以下の朝日を読み、下記に一覧した靖国参拝正当化史観を批判しておきましたので、またダボス会議における安倍首相が第一次世界大戦のイギリスとドイツの関係と日本と中国の関係について言及したことや、昨日の日経の社説などを読み、改めて戦後史について、記事を書いておくことにしました。
以下、ポイントをまとめてみました。
1.自由と民主主義が成熟したとされているアメリカの歴史の使い分けについて
(1)リメンバーパールハーバーを大義名分にして国民を戦争に動員し、戦争に勝利しパックスアメリカーナとなったアメリカ
(2)侵略戦争の温床である軍国主義を否定し、自由と民主主義を根づかせることを目的としたポツダム宣言の履行者としてのアメリカ
(3)「反共の防波堤」として日本を目下の同盟者に仕立て上げ、逆コースを演出したアメリカ
(4)アメリカの世界戦略の中に位置づけ、日本国憲法に違反している米軍基地を建設・拡充し、ベトナム・インドシナ・湾岸・アフガン・イラク戦争に日本を利用したアメリカ
(5)アメリカに反抗しないように、メディア(CIA)などを使って、日本をアメリカの目下の同盟者として成長できるように、政治・経済・文化・教育・思想面から、多面的にアメリカ式民主主義を振り撒いたアメリカ
2.自由と民主主義が成熟したとされている日本の歴史の偽造・偽装について
(1)侵略戦争であった大東亜戦争の正当化のためにアメリカの目下の同盟者に成り下がり、アメリカの利権の拡充に大きな役割を果たした日本
(2)アメリカの支援を受けて経済大国ニッポンとなった日本
(3)朝鮮戦争・ベトナム戦争などを通して経済成長を実現した日本
(4)反共の防波堤としてアジアでアメリカの代弁者として立ち振る舞いながら、アメリカを脅かす存在となった日本
(5)憲法違反の日米安保体制を軍事同盟として位置づけることで、アメリカの肩代わりを演じる日本
(6)ベトナム戦争によって生じた双子の赤字、アメリカの威信と経済力の低下を日本に肩代わりさせる政策を積極的に利用した日本
(7)アメリカの要請を受けて極東から中東、世界各地にまでに、憲法違反の自衛隊を国際貢献を口実に派兵するようになった日本
(8)アメリカ経済を凌ぐ日本経済の発展を守るために、自衛隊の海外派兵をネラウ日本
(9)日米安保体制を口実にして自衛隊を認知させる根拠・方便として使っていた集団的自衛権否定を否定しようとしている日本
(10)アメリカの目下の同盟者として存在意義を見出しながら、中国の政治的・経済的・軍事的脅威を口実に、軍備拡張をめざす日本
(11)日米軍事同盟を公共財・日米安全保障繁栄論を根拠にタブー視する、スリカエ、ゴマカス日本
(12)そのためには、戦後レジームであるポツダム宣言にもとづく日本国憲法体制を邪魔者扱いとする日本
(13)憲法を否定自衛隊を海外で戦争ができる存在にするために、靖国神社・愛国心教育・日の丸・君が代など、戦前回帰の思想的装置を再構築しようとする日本
(14)侵略戦争を否定し、確認したサンフランシスコ講和条約の認識を、一方では沖縄が独立した日としてお祝いしながら、一方では戦犯の処罰を反故にしようとしながら、一方では、ポツダム宣言からサンフランシスコ講和条約までの占領統治による産物である日本国憲法をアメリカから押し付けられたと大ウソを信じる日本
3.近代日本は、常に軍事同盟を結んで海外侵略を正当化してきた
(1)日清日露戦争当時は日英同盟
(2)日露戦争後は日英同盟と日露協約
(3)第一次世界大戦後は、日本の大陸への暴走
(4)満州事変後には、日独伊防共・反共協定から三国同盟
(5)戦後は反共の防波堤として日米安保条約(軍事同盟)
(6)湾岸戦争後の軍事的国際貢献論
(7)95年以後安保再定義後は、アフガン・イラク戦争を支持し、世界安保へ、集団的自衛権の行使を狙う
4.さて、アメリカの目下の同盟者である日本、自民党政権は自ら主張してきた憲法的制約を全面的に否定し、廃止を狙って様々な手をうってきている。その口実は、歴史の偽造・偽装・憲法改悪、そのための中国・北朝鮮・テロの「脅威」に対する「抑止力」論です。
5.安倍政権が狙う集団的自衛権は、連合国の策定した国連憲章に明記されているのは事実です。しかし日本の国連加盟の際の約束は「憲法九条の履行」でした。その憲法九条は、自衛隊を違憲とするものでした。だからこそ、国連加盟を果たし、経済大国として振舞う日本は国連の集団的自衛権行使を否定したのです。日本の軍事的脅威を恐れる国際社会が厳然として存在していたからです。
6.しかし、一方では、自衛隊を合憲・正当化するアメリカは、同時に大東亜戦争を侵略戦争と位置づけ、戦争犯罪人を処罰した連合国の一員であるアメリカだったのです。安倍首相ら大東亜戦争正当化派は、戦後秩序の大本である国連憲章を利用し、憲法を否定しようといるのですが、憲法そのものは、連合国を中心として策定された国連憲章と同一線上にあるのです。ここに安倍首相らの最大の矛盾があります。国民も歴史を冒涜する安倍首相を根底から否定できないのは、大東亜戦争が侵略戦争であったこと、国際社会から断罪されていることを忘れているからでしょうか。それとも日本国民が大切に育んできた日本国の「基本的価値」の積極的側面と人類が育んできた国際社会における「基本的価値」の積極的側面が合致せず、また、それらの負の側面が、積極的側面と激しくぶつかり合って、未だ結論が出ていないからでしょうか。
7.日本の今後はどうあるべきでしょうか。一つは、国際社会の到達点にたつこと、二つは、戦後レジームの原点にたつこと、三つは、日本社会の隅々にまで、人権と民主主義を徹底して尊重した日本にすること、四つは、国際社会の諸国民との連携と連帯を蜜にすること、です。
朝日新聞デジタ(歴史認識の根っこ:2)ほころぶ二重基準 2014年1月27日
ほころぶ二重基準 歴史認識の根っこ 2 油井大三郎・東京大学教授
日本人の戦争観
内外使い分け 孤立化の恐れ
-昨年末の安倍首相の靖国神社参拝に対し、米政府が「失望」を表明したのは
安倍首相は昨夏に発行された米誌「フォーリン・アフェアーズ」のインタビューで、米大統領がアーリントン国立墓地を訪れることと、靖国神社への参拝は同列に考えられるという趣旨の発言をした。だが、10月に来日したケリー国務長官とヘーゲル国防長官は2人そろって、千鳥ケ淵戦没者墓苑に行った。「靖国とアーリントンは違う」という相当に強い意思表示と考えられるが、それでも安倍首相は靖国参拝を強行した。
-米国にとって、靖国のどこが問題なのか
やはりA級戦犯の合祀だろう。主権回復を果たしたサンフランシスコ講和条約の11条で、極東国際軍事裁判(東京裁判)の判決を受け入れることが明記されている。「侵略戦争」との反省に立った戦後日本の前提を、首相の公式参拝は否定することになる。 アーリントンは特定の宗教に結びつかない戦没者追悼施設で、神道に基づく靖国とは違う。戦後の日米同盟は、民主主義という「価値の共有」と説明されてきた。だが、靖国は戦前の天皇中心国家の象徴的な存在で、首相の参拝は日本が戦前回帰している印象を与えかねない。
-しかし、これまでも首相の参拝はあった
満州事変から太平洋戦争までの一連の戦争の評価をめぐっては、戦後ずっと自民党の保守政治家らが、「自衛戦争」「アジアを解放する戦争」などと国内向けには言いながら、対外的には東京裁判を受け入れる姿勢を示してきた。いわば、「ダブルスタンダード(二重基準)」な歴史認識がまかり通っていた。 そのことを米国は承知していたが、冷戦期、ソ連や中国と対抗するため、同盟国の日本との安保体制の維持こそが重要と考え、過去の解釈は問わなかった。プラグマチック(実利的)な判断だった。
-それが変わったのか
冷戦が終結し、日本の国力が抜きんでていた東アジアの情勢も変わった。韓国は成長し、中国の市場は、米国にとって無視できない規模となった。サンフランシスコ講和条約の認識を反故にするような靖国参拝の問題で、中韓が反発した場合、日本をかばう理由はもはやない。
-日本の歴史認識こそが、異質ということか
米国が戦略的に見逃してきたダブルスタンダードな歴史認識のつけが今、回ってきている。中国はしきりに、日中関係の問題にとどまらず、日本の姿勢を戦後の世界秩序への挑戦と訴えている。ロシアも同様のことを言い出した。このままだと、日本は国際的に孤立しかねない。米国でも、日本軍に捕虜となった元来兵が、日本に対して補償を要求している。きっかけは、戦時中、米政府によって強制収容された日系人への補償法が1988年に成立したことだ。戦勝国の米国が過ちを認め、負けた日本はなぜ何もしない、との憤りだ。従軍慰安婦の問題も広がり、戦争を反省していない日本人のイメージが根強いことを認識するべきだろう。(聞き手・宮本茂頼)
◆次回は2月10日に掲載予定です。(引用ここまで)
以下の記事をご覧ください。
天皇の伊勢神宮親祭にみる不道徳ぶりは裕仁天皇でさえ認めること!庶民の信仰心を統治に利用するな!(2014-01-07 12:04:53)
伊勢参拝も靖国参拝も国民にとっては大問題だ!明治以来の天皇制を支える装置・侵略戦争推進の支柱だった!(2014-01-07 10:04:10)
首相の伊勢参拝は恒例だから問題ないのか! 憲法形骸化に加担する日本のマスコミの犯罪を告発する!(2014-01-06 22:55:48)
米国のアーリントン墓地と靖国神社を同一化して正当化する参拝賛成論の不道徳ぶりに大渇!日本国の恥!(2014-01-05 08:15:41)
国家のために死んだ皆さんに総理大臣が頭を下げるのは道徳だという不道徳を容認する日本国の不道徳に大渇!(2014-01-04 19:10:12)
新藤総務相の靖国参拝を正当化する祖父栗林忠道中将の偽りの知将ぶりの根底にある皇国思想を検証する!(2014-01-03 13:33:00)
筋金入りの大東亜戦争正当化論者新藤総務相の身勝手無自覚靖国参拝で英霊、国民、被害国、歴史を冒涜!(2014-01-03 00:31:37 )
安倍首相の靖国参拝は米中韓など外国の容喙などという次元の話ではない!日本国民の国家・歴史観の問題だ!(2013-12-26 23:30:03)
身勝手な英霊尊崇心は戦死者・虐殺された民衆を冒涜するもの!最悪最低のスリカエ!情緒のウラに改憲アリ!(2013-12-26 14:09:21)