公明党と創価学会を評価する朝日のヨイショ社説を批判しました。そこで紹介しました、共産党と創価学会の協定について、ふれておきましたので、全文を紹介しておきます。ネットには、この全文は掲載されていません。以前にも記事にしましたが、共産党のどこかの部署で、共産党の論文や記事をネットに掲載しておくことが、今日とりわけ重要になってきているように思います。
そういう意味からも、今後も共産党の歴史的文書をネットに掲載していく努力をしていきたいと思います。これについては、いくつか掲載されているものもありますので、そちらの方も参考にされていただければと思います。しかし、本来は、共産党が、ネット社会や国民の疑問に応えるためにも、またネット社会を国政革新のために位置づけるのであれば、早急に検討すべきことだと思います。
もう一つあります、それは、この「協定」の今日的意味です。今、この協定を読むと、都知事選において創造的に発展させることが必要だと思います。これはマスコミが、細川・小泉連合一色、次が舛添、その他は付けたしで出すだけの報道に終始している時だからこそ、また劇場型政治の脱却から都民参加型政治への転換を、急いで実現するためにも、宇都宮氏陣営の動き方が改善されなければならないと思うからこそ、です。
その重要な視点は、脱原発・再生可能エネルギーの早急な実現を軸にした経済成長と社会保障の実現、子どもの教育の充実、巨大地震対策と東日本大震災の復興とムダ遣いをしない東京五輪の成功をセットにした、「都政の、都民による、都民のための都政」実現のための都民連合戦線を打ち出し、都民参加型の政策実現のためのイベントを開くことでしょう。そのためにも、細川・小泉両連合に、宇都宮氏の政策で議論しよう、その中で、候補を一本化しようといういうことを提案すべきです。誰が都知事になるかどうか、そんなことよりも、石原都政と安倍自公政権によって苦しめられてきた都民のために何をするか、これが、今最も必要なことなのです。
このことは、すでに大阪市と堺市、沖縄で実践ずみです。60年代から70年代にかけて全国各地で行われていたことです。
こうした視点で細川・小泉連合が議論に加わってくるか、或いは参加しないか、参加しないのであれば、どのような都政の実現をめざしているのか、宇都宮氏との違いを都民に明らかにすれば良いのです。このような手口で議論を巻き起こしていけば、マスコミも取り上げざるを得ないでしょう。
このような問題意識は、以下のようなマスコミの報道によって、ますます、その必要性が出てきたように思います。
それは今日のテレビ朝日は、モーニングバードから始まってスクランブルでは、内容的には、池上氏の提案(これもネットに紹介されていることですが、細川氏の提案発言を持って出馬の意向!と煽って規制事実化し、細川氏をその気にさせていった経過にちりばめられていました)が出馬を決意させてきたと、その経過を満載させているのです。まだ出馬していないのに、細川氏の家訓まで出すなど、細川氏オンパレード。しかも小泉氏も登場させ、自民党の進次郎との関係などを紹介したり、なかには細川政権の時の内閣総理大臣特別補佐であった田中秀征を副知事にしたらどうか、憲法九条の会で活躍中の大江健三郎氏などとの連携なども提案しているのです。こうした報道は、後出しジャンケンゲームそのものです。マスコミの無反省振りが浮き彫りになってきた、本当にケシカラン話です。
しかし、このような手口を宇都宮氏を担ぐ勢力が教訓とするのであれば、マスコミの手口にクサビを打ち込ことです。最初に立候補表明をしたにもかかわらず、付けたし候補に追いやられた宇都宮氏をクローズアップさせていく手口を編み出していく必要があるでしょう。それは何か、です。そのことについては、実はすでに、上述しましたし、記事にしておきましたので、そちらをご覧いただければと思います。しかし、赤旗に掲載された宇都宮陣営の動きからは、細川・小泉連合への働きかけは見えてきません。残念なことです。薩長同盟的発想、共産党と創価学会の協定の発想です。
宇都宮さんで東京変えよう/都知事選へキックオフ集会 2014年1月9日(木)
都知事選 力合わせ東京変えよう/キックオフ集会 宇都宮氏の決意 2014年1月10日(金)
「宇都宮さんは都民の目線」/街頭熱気 小池参院議員ら訴えに反響/東京・池袋 2014年1月10日(金)
宇都宮氏勝利で都政転換を/くらし応援・安倍暴走に審判/都知事選 革新都政の会が決起集会 2014年1月12日(日)
宇都宮さんの勝利で安倍暴走にストップ、都民のくらし応援の都政を/革新都政をつくる会総決起集会 市田書記局長の訴え(要旨) 2014年1月12日(日)
東京都知事選23日告示/宇都宮けんじさん(67)決意と抱負/憲法と生きた弁護士として 2014年1月13日(月)
石原都政を抜本的に転換していく意味からも、また国政上、安倍自公政権の暴走にストップをかけていく上からも、以下の協定の真髄を、現段階の情勢に活かしていく必要があると思うのです。
ところが、つい先ごろ手に入れた「日本共産党第26回大会 決議案への感想・意見・提案」に寄せられた第1分冊92人、第2分冊87人の意見を読むと、統一戦線問題について述べてはいるものの、「民主連合政府」「よし増し政権」「よし増し政権より、よし増し政権(よりより増し政権)」の関係について、触れている党員の方はいませんでした。現行の「一点共闘」と「統一戦線」の枠内で議論しているのです。非常に残念でした。
「自共対決」論の是非は論じていても、安倍自公政権の暴走の「受け皿」として、共産党の果たす役割として、政権構想を発表して、国民的議論と国民の期待を集めること、そのための運動を全国各地で、国政上の課題と地域的な課題を一体的なものとして発展させ、それらの要求を実現していくための装置として政権をつくるという視点は、共産党の中には想定の範囲外だったのです。
こうした事実は、共産党が内向きになっていること、国民との関係でしか自らの自力をつけることができないこと、それらは相乗的・双方向的であることが、理論的にも実践的にも検証されていないことが判ったように思います。
その「感想・意見・提案」のその他のものには、中国問題や未来社会問題、自力問題、支部が主役問題、原発問題などなど、愛国者の邪論の問題意識と同じ問題意識をもっている党員の方が結構いることが判りました。ある人は、このような問題意識などを交流することを意見として述べていました。全く同感です。議論をすることと実践上勝手なことをすることは別の問題です。このことは民主党、自民党が実践的に証明してくれました。公約に対する党員、政治家の意見がバラバラでは、国民は誰を信じていいのか、判らなくなります。政党の政策は、国民に対しては、公約です。一致し、一貫していなければならないことは当然です。
以上の問題意識を踏まえて、今大会の議案に対する様々な意見が交流されることを希望しますし、掲載された意見に対する愛国者の邪論なりの意見を記事にしていきたいと思います。そういう意味からも、以下の創価学会と共産党の協定を意味付けることが必要なように思いました。
活かすべき視点は、日米軍事同盟廃棄を前提としない、脱原発統一戦線、救国統一戦線、憲法擁護・活かす統一戦線、東日本大震災の復興統一戦線、国民生活擁護統一戦線です。それぞれの細かい政策上の不一致は、実践と、国民的議論で解決していく政権構想です。
「創価学会と日本共産党との合意についての協定」とその[経過について]の文書は以下のとおりです。『文化評論』(1980年3月号)に掲載されていたものです。その顛末については、『文化評論』(1980年4月号)にまとめられています。なお、そのまとめは担当した山下文男氏の『共・創会談記』(新日本出版社, 1980.6)にまとめられています。
日本共産党と創価学会は、一九七五年七月二十七日、「日本共産党と創価学会との合意についての協定」を発表しました。同時に、双方は同文の「経過について」という文書を発表しました。
[経過について]
一、日本共産党宮本顕治幹部会委員長、創価学会池田大作会長と、それぞれ旧知の間柄であり、かねてから両者の隔意ない懇談を実現させたいという希望をもっていた松本清張氏の仲介で、昨年十月末、両組織の話し合いがはじまった。
昨年十月三十日、松本氏の立会いのもとに、日本共産党側から上田耕一郎常任幹部会委員、山下文男中央委員・文化部長、創価学会側から野崎勲総務・男子部長、志村栄一文芸部長とで第一回の懇談をおこなった。以来、松本氏宅において、十一月に一回、十二月に五回、合計して二十数時間におよぶ懇談がおこなわれた。
その間、双方の組織、理念、運動の討議のなかから、それぞれの立場のちがいを認識あい、相互の組織と運動の独立を侵さないことを前提とした上で、世界の平和のため、日本の民衆のためにいくつかの合意点を確認することができ、それを文書としてまとめることとなった。
こうして上田、野崎のあいだで別掲の「日本共産党と創価学会との合意についての協定」がまとまった。この協定書は、双方の機関にはかられた上、十二月二十八日、両組織を代表して、上田、野崎が署名し、双方の組織による捺印がおこなわれた。
ニ、十二月二十九日、宮本委員長と池田会長が松本氏宅を訪問し、松本氏をまじえてなごやかに懇談がおこなわれた。
三、なお双方は、協定公表の時期については、協議しておこなうことをとりきめ、今回の発表となった。
「創価学会と日本共産党との合意についての協定」
創価学会代表野崎勲と日本共産党代表上田耕一郎とは、一九七四年十月末以来、数回にわたって懇談し、それぞれの組織の理念と性格、現在の活動と将来の展望、内外情勢などについて、広範かつ率直な意見の交換をおこなった。
その結果両者は、創価学会と日本共産党とが、それぞれの組織ならびに運動の独自の性格と理念、さらには立場の違いをたがいに明確に認識しあい、相互の組織と運動の独立を侵さないことを前提とした上で、日本の将来のため、世界の平和のため、そしてなによりも大切な日本の民衆、人民のために、それぞれの組織を代表して、左記の事項について合意した。
一、創価学会と日本共産党は、それぞれ独自の組織、運動、理念をもっているが、たがいの信頼関係を確立するために、相互の自主性を尊重しあいながら、両組織間の相互理解に最善の努力をする。
ニ、創価学会は、科学的社会主義、共産王義を敵視する態度はとらない。
日本共産党は、布教の自由をふくむ信教の自由を、いかなる体制のもとでも、無条件に擁護する。
三、双方は、たがいに信義を守り、今後、政治的態度の問題をふくめて、いっさい双方間の誹謗中傷はおこなわない。あくまで話し合いを尊重し、両組織間、運動間のすべての問題は、協議によって解決する。
四、双方は、永久に民衆の側に立つ姿勢を堅持して、それぞれの信条と方法によって、社会的不公平をとりのぞき、民衆の福祉の向上を実現するために、たがいに努力しあう。
五、双方は、世界の恒久平和という目標にむかって、たがいの信条と方法をもって、最善の努力をかたむける。なかんずく、人類の生存を根底からおびやかす核兵器については、その全廃という共通の課題にたいして、たがいの立場で強調しあう。
六、双方は、日本に新しいファシズムをめざす潮流が存在しているとの共通の現状認識に立ち、たがいに賢明な英知を発揮しあって、その危機を未然に防ぐ努力を、たがいの立場でおこなう。
同時に、民主主義的諸権利と基本的人権を剥奪し、政治活動の自由、信教の自由をおかすファシズムの攻撃にたいしては、断固反対し、相互に守りあう。
七、この協定は、向こう十年を期間とし、調印と同時に発効する。十年後は、新しい状況を踏まえ、双方の関係を、より一歩前進させるための再協定を協議し、検討する。
一九七四年十二月二十八日
創価学会代表 総務 野崎勲(宗教法人創価学会印)
日本共産党代表常任幹部会委員 上田耕一郎(日本共産党中央委員会印)
(「赤旗」一九七五年七月二八日)(引用ここまで)
共産党の宗教政策について掲載しておきます。この視点を、今、都政にも、国政にも活かしていくことです。