共産党の政治的比重がましつつあるという点で重要である。これらは、自民党と日本共産党との対決――“自共対決”こそ、日本の政治対決の主軸であること、それが政治路線のうえでの対決だけではなしに、現実の政治的力量のうえでの対決にもなりつつあることをしめしている

③今日の日本で、国民的利益を実現する道は、大会決議案がしめした民主的改革の路線への転換にこそあります。私は、ここに、“自共対決”が今後の政治展開の軸となるという展望の政治的基盤があるし、また、二十一世紀の早い時期に、民主的改革を実行する民主的政権をめざすべき国民的な必然性があるということを、強調したいのであります。

④自共対決の選挙戦をたたかう

⑤民主的改革の国民的多数派を結集していくかなめとして、全国革新懇(平和・民主主義・革新統一をすすめる全国懇話会)がはたすべき役割は、ますます大きなものとなっている。革新懇は、政治革新の三つの目標での共同を追求しつつ、そのすべてで一致しなくても、悪政反対の一致点で、共同の意思をもつすべての団体・個人に、さまざまな条件におうじた形で働きかけ、国民的共同を追求している。革新的無党派との共同だけでなく、保守的無党派までふくめた新しい運動が、全国的に成長してきている。…日本共産党と無党派との共同は、少なからぬ地域で、すでに現実に行政の担い手となっている。それは、革新・民主の自治体――日本共産党が政党としては単独与党だが、多くの住民と手をたずさえ、「住民こそ主人公」の行政を推進している地方自治体のひろがりとなって、大きく実をむすびつつある。革新・民主の自治体が、その行政の実績をつうじて、国民の信頼をひろげることは、革新・民主の勢力が国政において政権をになううえで、国民に信頼感をもってもらううえでも、きわめて重要である。わが党は、日本共産党と無党派との共同の発展に努力しつつ、二十一世紀の早い時期に、政治革新の目標で一致する政党、団体、個人との連合で、民主連合政府を実現することをめざして奮闘するものである。(引用ここまで

四つは、これらの位置づけを具体化するものとして、98年「参議院選挙の結果について」のなかで、「自民党は過半数をえているとはいえ、いまや国民の支持を失った“虚構の多数”であることは明白です。日本共産党は、自民党の政治の枠内でのたらい回しではなく、ただちに衆院を解散して総選挙で国民の信を問い、国民の意思を反映した国会をつくることをつよく要求します。そのために野党が、国会解散をもとめる共同をはかるために戦力をつくします」と「自共対決」論の具体化を国会解散・総選挙として主張していたのです。

ところが、その後の選挙においては、どうだったか、「『二大政党による政権選択論』『第三極論』など、長期にわたる日本共産党排除の反共作戦に抗して」とありますが、「共産党排除の反共作戦」は常套手段であることは明らかです。だからこそ、「自共対決」論を打ち出しながら、「21世紀の早い時期に、民主的改革を実行する民主的政権をめざす」と打ち出したのではないでしょうか。

しかし、その21回大会の方針が国民のものにならなかったの何故か、その検証は曖昧です。その最大の問題点は「民主的政権」論と「民主的政権構想」論が国民的議論に付されなかったことです。それは小沢氏の政権公約によって証明されました

今、自共対決」が「本格的時代に」と言っても、一覧表の推移にみるように、「共産党排除の反共作戦」を上回る作戦を国民に示していかなければ、90年代後半から今日までの誤りを繰り返すことになるのは、事実が示していると思います。それは、救国暫定国民連合政権構想論にもとづく政権構想を国民に提案していくことです。これを国民的議論に付していくなかで、マスコミを動かし、共産党の姿を広げてういくことです。そうしたなかで、国民の要求を草の根から実現していくこと、飯を食わしてくれる共産党への信頼を築くことです。これは「自力」を構築していくことと一体的にすすめていかなければ実現できない課題です。

ところが、現状はどうでしょうか。今、マスコミは、「一強他弱」論の弊害を流布することで、強い野党の出現づくりを煽っています。その行き着く先は、新たな政界再編劇です。またまた「共産党排除の反共作戦」の焼きなおしです。自民がダメだから、民主に、民主がダメだから、第三極に、そして自民がトンビの政権をかっさっていった。ところが第三極も自民党の補完物であることが浮き彫りになってきた、安倍自民党も、危ない!そうすると、それに替わる受け皿として、共産党が浮かび上がってくることだけは、何として防がなければならない、そうすると、政界再編劇しかないのです。中選挙区制時代は自民党の派閥が、その交替劇演じていました。小選挙区制時代は、自民党に替わる政党をつくらねばならないという局面で、如何にして共産党が浮かび上がってくることを防ぐか、これが日米軍事同盟容認派・財界の利益擁護派の最大の関心なのです。

こうした構図と作戦は判りきっていることです。では、それに対してどのような有効な作戦を考えるか。ところが、26回大会議案も、今回の志位氏のあいさつも、政権交代を体験した歴史的国民的経験からみると、あまりにかけ離れていると言わざるを得ません。何故か。

一つは、共産党は、自分の政策をどのように実現していくのか、「一点共闘」を発展させて統一戦線をと、国民的運動は提案していますが、政策変更を具体化するための政権構想=公約までは提案していません、そのプロセスを国民の前に明らかにしてはいません。勿論、ブラック企業や消費税中止法案などを国会に上程しています。北東アジア平和共同体構想などは提案しています。しかし、この「提案」をどのように具体化するのか、国民には判らないでしょう。国民とともにどのように実現していくのか、国民は蚊帳の外におかれているのです。これで共産党への期待は集まるでしょうか

二つは、志位氏の挨拶が、「拡大」(なんとも不思議な言葉です。新聞と人間を「拡大」)の「成果」の話から始まっていることです。確かに「成果」の背後にある運動と国民の意識の変化を意味づけることは大切なことでしょう。しかし、国民にとっては、関心のないことです。国民が、今関心のあることは、何でしょうか。この関心に、全国の草の根の支部がどのように向き合って実現のために奮闘しているか、そのことの活動と国民の要求がどのようにすれば解決できるか、そのことをたたかいのなかでリアルに意味づけることこそが、共産党の真骨頂ではないでしょうか。

三つは、同時に、全国的課題でたたかわれている政治課題を解決するための展望を示すこと、安倍自公政権の暴走を食い止めるためには、安倍自公政権の継続で良いのかどうか、国民に提起していくことではないでしょうか。そのためにも、救国暫定国民連合政権の提唱を国民の前に明らかにしていくことではないでしょうか。

そのような視点のない、党内向けの、内向きのあいさつ、新自由主義によって生活を困窮化させられている、また日米軍事同盟によって生活の不安を解決できていない全ての国民に呼びかける共産党のあいさつとは程遠い内容だった新年のあいさつだったように思います。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする