4月消費税増税が迫ってきました。国民収奪の最悪最低の政策である消費税増税に大義名分がないことは、安倍首相や米倉経団連会長自身が一番知っていることが昨日の記事で証明されました。
その最大のポイントは、消費税増税を批判し、中止を迫っていた共産党の政策をパクって賃上げ論を吹聴するようになったことです。大爆笑です。しかも、最悪最低なことには、これを報道するマスコミです。安倍首相と米倉会長の発言のウラに共産党の主張、政策があることをいっさい語っていないことです。
共産党は、デフレの原因は、雇用制度の規制を緩和し、非正規雇用を増やし賃金値下げをしてきたこと、一方では内部留保をシコタマ溜め込んで、社会のために使おうとしなかったことなどを主張していました。今回の安倍首相と米倉経団連会長の発言は、こうした共産党の主張と政策を、ほぼ認めたのでした。しかし、にもかかわらず、ここでもマスコミは、共産党隠しに明け暮れているのでした。このことは内部留保問題、原発ゼロ問題で証明されていることでした。
12年の総選挙の時に、共産党が内部留保を争点にしたにもかかわらず、マスコミも各党も、この政策の無視し、争点化しませんでした。偽りの第三極論を振りまきました。しかし、選挙後には、内部留保問題が取り上げられるようになってきたのでした。こうした手法は、昨年小泉首相の原発ゼロ発言でも証明されていることです。選挙中は、原発ゼロ発言は無視されました。脱原発・卒原発などによって雲散霧消され、争点化しませんでした。しかし、昨年の小泉発言に見るように、その発言に期待を寄せる声が増え、政局化していることをみれば、マスコミの共産党隠しの犯罪的役割が浮き彫りになります。
ところで、このような偏った報道を聞いた国民は、安倍・米倉の「善政」に期待を寄せることになるでしょう。このような報道によって、靖国参拝問題で支持率の低下した安倍首相の支持率アップを狙う思惑とアベノミクスでシコタマ儲けようとしている米倉経団連を免罪することで、応援団化しているマスコミの実態と本質がここでも浮き彫りになっているように思います。どのような質問をするかということを含めて。今後の「世論調査」が楽しみです。
愛国者の邪論が繰り返し強調していることは、このような構図を改善していかなければ、国民の生活は改善できないでしょうということであり、同時に日本の民主的発展は実現できないでしょうということです。共産党の出番が、ここにあるように思います。
しかし、共産党は、こうした局面の意味をどれだけ気づいているでしょうか。大いに疑問です。それは、安倍首相や米倉経団連会長が、消費税増税のためとは言え、国民の懐を温めなければならないこと、そのために賃金値上げを吹聴していることの意味です。以下、そのことを検証してみます。まず、安倍首相と米倉経団連会長の発言を拾ってみます。
安倍首相
1.「4月に多くの企業が賃上げを行うかが大きな勝負だ。長く続いたデフレから脱却するために、それぞれがベストを尽くすしか道はない」
2.「党が先頭に立ってデフレを脱却し、強い日本、誇りある日本を取り戻さないといけない」
3.「消費税率が8%に引き上げられることし4月に、多くの企業で賃上げが行われるかどうかが大きな勝負だ」
4.「政府、経済界、労働界の会議で、経済3団体に賃金の引き上げをお願いしたところ、多くの経営者から対応していこうという答えをいただいた。長く続いたデフレから脱却し、日本を輝ける国にするためには、それぞれができることをしなければならない。こういう思いを1つにすることができたのではないか」
米倉経団連会長
1.「景気の好循環を目指すため、企業に賃上げをお願いしたい」
2.「経営者としては従業員の苦労に報いたいと考えており、景気の好循環を目指して、経団連の春闘に対する方針にも盛り込む形で、会員の企業に賃上げをお願いしていく」(引用ここまで)
以上の発言の中に潜む大いなる矛盾です。それは、以下の点にあります。このことをマスコミは、気づいていません。というか、語っていません。そうりゃ、そうです!最初から増税アリ!だからです。ではご覧ください。安倍・米倉増税派の破綻を検証してみました。
一つは、「従業員の苦労に報いたい」ので「賃上げをお願いしていく」というのは、本心ではありません。それは消費税増税を正当化しているのです。しかし、
二つ目は、このことは、賃金値下げが如何に誤りだったか、自ら認めたことです。
三つ目は、「長く続いたデフレから脱却するため」「多くの企業が賃上げを行うかが大きな勝負」ということは、これまで賃金値下げ競争を煽ってデフレ政策をとってきたことの誤りを認めたことです。
四つ目は、公務員の不祥事や財政危機論や小さな政府論を利用して、官民格差解消論を振りまいて賃金値下げを断行してきた口実が破綻したことを自ら認めたことです。
五つ目は、賃金値上げによって、「景気の好循環」を目指すということは、賃金値下げが、所得税収入の減少や「景気の悪循環」をつくっていたこと、更に言えば、所得税収入の増加や企業の「景気回復」の阻害になっていたかを認めたことです。
六つ目は、消費税増税によって生じる消費低迷・減収・景気低迷などを防止するために賃金値上げを「勝負」と叫んでいることのなかに、実は、消費税増税の必要性の破綻、不必要性を自ら暴露してしまったということです。
ところが、以下の、安倍首相の視点、これは一貫しているのですが、この視点にしがみついている限りは、正規労働者を増やし、雇用を拡大した賃金値上げは難しいでしょう。「景気の好循環」論の力点の置き所が間違っている、現実を無視しているからです。それは国民の懐を温めることと企業の収益を対立的に捉えていることです。この視点では、国民の懐は、企業の収益の「おこぼれ」論の枠内です。労働者国民をバカにしている、見下している安倍首相の思想が透けて見えてきます。
「企業がアベノミクスの『三本の矢』によって、収益を改善し収入が増えていく。これを賃上げに結びついていくようにする。そして消費が増えていく。今の景気回復の勢いを持続していくためには景気の好循環を作らなければならない」
ところで、安倍首相と米倉経団連会長の賃上げ論の中に、実は、国民の声が一定反映していること、すなわち共産党の主張を取り上げざるを得ない局面があること、ここに共産党の経済政策の正当性が浮き彫りになっていること、このことを共産党をはじめ、国民がどのように自覚するか、です。しかし、最大の障害は、マスコミが、このことを意味づけて報道していないことです。
ではどうするか、共産党風に言えば、赤旗を増やすことだということになります。しかし、ことはそんなに簡単ではありません。それは共産党の中にある不確信が沈殿しているからです。新聞を購読するということは懐からカネを出すということです。共産党の商品である赤旗を買っていただくということです。現在の賃金実態と国民の暮らしの実態を踏まえれば、また一般紙の購読が減ってきていることを考えれば、難しい問題であるということです。
そのような現実を踏まえると、4日の志位委員長の旗開きのあいさつにおける「拡大」の「成果」は、それなりに「評価」できるかもしれませんが、それにしても、この間の「大運動」の連発を考えれば、その「成果」の少なさは、多角的に検証さればなければならないと思います。それは共産党の中にある運動・活動方針上の弱点がつくりだしてきた問題に、その原因がある問題ということです。その検証派必要不可欠なのです。赤旗を増やすことを自己目的化している活動のあり方です。確かに政党助成金や企業団体献金などを活動資金としている他党と違って、共産党の場合は、赤旗がその活動の財政的保障であることは明らかです。その点では大いに評価できる問題です。これについても、マスコミは一貫して無視をしています。
しかし、今、安倍首相や米倉経団連会長が打ち出してきた政策転換は、赤旗が増えたからではありません。共産党の粘り強い活動もあることは当然のことですが、それだけではありません。政府のマスコミを使った宣伝にもかかわらず、国民の暮らしが好転していないことからくる「世論」があるからです。この「世論」を、共産党の活動によって、それは共産党が単独でという意味ではなく、国民とともに、という意味で、政治革新の方向に発展できていないこと、ここに分析研究しなければならない最大の問題があるのです
本来は、国民の懐を温めるための政権構想論を提起すべきなのです。こういう政策を具体化する政権をつくれば、国民の飯を食わせることができるという構想です。そのことによって、安倍政権、米倉経団連風の賃金値上げ政策ではなく、文字通り国民的議論にもとづく賃金政策、雇用政策、財政政策をつくりあげて、それを実現できる政権を国民とともにつくっていくという政策・方針を、まず国民に提唱していくのです。
だから、今、共産党にとって必要なことは、以上述べてきた政策・方針を提唱して国民的議論を巻き起こすことで、世論の流れが大きく転換していくのです。これは愛国者の邪論なりの確信です。しかし、そうした提起の前に、安倍首相と米倉経団連会長らの増税派が、共産党の経済政策をパクって、打ち出してきたのが、賃金値上げ政策なのです。トンビに政権をさらわれてしまったというべきです。大変残念なことです。逃した魚は大きかったということです。
安倍首相と米倉経団連会長の発言を報道する記事を読んで考えたことは、以上です。議論が巻き起こることを希望します。
それでは、共産党の政策と、安倍首相と米倉経団連会長の発言を比較検討するために参考にしたものを掲載しておきます。
1、労働・雇用(2012年総選挙各分野政策)
安倍政権の暴走に立ち向かい、「国民が主人公」の新しい政治を――参院選で問われる大争点と日本共産党の改革提言 2013年6月6日
1、アベノミクスの暴走を許さず、消費税増税を中止し、国民の所得を増やす本格的な景気回復の道を
(1)暮らしと景気をこわし、財政も悪化させる消費税増税の中止を
① “史上最大の増税”が暮らしと営業にのしかかる
②長期にわたる「デフレ不況」下での消費税増税は、経済も、財政も破たんさせる
③消費税増税を中止し、財源は「別の道」で確保します
④消費税増税は一度も国民の“信任”を受けていません――参院選で増税中止の審判を
(2)賃上げと、安定した雇用、中小企業支援のルールをつくります
①内部留保の一部を賃上げと雇用に
②「解雇自由化」「サービス残業合法化」を許さず、人間らしく働けるルールを
③雇用の7割を支える中小企業を日本経済の根幹と位置づけた振興策を
(3)社会保障の大規模な削減路線と対決し、現役世代も、高齢者も安心できる制度に再生・拡充します
①「水際作戦」を合法化する生活保護改悪や年金削減は許せない
②医療・年金・介護――“手当たり次第の切り捨て”にストップを
③社会保障を再生し、充実するために――日本共産党の提案
④国民分断の攻撃のりこえ、社会的連帯で生存権を保障させよう
(4)大震災からの復興を最優先課題に――生活と生業の再建に必要な公的支援を
2、原発の再稼働と輸出を中止し、「即時ゼロ」の決断を――再生可能エネルギーに大胆に転換する
3、「アメリカいいなり」をやめ、国民の利益を守る外交に――基地も安保もない日本をめざし、自主外交でアジアと世界の平和に貢献する
4、安倍政権の改憲への暴走と対決し、憲法を守り、生かす政治を
5、侵略戦争、植民地支配を肯定・美化する、歴史の改ざんと歴史への逆行を許さない
侵略戦争の肯定・美化は、戦後の国際政治の土台を覆すもの (引用ここまで)
賃上げ・雇用http://www.jcp.or.jp/web_tokusyu/2013/06/digest.html#koyo
2013年参議院選挙各分野政策1、労働・雇用雇用ルールの破壊を許さず、人間らしく働けるルールを確立します 2013年6月http://www.jcp.or.jp/web_policy/2013/06/post-517.html
(1)賃上げと安定した雇用の拡大で「デフレ不況」打開を
(2)安倍内閣による労働法制の規制緩和を許しません
(3)退職強要をやめさせ、解雇規制法をつくります
(4)異常な長時間労働を是正し、「サービス残業」を根絶します
(5)労働者派遣法を抜本的に改正し、派遣労働者保護法をつくります
(6)有期雇用を制限して正社員化と均等待遇をすすめるとともに、「個人請負」などの脱法的契約を許しません
(7)男女がともに、人間らしく生き、働ける均等な労働条件を確立します
(8)最低賃金の抜本的引き上げなど、政治の責任で賃金の大幅底上げを実現します
(9)失業者の生活と職業訓練を保障し、安定した仕事、公的仕事への道を開きます
(10)国と地方の労働行政を強化します(引用ここまで)
【共同通信】 首相「4月賃上げが勝負」 デフレ脱却へ決意表明 01/07 11:27
自民党の仕事始めの会合で、あいさつする安倍首相=7日午前、東京・永田町の党本部
【関連動画】
安倍晋三首相(自民党総裁)は7日、党本部の仕事始めの会合で、経済再生に関し「4月に多くの企業が賃上げを行うかが大きな勝負だ。長く続いたデフレから脱却するために、それぞれがベストを尽くすしか道はない」と強調した。4月に消費税率を5%から8%へ引き上げるのを踏まえ、消費が冷え込まないように企業に賃上げを促した形だ。同時に「党が先頭に立ってデフレを脱却し、強い日本、誇りある日本を取り戻さないといけない」と指摘。スイスで22日から開かれるダボス会議で、日本の経済政策に各国の理解を求める意向を示した。(引用ここまで)
【共同通信】 好循環目指し賃上げを、と米倉氏 経済3団体が記者会見 01/07 17:55
新年祝賀会後の記者会見で、握手を交わす(左から)日本商工会議所の三村明夫会頭、経団連の米倉弘昌会長、経済同友会の長谷川閑史代表幹事=7日午後、東京都内のホテル
【関連動画】
経団連の米倉弘昌会長ら経済3団体のトップは7日、都内で新年賀詞パーティーを開催後、記者会見した。米倉会長は「景気の好循環を目指すため、企業に賃上げをお願いしたい」とし、今春闘で従業員の収入増に前向きに対応する考えを明らかにした。政府はデフレ脱却で経済界に賃上げを要請している。米倉会長の発言は政府に成長戦略の実行を求めると同時に、民間企業も本格的な景気回復で積極的に取り組む必要があることを示したものだ。また日本商工会議所の三村明夫会頭は、中国、韓国との関係改善で「いかに難しくても首脳同士が会うしか打開策はない」と話し、政府に首脳会談の実現を求めた。(引用ここまで)
NHK 首相「4月賃上げ行われるかが勝負」 (1月7日 11時36分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140107/k10014310531000.html
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安倍総理大臣は自民党の仕事始めの会合で、「消費税率が8%に引き上げられることし4月に、多くの企業で賃上げが行われるかどうかが大きな勝負だ」と述べ、デフレ脱却に向けて賃金の引き上げが重要になるという考えを強調しました。の中で、安倍総理大臣は「去年1年間、経済最優先で日本を取り戻す戦いにまい進し、有効求人倍率が1倍になるなど、成果は上がっている」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「ことしは躍進の年にしなければならない。消費税率が8%に引き上げられることし4月に、多くの企業がしっかりと賃上げを行ってくれるかどうかが大きな勝負だ。自民党が先頭に立って、デフレから脱却し、強い誇りある日本を取り戻していかなければならない」と述べました。また、石破幹事長は「経済の好循環を取り戻して、日本を再び成長軌道に乗せ、財政規律を取り戻す。『できっこない』と言われていたことを実現するために、国民から安定多数をもらった。優先順位をきちんと決めて、すべてを実現するために党の総力を結集していきたい」と述べました。(引用ここまで)
NHK 首相 賃上げへの期待感を示す (1月7日 18時20分)
経団連など3つの経済団体の新年を祝うパーティーが開かれ、安倍総理大臣は、デフレ脱却に向けて、企業側が賃金の引き上げを行うことへの期待感を改めて示しました。このパーティーは、経団連、日本商工会議所、経済同友会が開き、企業の経営者などおよそ1850人が出席しました。初めに主催者を代表して日本商工会議所の三村会頭が「成長を実行に移す主役はあくまでも民間企業だ。アベノミクスをきっかけに、デフレマインドから脱却し、閉塞感を打ち破らないといけない」と述べました。続いて安倍総理大臣があいさつに立ち、「政府、経済界、労働界の会議で、経済3団体に賃金の引き上げをお願いしたところ、多くの経営者から対応していこうという答えをいただいた。長く続いたデフレから脱却し、日本を輝ける国にするためには、それぞれができることをしなければならない。こういう思いを1つにすることができたのではないか」と述べました。このあと3つの団体のトップはそろって記者会見し、経団連の米倉会長は「経営者としては従業員の苦労に報いたいと考えており、景気の好循環を目指して、経団連の春闘に対する方針にも盛り込む形で、会員の企業に賃上げをお願いしていく」と述べ、業績が好調な企業には賃上げを促す考えを示しました。(引用ここまで)
NHK 首相「賃上げや消費拡大 景気の好循環を」 (1月5日 13時47分)
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安倍総理大臣は、地元・山口県下関市での会合であいさつし、経済の再生に向けて企業の業績の改善を賃金の上昇や消費の拡大につなげるなど景気の好循環の実現に取り組む考えを強調しました。この中で安倍総理大臣は東日本大震災からの復興に関連して、「ことしは東北の復興をさらに加速させていく。東北の復興なくして日本の再生なし。これは安倍内閣の基本姿勢だ。復興を支える日本の経済は極めて良くなっている。これを全国津々浦々に広げていくことが私たちの責任だ」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は、みずからが掲げる経済政策・アベノミクスについて、「企業がアベノミクスの『三本の矢』によって、収益を改善し収入が増えていく。これを賃上げに結びついていくようにする。そして消費が増えていく。今の景気回復の勢いを持続していくためには景気の好循環を作らなければならない」と述べ、経済の再生に向けて、企業の業績の改善を賃金の上昇や消費の拡大につなげるなど、景気の好循環の実現に取り組む考えを強調しました。(引用ここまで)
安倍首相が「全国津々浦々」と再三再四強調する実態のいくつかを掲載しておきます。「アベノミクス」氾濫の陰で無視され泣かされている国民が想像できるのではないでしょうか。
【河北新報】2020年東京五輪は「復興貢献せず」5割超 仙台市民調査
【福島民友新聞】 「生活資金に不安」62% 山形県調査に避難者、前回より増加